Café Junkiesが2017年4月21日で、健康路のお店をクローズしました。
知らせを聞いた時は呆然として、でも、どうして?!と聞くまでもありませんでした。家賃の高騰。台北のカフェが直面する問題なのだそうです。
特にカフェ・ジャンキーズのように流行っているお店なら、大家さんが色気を出すのも無理はないかもしれません。
最後の2週間は、昼に夜に、何度か友達を連れて、或いは一人ででかけました。そのたびに不動産屋さんが内見の顧客を連れてくるのを見て、なんともやるせなかった。
お店で知り合った、近所に住む常連の方曰く
「ここは4年も空き家だったのよ。ジャンキーズが出来て流行ったから、大家も不動産屋も、勘違いしているかもしれないけれど。」
理不尽なことも、嬉しすぎて落ち着かない時も、ここで飲むコーヒーが融合してくれた。
最後の日、営業時間終了後はパーティになりました。大勢の常連が集まって、抱き合い、おしゃべりして、笑って、踊って。深夜0時に近くなると、それまではしゃいで大声でオーダーを復唱してはみんなを笑わせていたバリスタたちも、カウンターの裏にしゃがみ込んで泣いていました。
会社勤めをしていた頃、理不尽なこと、大きすぎる予算、却下された休暇申請、諸々の事情で沸騰したり、疲れ切った時には、帰り道にここへ寄って、珈琲を飲みました。
嬉しすぎて我を忘れそうな時も、ここでちょっと落ち着いて、しっかり気持ちにとどめるように珈琲を一杯。
会社を辞めた日も、飲みに行くより、ひとりでここに来て、珈琲で仕上げがしたくて、そうしました。
「なんでも集めてくる癖があるから」カフェ・ジャンキーズ、クマのマスコットの由来。
ガイドブックに台北のカフェを厳選して掲載する企画があった時には、まっさきにこちらを候補にあげて、取材をさせてもらいました。
オーナーのWillさんたちが手作りをした、彼のコレクションを飾った、音楽と、友達と、笑い声のカフェ。マスコットは「なんでも集めてくる癖があるから」と、クマにしたことを教えてもらいました。
「全部自分たちで作ったの。すごいね」
驚いてつぶやくと
「トイレも直せるよ」
Willさんがおどけて胸を張り、取材陣も大笑いしたのが、懐かしい。
木柵に焙煎所として作ったRuins Cafeがあって、今後はみんなそちらに移るとのこと。これまでは週末だけの営業だったけれど、平日も開きます。ジャンキーズのインテリア類も倉庫に一時保管しているとのこと。
クロージングパーティの翌日は結婚式と大忙しだったWillさん、次のお店探しはまだこれからとのことですが、きっとまた、素敵な場所が出来て、色んな人が集まってくるんだと思います。
フリーランスのライターになったことを話すと、「大変じゃないか、プレッシャーはないか」と聞いてくれました。確かに、不安定なところはあるから、これからどうするのか、どうなるのか考えたら、安定した収入を得られる会社を離れるのは、バカな考えだったかもしれない。
でも、ここで出会った人たち、自由に働く様子と責任を背負う覚悟を見ていて、私もこうありたいと思ったこと。
迷ったり、辛かった時、嬉しくて仕方ない日も、ここに寄ってコーヒーを飲んで落ち着ける、私の台北での生活を支えてくれたこと。
そんなことを、Willさんや彼の奥さん、お姐さん、お母さんと話して、抱き合い、そして乾杯乾杯、踊る踊る。
次の場所がいつどこになるか、気長に、楽しみに、楽しみに、待ちたいと思います。
※店舗情報は訪問、掲載時のものです。事前に営業状態を確認してからお出かけください。
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