失われた時間を求めて、ドイツで桜を追いかけた

日本を離れて何年になるかちゃんと計算したことは無いけれど、春になると、桜を見ることが出来なかったと日本人として、やるべきことをしていないような、失われた時間が積もっていくような気がしてた。

ドイツで、電車の中からこんもりと桜らしきものが見えて「おや」と思うポイントがいくつかあり、デュッセルドルフではいつもの交差点で花見ができた。


ミュンヘンでも、寒い中、咲き始めていた。

 

サッカーを見に行ったスタジアムへの通路の脇にも。
意外とあちこちで見るものだな。

このところ気に入って泊まっている街。

 

このあたりは穏やかな、落ち着いているけど気取っていない人が多くて、アジア人を見かけることは全くなくても、夜歩いても、心配や不安なことがない。この街のホテルの朝食レストランやサッカーの練習場のキオスク、行く先々でラジオが流れていて、それは街のローカル局の番組だと気づきスマホにアプリを入れて、台北にいても毎日聴いている。
そのラジオ局がホテルから歩いてすぐのところにあるので散歩がてら見に行ってみた。

Radio Emscher Lippe

http://www.radioemscherlippe.de/

落ち着いた建物で、パッと見ただけではラジオ局とは思わずに通り過ぎてしまいそう。その静けさが、街に定着したローカルラジオの風格かもしれない。

向かいの施設の前に、松や、木蓮が咲いているのが見えたので道路を渡って近くで眺める。

 

松ぼっくりを探しながら腰をかがめてそろそろと歩いて行き、顔をあげたら花が咲いてた。

これは桜なのか、それともアーモンドなんだろうか。

この木を見つけてから、毎日朝、昼、夕方と見に行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本人として日本に生まれて、日本で暮らしていれば毎年見ることが出来たはずの桜、好き勝手したためにその喜びを手放したのはうっかりだったし、失われた時間のように思ったこともある。
好き勝手にして好きな場所で歩き回っていたらまた桜に出会えたので、それもまあ良いか。桜だと思ってみていた花はアーモンドかもしれないけれど、綺麗だったから良いの。

 

mimi: ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。