香港あるある

こんな時にも輝く、香港人の面白さ。スパイス効いた笑いのセンスと創造力

香港でここ最近起きたこと。反応する香港人が面白すぎて逞しすぎて惚れ直したので、まとめ。

 

苦中作樂。

読んで字のごとく、苦しい中にも楽しいことを作るという意味の熟語です。

日本でも報道されている通り、香港では逃亡犯引き渡し条例の反対が2019年6月からデモや集会が各地で行われています。

デモ隊に行使された警察の武力、一連の運動を「暴動」と定義した政府への抗議は、香港全域でストライキにも及び、8月12日には香港国際空港が閉鎖されました。

なぜ?どうして交通や航空便を麻痺させてしまうの?

報道のさわりを見ただけでは、彼らの目的や、なぜ激化・長期化するのかピンとこない方も多いかもしれません。

香港のメディアでは毎日毎晩、出来事をネットでライブ中継しています。FacebookなどのSNSではそのたびに辛い、直視できない画像や動画、本来は放送できない罵り言葉の怒号がリアルタイムに流れてきます。

そんな日々の中でも、スパイスの効いた笑いを忘れないのが香港人。
仕事の速さと機転、独創的なアイデアと、時にはとぼけた、時には直球な皮肉を交えた二次創作や書き込みの言葉で、みなが笑い転げています。

ここ最近発生した出来事と、それに対する香港人の「大喜利」「とんち」「創造力」をまとめてみます。

苦中樂作。
笑うのも泣くのも、意味わかんないと離れるのも、自由です。

お寺の街「黄大仙」で催涙弾、市民と神様の反応

経緯

デモに参加したと思われる人が解散後、「黄大仙」駅や公共アパートで拘束される

近隣住民がサンダル履きで警察署や警察宿舎に集まり抗議

通りでは催涙弾、警察宿舎から市民に向け瓶などが投げつけられる

 

黄大仙住民、蒸し皿で催涙弾を止める

 

デモの前線にいる若者は、肌を保護する黒装束に防毒マスクやヘルメットの「full gear」と言われる装備で、道路整理に使うコーンや水を使い催涙弾を消し止める技を編み出していました。

しかし家からサンダルをつっかかけて丸腰でかけつけた「黄大仙地区の住民」は、どこの家庭にもある魚や肉を蒸すステンレスのお皿で催涙弾に応戦。生活の知恵と機転と勇気に、喝采が巻き起こりました。

我睇咗啲乜嘢Facebookより

催涙ガスを喰らった神様「黄大仙」。「線香の煙以外は受け付けない」と激怒、大凶みくじで喝

 

騒動のあったエリアは、霊験あらたかとされ市民や観光客がひきもきらない医術の神「黄大仙」が祀られた廟があります。

黄大仙のおひざ元でなんてことを!と怒る市民もいましたが、翌日SNSに登場したのは「黄大仙おみくじ」のパロディー。

 

大凶です。
「黄大仙はあなたを歓迎しません」と一言でばっさり切り捨てる御神籤の紹介には、「お線香以外の煙は受け付けない」などのセリフも登場していました。

香港デモの5大スローガン、黄大仙お札バージョンが登場

 


お札です。怖いです。無下にしたら、罰があたりそうです。

お札は左から、

1.逃亡犯条例の撤回
2.普通選挙の実施
3.デモを暴動とした定義を撤回
4.独立機関による調査委員会の設立
5.逮捕されたデモ隊員の無罪

となります。

催涙ガスに神風吹く、天上神「ほんの気持ち」

 

黄大仙の被害をうけ、「上帝」(天上神)を名乗るFacebookも「宗教の垣根を越えて団結しなければならない…」と投稿しました。

経緯

催涙弾発射

逆風でガスを警察がまるまるかぶる

「礼には及ばないよ、当たり前のことだもん」
と動画をシェアした「天上神」、

「神様ありがとうございます」

という民の投稿に対し

「苦しゅうない、ほんの気持ちだもん」

「テヘペロ☆」と心の声が聴こえそうな言葉を返していました。

 

「上帝」Facebook
https://www.facebook.com/thecantonesegod/

記者会見用、原稿ビンゴゲーム

 

プレスカンファレンスで、キレッキレな質問を飛ばす記者から

「人の言葉で話してください」

と詰め寄られる林鄭香港特区行政長官。
彼女が会見でよく口にする「慣用句」をつないだビンゴカードが、どこからともなく出てきました。

これらの言葉を繰り返す「テープレコーダー」と揶揄されているようです。

警察「レーザーポインターには殺傷力があるから逮捕」市民「旧暦七夕だし、天体観測しようぜ!」

経緯

天体観測用レーザーポインターを購入した学生会会長を、非番の刑事5人が取り囲み逮捕。

翌日、警察は会見で「レーザーポインターには殺傷力、火災を起こす力がある」と逮捕の正当性を主張。

翌日夜、尖沙咀の「香港スペースミュージアム」で「旧暦七夕にレーザーポインターで天体観測する音楽会」が市民有志により開催される

「レーザーポインターに殺傷?スターウォーズかよ」

 

というツッコミも多かったからか、「音楽会」では「スターウォーズのテーマ」をBGMに流す心憎い演出も。

また、「音楽会」では市民による実験が行われ、「外国勢力」がタバコを咥えて飛び入り参加。しかしレーザーポインターではタバコに火をつけることもできず、レーザーによる火災や殺傷力には疑問が残ると報告されました。

七夕音楽会ダイジェスト

https://www.facebook.com/thecantonesegod/より

音楽会セットリスト

激光中 – 羅文
我是憤怒 – Beyond
發現號 – RubberBand
monica – 張國榮
揸緊中指 – LMF
惡世紀 – LMF
冚港拎 – 杜汶澤
Fxck the popo – JB
WTF – LMF
多啦A夢 – 陳慧琳(「ドラえもん」広東語版主題歌)
自動勝利Let’s Fight – 鄭伊健(「デジタルモンスター」広東語版主題歌)
踏踏步哈姆太朗 – Twins (「とっとこハム太郎」広東語版主題歌)

壹週刊Facebookより

イベントに参加した人やニュースをチェックした香港の人たちから
「この2ヶ月で一番笑った」
という書き込みが沢山ありました。

マラソン参加受付開始。公式サイトが大喜利会場に

 

毎年2月に香港で行われる一大イベント「スタンダードチャータード・マラソン」。応募要項が発表になると、公式FBのコメント欄が「大喜利会場」と化しました。

「大型イベント開催前に、警察や地下鉄に許可申請していますか?」

というコメントには5000以上の「いいね!」
最近のデモは許可が下りず、デモや集会にあわせて、地下鉄がストップするケースが多いためです。

「スタートの合図を催涙弾にすれば、みんな猛ダッシュすると思います」

「福建国や元朗共和国はコースに含まれますか?」
※福建出身者のグループがデモ参加者に襲い掛かった「北角」や、白シャツ軍団が市民を無差別に襲った「元朗」のこと。

「新聞記者は参加資格を取消して。足が速すぎて不公平です」
※衝突現場へ駆け付け、カメラを担ぎ実況中継をしながら走り回る報道各社の記者は大人気。

「最近の香港人は脚も心肺も鍛えられているから、記録が更新されるかもしれない」

「参加したいけれど、体力に自信が無い。ビリになったら放水車に蹴散らされますか?」
※デモ参加者に向けて放水車が出動するため

「ゼッケンに選手番号をつける必要はありますか?」
※警察官が肩章に警官番号を付けていないケースが増えているため。

「私は黒のシューズしか持っていません。拘束されますか?」
※デモや集会のドレスコードが黒のため。

「警察が催涙弾打ち放題の荃葵青、中環、西環、灣仔、油尖旺エリアでは、選手にマスクやヘルメットなどが配られますか?」
※日本語の「放題」は香港で浸透し「催涙弾放題」と使われます。

「スタートは39分遅延しますか?」
※元朗の事件で通報から警察到着まで39分かかったため。

「申し込み後に参加組を変更することはできますか?半年後、ケガをしているかもしれないので」

「優勝したいので、私の後ろに機動隊を配備して追いかけてください」

これらの時事放談大喜利コメントを、主催者は一切削除せずに残しています。

自閉症の息子さんと参加したいという方のコメントには、沢山の応援の言葉が送られていました。

https://www.facebook.com/hkmarathon

 

大人気クレーマー「香港市民王先生」の大真面目なお手紙

 

王さんはFacebook上で、政府機関などに問い合わせや抗議の手紙を公開する市民。大真面目な中国語で真剣に語りながら、市民の疑問や思いを堂々としたため、その率直な質問と独特な言い回しで香港人を爆笑させる大人気クレーマー(?)です。

「香港市民王先生」Facebookより

レーザーポインターの殺傷力についても、王さんは早速、香港警察のエライ人に「武器販売ライセンスに関する問い合わせ」のお手紙を書きました。

 

「警察の記者会見を拝見しました。繁華街でスターウォーズレベルの殺傷力を持つレーザーポインターが売られているという事実に、大変驚いています」

「現行の法例では、購入者は逮捕されても、販売者は罰せられないと信じていますが」

「わたしは仕事の関係で多くの外国企業、スターウォーズレベルの武器やレーザーを扱う企業とも取引があります。バズを製作するアメリカのウォルト・ディズニー社、ドラえもんの小学館、フォースのライトサイド、ヤッターマンも含まれます」

「香港の軍事品売買のライセンスに関して、わたしはよく理解していませんでした。今回の件をうけて大変、鼓舞されております。つきましては、申請手続きの方法をご教示いただきたく」

「わたしが取り扱っている武器の画像を添付しますので、ご参照ください。」

※添付資料は「のび太」「バズ」「ヨーダ」がレーザーを撃つ画像


中国語で朗々としたためた書簡の締めの言葉は

「May the force be with you」
(フォースと共にあらんことを)

また、王さんはとてもまじめな市民なので、ある警官が市民に対し
「タイマンやんのか」
と発言した動画を見て

「この警官がおっしゃるタイマンとは、どのような活動でしょうか?

きっと健康的なイベントなのでしょう。

私もぜひ参加したいので、応募方法を教えてください」

 

と問い合わせのお手紙を警察に出したのですが、
「クレームは受け付けました」
と返信が来たため
「警察は中国語も読めないのか?!」
と大層おかんむりでした。

王さんのお手紙はFacebookに掲載されているので、中国語に覚えのある方はぜひご一読を。

「目を返して」空港がマヒする集会に発展した事件

 

そんな王さんも、尖沙咀でひとりの女性が警察が発砲したとみられるビーンバッグ弾らしきもので重傷を負った事件の後は、

今は暴政をユーモラスに風刺する気持ちにはなれません

 

とつぶやいていました。

催涙弾やビーンバッグ弾で負傷するひとの中のは、デモに参加したひとだけではなく、たまたま通りかかっただけ、近くに住んでいるだけの市民も含まれています。催涙弾の煙をかぶってしまった小さなこどもや高齢者、近隣の動物病院にいたペットまでも、涙を流して苦しんでいました。

その被害者の目や体を洗い手当てをするのは、デモに参加する若い人たちや、救護ボランティアの人たち。

右目を負傷した女性も、救護のために現場にいたのです。

この事件の翌日、2019年8月12日、香港国際空港で緊急の座り込み集会が始まりました。

 

 

香港 デモや集会予定日、時間、ルートと注意点(2019.09.12 01:00 更新)現時点で公表されている香港で予定されているデモの日程を注意喚起としてまとめました。 香港で生活している方も、旅行、出張、滞在される方も多いと思います。ここで主義主張は論じません。ただ、これ以上ケガなどの被害者が出ないよう。...

 

 

ABOUT ME
mimi
台北在住のライター/コーディネーター。 長年暮らした香港から、猫を連れて台北へ移住しました。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|