ふくみみコラム

ペットの猫を貨物として飛行機に2度乗せ、生きた心地がしなかった。もし伝えることができるなら

痛ましい羽田空港での事故。
民間機から乗客乗員は全員に脱出したと聞いて安堵はしたものの、内心貨物にペットはいなかったのかと考えてはいました。
ツイッターで、2件の動物の預かりがあったというニュースを見ても、Repostはできなかった。聴きたくなかった。知りたくなかった。ただ手を合わせることしかできませんでした。

 

私も、猫を香港から台北へ、台北から東京へ国際線に二度乗せたことがあります。
初めての時は、生きた心地がしませんでした。
香港の空港で、「あら猫ちゃん」と微笑みながらケージをのぞき込んでくる人たちに向かって、シャーっと牙をむいたのは猫ではなく、私です。近寄るんじゃねえ、余計な事するんじゃねえと、ものすごく気がたっていました。肝心の猫本人はといえば、空港の騒音に驚いたのか黙りこくって、キャセイのスタッフの方に「おとなしい、いい子ですね」とほめられてしまった。入院した動物病院から「あんたの猫大暴れしてほかの子たちが怖がるから、悪いけど連れて帰ってちょうだい」と電話が来るレベルの暴れん坊の猫が黙りこくるほど、空港、飛行機はストレスの大きい場所なのです。そして台北の桃園空港に着いて、私は自分の荷物ピックアップもそこそこに、半べそをかきながらターンテーブルのエリアを右往左往しました。荷台に乗せられて猫のケージがやってくるのが見えた時は思いっきり走ったね。「それ、わたしの、わたしのねこ」無事に再会できたときは、嗚咽しながら途切れ途切れの中国語で係りの人に言いました。

 

そして一昨年の夏、台北から東京へ戻る時は見送りに来てくれた友達が空港のカウンターで「猫のケージをどこに置くの?!外に出しっぱなしにしないでしょうね!」と詰め寄ってくれました。炎天下のアスファルトの上に出しっぱなしにされたら、それこそ大変だから。大丈夫です、外には出しませんと航空会社の人は請け負ってくれたけれど、羽田で無事に再会できた時は、やっぱり膝が震えるほど安堵しました。

 

航空機に貨物としてペットを乗せれば、事故が起きるリスクはある。動物、生体だということは予約時に伝わっているはずだけれど、貨物室がどういう環境なのかまでは映像もないし、知ることができません。不安、心配はあるけれど、置いていくわけにはいかない。だから必要な煩雑な手続きをきっちり完了し、天に運をまかせて、家族でもあるペットを預けるのです。

今回の事故で、助からなかった動物たち、預けた人の気持ちを考えると、本当につらい。どこのどなたかはわからない。もし伝えられるチャンスがあるのなら、どうかご自分を責めないでほしいと手を取って話したい。たくさん涙を流すことと思います。でも、ペットを見送る、亡くした時はどんな状況でも、ああすればよかった、こうしてあげればよかったと後悔するものだと思います。失われた命が安らかに天に戻ること、ご家族や関係者の方が穏やかさを取り戻されるよう、願ってやみません。

 

台湾大学付属動物病院で隔離された日々福ちゃんだけ、凶悪な指名手配犯写真のようだった ...

 

 

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|