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30年ぶりの東京生活

スシロー迷惑行為動画問題が忌々しいから、台湾スシローの「鮭魚之亂」を微笑ましく振り返る。

先日、日本に帰って来て初めて回転寿司を食べに「くら寿司」へ行きました。
ボックス席の脇を回るレーン、よそのテーブル行きの皿は目にもとまらぬ速さでびゅんびゅん飛んで行くし、自分たちの注文したものは「来るぞ」と予告されて目の前でぴたっと停まるシステムにも、度肝抜かれちゃった。私はまるっきり訪日外国人状態で
「二ホンのカイテンスシのシステム、超クールデスネ!」
と大興奮。口を開けてぼーっと見ていると、高校生の甥が甲斐甲斐しく世話してくれました。
「こんな面白いアミューズメントなら、海外から来る人も喜ぶよね。外国語のメニューはないのかな」
日本語表記だけのテーブルメニューを裏返してつぶやくと、注文用のタブレットにある言語選択ボタンを指して「これで変えられるから、大丈夫だよ」。
「米コーラ」って何?と戸惑えば「半分こして、飲んでみようよ」。
甥っ子、頼もしいやら、可愛らしいやら。

米コーラ。「駄菓子屋で飲んだ味」と昭和世代は盛り上がり。半分こで正解。

 

高校生にもなると、友達同士で回転寿司に行くのね。面白い食文化だなあと感心したばかりだったので、先日のスシローの迷惑行為動画はショックでした。やらかしたのは、どこかの高校生なのだそうです。なぜ迷惑行為をわざわざ動画を撮って自ら証拠を残し、あまつさえネットに流してしまうのか。不思議でたまらない。

 

ところでスシローと言えば、台湾関係者ならコロナ禍の2021年に起きた「鮭魚之亂」を思い出すのではないでしょうか。
嫌なものを見てしまった後には、口直し。
久しぶりに当時の台湾スシローの「鮭騒動」をプレイバックしてみたら、微笑ましいものでした。
Wikiが大真面目にまとめられている時点でもう、口角が上がってしまいます。

「鮭魚之亂」 維基百科,自由的百科全書

台湾のスシローが「名前が鮭魚なら1卓6人まで無料」などの鮭キャンペーンをはったところ、台湾全土で331人のお調子者が「鮭魚」に改名したのだそう。日本では、親につけられた名前で苦労した人も改名手続きはとても大変だと聞いていたけれど、台湾ではカジュアルなのね。「役所に行けば即OK、身分証の表記も直してもらえる」と、この「鮭の乱」で初めて知りました。改名は3回まで出来るため、一時的に「鮭魚」になってお寿司をお腹いっぱい食べ、キャンペーンが終わったらまた元の名前に戻せばいいと、お気楽な考え方だったようです。

でも、すでに2回改名済だったのを忘れて3回目に本物の「鮭魚」になってしまった人や、改名して友達も引き連れ意気揚々と会計時になってようやく
「ここスシローじゃない、くら寿司だった」
と気づいて全額自腹精算した人など、お調子者の度が過ぎた人たちもニュースになるなど、台湾の社会現象だった「壽司郎・鮭魚之亂(スシロー・サーモンの乱)」。
笑いごとだけではなく、刺身だけつまんでシャリを大量に残す食の浪費、短期間で改名を繰り返し役所に不要な負担をかける人的浪費が指摘されるなど、当時はさまざまな議論がなされていました。でもこの騒動は、薄暗いコロナ禍に差し込んだサーモンピンクの光だったかな。キャンペーンを張った会社と改名までしてタダ寿司喰らった人たちが提供してくれた「ネタ」で完結したように思います。

Wikiによれば、2021年6月9日のドイツのクイズ番組「Wer weiß denn sowas?」で「無料の寿司食べ放題のために、台湾では何が起きたでしょう?」というお題に回答三択。(A)「数千人が刺青を入れた」(B)「米のプールで水泳大会」(C)「多くの人がサーモンに改名」。正解(C)と発表されると、驚きと爆笑が起きたのだとか。
無料の寿司食べ放題のために名前を変えるなんて、ばかだねえ。
「鮭魚之亂」は誰もが呆れ、笑った案件だと思います。
でも、迷惑行為と動画まで残したあほんだらより、よっぽど可愛げがあった。サーモンの乱は、愛すべきお調子者たちでした。

 

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|