30年ぶりの東京生活

無造作に生卵を食べる東京の幸せ、台北では目をつむっていたこと。

2023年1月記録的な寒波の夜は、そばを茹でて食べました。
長葱をきざみ、納豆と生卵を乗せた月見そば自由形。美味しかった。

 

日本に帰って来て嬉しいのは、新鮮な食材が適正価格で手に入り、新鮮に美味しく食べられること。茗荷や大葉や柚子、日本から輸入したものは台湾では贅沢品でした。デパート内のスーパーで高知産の柚子が一個300元(当時のレートで約1200円)くらいの値段がついていて、恐ろしくて手に取るのもはばかられたし。日本に帰って来た夏は、失われた数十年を取り戻す勢いで茗荷と大葉を摂取していました。

 

それから、生卵も。
帰国直後の8月の夕方、憧れの松屋のカウンターにひとり座り。出てきたトレイに生卵が添えられていたから、スツールからずり落ちそうになるほど衝撃を受けました。
「生で食べられる卵なのでご安心ください」
などの説明もなく無造作に卵が生で出てきたけど、いいの?
割るよ?
食べるよ?
うっま。
震えるほどおいしかった。

今思うと、台湾の卵は高かったな。香港では卵を使った料理やお菓子が美味しかったけど、台湾のはちょっと違っていました。「薄いなあ?」と首をかしげることもあったし、市場の同じ店で同じラベルの物を買っても、先週と今週では濃さや味が違っていた。それが生ものの醍醐味と言われたらそれまでだし、市場の活気や熱気が好きだったから、(そんなもんだ)とあまり深く考えずにやり過ごして暮らしていました。


台北ではそれなりのルートをたどり、お金を出せば、美味しい「生でも食べられる」と銘打った卵も手に入ります。でも、卵って生活に欠かせないもの。家の近所で気軽に買って美味しく食べられるのはどれほど幸せなことかと、今となってはしみじみ身に染みて思う。
「美味しくないたまごってどういうこと?そんなものがあるの?」
日本の家族や友達から心底不思議そうに尋ねられ、
「あるの。」
静かに答えながら、台湾から離れてみて思いあたること、わかっていたのに目をつむっていたこと、熱気に押されて言えなかったことも、多少はあると気づきました。

でも、台北で暮らしていた街の市場は本当に好きだった。東京に戻ってしばらくたつ今でも、「日曜日だから市場へ行かなくちゃ」と寝ぼけた頭で考え、だんだん目が覚めるにつれて呆然と、寂しさを感じることもあります。

台北の市場の活気と人にもまれて元気になる。台北の街の市場へ行き、人にもまれて人と喋ると元気が出る。これは、新型コロナウイルスの感染予防に緊張していた冬からずっと、変わらなかった。 市場に活気があれば、大丈夫。...

 

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|