日本の7都市に緊急事態宣言。勝ち方がわかっている戦いのゴールへ向かう途中、GWに鬱憤が爆発しないよう、台湾の連休に「ゆるまなかった」ひとたちのコツを。
安倍総理大臣による緊急事態宣言は、台湾でも速報になりました。新型コロナウイルス対策、台湾では日本のような「宣言」はありませんが、検疫隔離、交通機関利用時にマスク着用などの「強制力」はあります。日本のような「お願い」ではなく「禁止」。外国からの帰国者は全員、スマホに仕込まれたGPSつきで14日間隔離されます。「スマホ置いてこっそり出かければバレないんじゃない?」と思ったら、同じことを考え実行した人が捕まっていました。恐るべし台湾当局。
台湾の街中を歩くのは自由です。マスクをすればバスや地下鉄を利用できる、ルールを守ればこれまで通りの日常生活を送れる。私も毎日、台北の街中を人気の少ない時間や場所を選んで歩き回り、気分転換、運動不足解消、街の様子に変わりはないかパトロールしています。
自由に歩ける台湾で、連休には気のゆるみが
「ルールさえ守れば基本的に外出も自由」な台湾でほころびがでたのが、4月2日から5日までの清明節の連休でした。
清明節は日本でいえばお彼岸のような位置付け。連休の少ない台湾で、春の行楽や旅行へ出かけることのできる貴重な日々です。本来なら日本へ花見に行く予定だったひとたちも多くいました。清明節には里帰りをする人も多く、例年国民が東へ南へと大移動する日々。そのため、政府からはあらかじめ「集まらないように、オンライン墓参などを利用して」と呼びかけがありました。
台北で暮らす台湾の友人たちは「今年は帰らない。帰れば親や親戚が集まるでしょう。自分が無症状保菌者かもしれないし、移動中に新型コロナウイルスに感染するかもしれない。里帰りで高齢者にうつしてしまったら、取り返しがつかない」と、帰省を自粛しました。「そうだね、それがいいね」友人たちの良識に感謝しつつ、本人も、ご家族も寂しいだろうなと思う。私も、そうそう日本へ帰ることができません。またすぐ会えるように頑張ろうね、と励まし合ったものです。
でも、残念ながら春の4連休に気が緩んでしまった人も多くいました。
連休三日目、台湾内のあちこちに人が沸き、特に混雑がひどい11カ所の観光地、景勝地は、政府が名指しでアラートを発信。特に最南端のビーチリゾート・墾丁は「立ち入らないように」と警告が出る有り様でした。
連休に出歩いた社員の出社禁止、カフェでは「お断り」も
南部に里帰りして、お墓参りや親類と食事会。ついでに墾丁へ足を延ばそうか。海へ行って、久しぶりに新鮮な空気を吸ってリラックスしよう。
気持ちはわかる、わかりますとも。
でも、こんなに大勢あっちこっちから集まりマスクを外して大はしゃぎしたら、せっかくこれまで我慢して気を付けて、市中感染を減らしてきたみんなの努力が台無しになるかもしれません。
この連休の状況をみて、迅速に対応する企業もありました。政府がアラートを発信した翌日の連休最終日、いくつかの金融会社が「連休中にこれらの場所へ出かけた社員は、明日から12日間出社禁止。ホームオフィスを命じる」と方針を打ち出しました。厳しい会社は「自主的に上司に報告すること。虚偽の報告や隠ぺいをした社員は解雇処分もあり」とも。
私が時々行くいくつかの小さなカフェは「清明節に南部や観光地へ行っていた方は、しばらくご利用ご遠慮ください」とSNSで告知したり、「連休でアホが沸いたから防疫休暇とるYO!ふぁーーーーっ!」と怒りながら臨時休業したり。ホームオフィスを命じられた人たちが「カフェで仕事」をしにくる可能性もあるからです。
連休後のPCR検査数は2倍。ゆるみが検査技師も追い込む
政府から「撤収!」と名指しされた墾丁にあるホテル業界からは、「混んでいるのは夜市だけ。営業妨害だ」と不満の声もありました。翌日の会見で衛生福利部の陳部長(日本でいう厚労省大臣)が「申し訳ない。しかし国民の健康が何よりも大切だ」と話すほど、「商売」と「健康」のはざまで、多くの人が苦労をしています。小さなカフェだって、わざわざお客をより分けるようなことはしたくないはず。誰も楽な思いはしていないの。ちなみに連休あけ、台湾全体でPCR検査を希望したのは通常の二倍、1835件にのぼったそう。検査技師の方たちは3月まで2シフト制だったのが、3シフト制に増加。清明節の連休にゆるんだ結果は「一週間後に見えてくるだろう」というのが、衛生福利部の見解です。
適度なガス抜きと妄想力で、勝ち試合を乗り越える
日本の緊急事態宣言、最大の目的は「他人との接触を極力減らし、感染と拡大を防ぐ」こと。食事や飲み会、カラオケにライブ、クラブで踊る、学校帰りにともだちと寄り道をしておしゃべりして……今まで当たり前だった日常の楽しいことは、他人との接触。誰かと一緒にいることがとても多かったのだと改めて思い知ります。
「連休に田舎へ帰れない」
「春の花を見に、遠出したかった」
「今しばらく我慢すれば、自由な日々を取り戻せる」
そう考えて自律行動していたひとが多く、「コロナ対策がうまくいっている」台湾でも、春の連休にほころびが出た。これから数日後に、清明節期間の感染者がいないことを祈るしかありません。
日本も4月末にはゴールデンウイーク。本当なら旅行やBBQ、ライブ遠征をしにいくはずだった連休に、台湾の清明節のような鬱憤が爆発してしまうのではないかと私はひそかに心配しています。
爆発させないためにどうすればいいか。日ごろから「ガス抜き」をしておくのも大事です。散歩やウォーキング、ジョギングを場所や時間を考えて、集まらずに行えば問題ないはず。台湾で「清明節の連休に田舎へ帰らない」と言っていた友達も、運動や散歩は毎日欠かさず続けていました。家のなかでは、ちょっと手のかかる料理やパン作り、ハンドクラフトをして過ごしたり。籠っても、ため込まない。我慢するのは「他人との接触」で、楽しみやガス抜きが絶対に必要なのです。
家ですること沢山あって、むしろ忙しい
籠りきらず、接触せずに適度にガス抜きをして、このトンネルを抜けたら私たちは全員が勝ち組。勝ち方がわかっているこの戦いの、ゴールを目指していきましょう。「あたしは大丈夫」とポジティブな思考は、行動に結び付ける。妄想力を使いまくる時です。
接触できないなら、会えない間にみっちり運動やお手入れでボディメイクしてきれいになってサプライズ。ライブ解禁になったら全力で踊って飛び跳ねるために、足腰も鍛えておかなくちゃ。歌舞伎座や国立劇場、コンサート、書籍の無料配信もあちこちで公開されているから、見たり読んだりするものが沢山あって結構忙しいわよ。時間があるうちに語学の勉強をして、次の旅行に備えておくのもいいね。わたしも久しぶりにドイツ語のテキスト引っ張り出し、ニュースも日本語、英語、中国語、ドイツ語で見たり聞いたり。この時期が過ぎたら、やけにシュッとして文化的なマルチリンガルがあっちこっちで爆誕したり?
妄想上等。ポジティブ思考は今こそ全開にして発揮するわよ。勝ち方がわかっている戦いなら、楽しい目標をいくつも作ってニヤニヤしながら、その日をカウントダウンするしかないじゃない。
台北散歩、たまにインスタライブしています。一緒に台北の様子や空気を楽しんで、息抜きに使ってください。
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