今朝は予定を変えて、コンビニで紙では最後のりんご日報(蘋果日報)を買い、朝食専門店でサンドイッチと豆漿。当たり前の風景が最後になった2021年の夏。
台北は先週末に新型コロナウイルス警戒レベルが3に引き上げられ、コンビニも実名制になっている。入店前にドアに貼ってあるQRコードで連絡先をインプットして送信、店の中に入ると、カウンターの中の若いスタッフがふたり揃ってこちらを見て、緊張した口調で「登録してください」と用意されているノートを指さした。スマホを掲げて「これで送りました」と答えると、安堵した様子。
台湾の新型コロナウイルス感染者は全てナンバリングされ、どのルートで感染したかがほぼ特定されていた。衛生署や媒体が作る図解で、私達一般人もだいたいの流れをつかむことができる。中でもアップルデイリー、蘋果日報の図解作成力は群を抜いてわかりやすかった。
そのりんご日報が、台湾で紙の新聞発行を2021年5月17日をもって終了すると先週発表した。ちょうど、台湾でじわじわとクラスターが増加していたタイミングだったから
「りんごの図解がなくなるのはは心細い」
と感じた。
でも紙の新聞が無くなるだけで、ウエブ版へ注力するのだというから、今後も図解やイラスト班には期待したいけれど、こう人数が増えてしまっては追いつけず、難しいかもしれない。
今日は台北市に新型コロナウイルス警戒レベル3が発令されてから、初めての月曜日。
マクドナルドの「内用」、イートインが今日の午前10:30で終了し、全て「外帶」テイクアウトか「外送」デリバリーに切り替えると、台湾アップルデイリーのTwitterアカウントが速報を出した。
雙北麥當勞今10:30起「禁內用」 5/28之前只限外帶、外送、得來速#蘋果新聞網 #appledaily #appledailytw #COVID19 #新冠肺炎 #雙北 #麥當勞 #疫情
→→https://t.co/Y2CToa02ah pic.twitter.com/Ol39BDlqyK— 蘋果新聞網 Taiwan News (@TW_nextmedia) May 17, 2021
結局、こういうことなのだろう。
情報を即座に発信・更新できるオンラインニュースに、紙の新聞が淘汰されてしまう。昨日、このブログでマクドナルドのシートに貼られた間隔を開けて座るための「梅花座ステッカー」を紹介したばかりだったのに。
それでも、今朝も台北の街の朝食店は元気に営業をしていた。
午前10時ですでに30℃を超え蒸し暑かったけれど、「外の席で食べてもいいですか?」と尋ねると「ええどうぞ」と店のお父さん。メニューを見上げて考えている私に「いいよ、ゆっくり選んでね」とマスク越しに笑顔で声をかけてくれた。
ここも実名制。テーブルに座っていると、お店の人が「連絡先と入店時間を書いてください」とノートを持ってきた。すでに書き込まれている他人の名前と携帯電話の番号が丸見えの実名制。台湾の厳しさと緩さにちょっと首をかしげながらも、何が最優先なのか浮き彫りになる。個人情報よりも、今は人命、健康。
朝食を買いに来る人はひっきりなし、それでもこの時間帯に店内利用は私だけだった。小さな女の子が私のことをじっと見ていて「わたしもここで食べる」と主張したけれど、父親になだめられて帰っていった。

紙の新聞を読みながら、朝食店のテーブルで朝ごはんを食べる。
こんな普通の、ごく当たり前のことが、失われていく。
最新のニュースは、スマホやタブレットでチェックできるし私もここ数年そうしてきた。
でも、紙をめくる音、静かな時間、情報を読み込み考える空間はちょっと大人に、あるいはおっさんになったような気分は、新聞だけが人と作るものだ。


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