2019年11月、台北の地下鉄で泣いていた香港人の大学生と、周囲にいた台湾人の起こした行動の様子がSNSでシェアされていたので紹介します。
これが綺麗な作り話なら、どれだけ良いかと思います。若者を戦地に送り出すような思いをしなくて済むのなら。
でもこれは作り話ではない、台湾なら現実に起きても全く不思議ではないと思うのです。私も香港からの留学生と台北で出会い、彼らとの会話と、言葉にならない涙と抱擁があったから。
上帝さんのFacebook に掲載されていた記事を、稚拙ながら翻訳してみました。
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今日、地下鉄に乗った。台北の空の下、立冬を過ぎたといっても日差しは暖かく、呼吸は自由だった。
ひとりの若者が、駅構内へ四つも荷物を運ぼうとしていた。でも、彼ひとりで一度に持てるのはせいぜいふたつ。
台湾の最も美しい光景は、人だ。私ともうひとりの通りすがりの台湾人が、彼の荷物をひとつずつ、ホームまで運ぶのを手伝った。
彼の荷物はとても重く、少なくとも三十キロはあっただろう。
ホームで電車を待つ間、私は彼がスマホを見ながら泣いていることに気づいた。地下鉄に乗ってからも、彼はスマホを見ながら、声を押し殺して、涙を流し続けている。
彼の隣に座っていた台湾人の女の子が、お行儀悪く彼のスマホを覗き見て、泣きだした。
「あなたは香港人ですか?」
彼女が尋ねると、
「はい。すみません。香港中文大学のニュースを見ていたら、こらえきれなくて……」
彼は台湾人の女の子から受け取ったティッシュで涙をぬぐい、言った。
「あそこには僕の同級生、友達がいます。彼らは血を流し、抗争の中にいる。だから僕は、今から空港へ行って香港に帰る。死ぬなら僕も彼らと一緒に……」
彼の声は大きくはなかったけれど、多くの乗客の耳に届いた。そして私は、彼がこんなに重い荷物を四つも運んでいた理由を理解した。台湾人の女の子はさらに涙を流し、嗚咽しながら言った。「香港、加油……」。そして「ハグをしてもいいですか?」と。
恋人同士ではないふたり。十七,八才の台湾の女の子と二十歳過ぎの香港人の男性が、台湾の地下鉄で涙を流しながら抱擁している。傍にいた台湾人が、地下鉄の中で騒いではいけない規則を省みずに、大声で叫んだ。「光復香港, 時代革命!」
私も、溢れる涙をこらえることができなかった……。
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私が旅先や故郷、生活する街で美しいと感じ、思い出に残っているのはそこで出会った「ひと」でした。
ただ、残念ながら、その場所を醜くするのもまた「ひと」であることも、知ってしまった。次に会う時は笑った顔が見たい。心からの笑顔で抱擁する人たちの美しい風景を見たい。
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