台湾のニュース

台湾となら勝っても負けても抱きあって泣き笑いできそう。WBSC世界野球プレミア12

台北で習っていたドイツ語のクラス、ある土曜日にいつものように教室に入って「ぐーてんたーく」と挨拶すると、振り返ったクラスメートたちは殺気立って異様なムード。
私以外全員台湾人、みんな仲良くしてくれたけれど、その日は私を見るなりすごい勢いで取り囲み口々に何かをまくし立てていました。
「なに?どうした?」
驚いて尋ねると、ひとりが笑って「野球のことだよ。日本が、台湾に勝ったの」。

そういえば、なんたらベースボールだかクラッシックだか、そんな大会が台湾で開かれていたっけ。私がドイツ語を習い始めたきっかけはサッカー観戦だったけれど、野球には全く縁がありません。頭から終わりまで試合を見たこともなく、人生で最長の野球の試合は映画「KANO」というレベルなので、みんなが何を興奮しているのかよくわからないけれど、

「日本、おめでとうッ」
男の子が目に涙を浮かべて叫び、
「おめでとう。でも、悔しいぃぃい!」
日本語が上手な女の子がそう声をあげて抱き着いてきたから
「はい、ありがとう」
と私も抱き返して背中を叩き、笑いました。

私はサッカー観に行って、対戦相手の側の人にこんな風に言ったことも言われたこともありません。サッカーは街と街の戦いだった。対戦相手のサポーターとすれ違いざまに罵声を浴びることはあっても、讃えあうことは、この先も、無いと思う。
だから台湾の子たちが、本当に好きな野球の代表チームが日本に負けて、悔しさの矛先を週に一度会うドイツ語教室にひとりだけいる日本人の私にぶつけて来たのには純粋に驚きました。
悔しいと言って、おめでとうと言って、負けた相手の国の人に抱き着ける心意気。

 

WBSC世界野球プレミア12、台湾も日本も一緒に2次ラウンドに進むのだそう。あっちこっちで喜んでいる台湾の人たちの声で知りました。

 

 

政府が出てくるほどの大事なんだねこりゃ。
台湾の人たちにとって東京は勝手知ったる庭みたいなものだろうし。
野球のこと全然わからないけれど、いい試合、いい気分でスタジアムの中も外も熱くもりあがるだろうな。

台湾の人たちとのスポーツ観戦は、気持ちよく楽しい思い出がいくつもあります。東京での試合、ちょっと紛れ込んでみたいな。

 

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|