旅を楽しむために「行く価値」「見る価値」「食べる価値」の有り無しをたずねても、曖昧で平坦な答えしか返らない理由
台湾や香港で、良く聞かれたのは
「ここへ行っておけって言う場所はどこ?」
「見る価値のあるものはなに?」
もし外国人旅行者に
「日本で観に行く価値のあるスタジアムはどこですか」
と聞かれたら、一瞬迷いませんか。
旅行者に、自分のひいきのクラブのホームスタジアムをすすめるか。それとも、国際大会を開催するレベルの有名スタジアムを答えるべきなのか。
この手の質問に対して「どう答えればこの旅行者を満足させられるだろう」と戸惑い、無難な最大公約数を探して目が泳ぐひとたちを、沢山見てきました。
旅をもっと楽しむなら、現地の人にどんなふうに尋ねたらいいでしょう?
私の経験から思うキーワードは、「価値」ではなく「あなたの好きな場所」でした。
台北でスタバにいく価値、あると感じる、無いと感じる
例えばカフェについて。世界中のスターバックスのタンブラーを集めている人なら、台北のスタバへ「行く価値がある」のでしょう。
でも、純喫茶派や個人経営のカフェが好みの人には、スタバ以外に行きたい店がきっとある。
1日3食、飲めるコーヒーは何杯?
限られた胃袋のキャパシティや予算の中で、失敗しないために「美味しいものや店」を知っておきたいのは人情というものです。
私は「価値の有る、無し」という表現と尋ね方には、違和感を覚えます。「誰かが点数をつけたところなら、無難だろう」と、自分史上最高の楽しさをあらかじめ放棄してしまっているように思えるから。
高いお金を出して休みをとってここまで来て、他人のハッシュタグや点数に乗っかるだけでいいのかい?
内心、誰かの価値に乗っかるだけのお気楽な人は突き放したくなります。旅を楽しめ、自分の足と目と鼻を使って、街を感じるのはあなた自身でしょうと。
でも、みんながみんな、旅慣れているわけじゃない。
誰もが的確に欲しい情報を調べるスキルを持っているわけでもない。
台湾は親日とはいわれても、ここは異国の地。どこでも日本語が通じるわけじゃない。
どきどきするけど、せっかく来たから何か楽しいことを思い出にしたい。美味しいものを食べて、笑い合いたい。その気持ちとてもわかる。
スタバで目当てのものを探すもよし、地元のおすすめカフェを探すのも良し。
誰かがつけた価値をなぞるだけじゃなく、あなたの心と体が楽しいと感じる旅をしようよ!
おすすめを聞くキーワードは「あなたが好きな場所」
私の「価値観」では、見知らぬ誰かの「行く価値」「見る価値」「食べる価値」を基準にはしせん。
自分のカンと好みと失敗と成功の経験、それを頼りにして辿り着いた場所ほど、面白い、忘れがたいものはありませんでした。
でも、好きな人や信頼している人が
「あれ美味かった」
「あそこ超面白かった」
「好き」
と教えてくれたら、興味を持つことがあります。
生身の人間が「あれスキー」「これイヤー」と個人的にしてきた体験だからこそ、面白いし参考になる。
でも、「インフルエンサー」や「キラキラしたい」「インフルエンサーになりたい」「ワナビー系」のいうことや紹介するモノは、話半分でいいかな。
企業から依頼された広告や、自分の好みよりいいねとフォロワー数を増やすために、ウケそうな商品を身に着けたり食べたりおすすめしている可能性が高いから。そこには温度や愛情、こだわりは感じられない。
土地の人に「おすすめ」を尋ねる時は、
「私はこういうのが好み、こんなことを見たいの。ところであなたの好きなものってどんな場所?」
と、ある程度具体的に聞いてみます。
「あなたが好きなものは何?」
と尋ねられれば、生き生きとした、温度のある答えを返すことができる。
「有名なスタジアムなら〇〇だけど、私は△△のこういうところが好き。〇〇に比べたら小さいけれど、こんな良いところがあるよ。あ、スタジアムではこれとこれを食べてみてね。あなたが気に入って、楽しんでもらえたらいいんだけど」と、「好きなこと」を話す温度で伝えられるからです。
このためだけに、遠出する場所
「台中の高美湿地は行く価値があるか」ときかれたら「いいんじゃないですか」と平坦な回答しかできないかもしれない。
でも、好きな友達が
「高美湿地、すっごい良かったよ!」
と笑顔で教えてくれたら、「行ってみたいな」と心が動きました。
大人気の九份ですが、人が多すぎて個人的に(台湾在住者なら多分誰も)特にはすすめないところ。でも、例外的に「ここへ行くためだけに九份方面へ遠出したい」と思うカフェ・レストランがあります。
誰にとっても正しい答えではなく、「あなたのおすすめ、好きなもの」。最大公約数、顔の見えない誰かのつけた「価値」ではなく、「あそこ美味しいから食べに行くといいよ」という生きたことばに導かれるのは楽しく、暖かい経験と思い出になりました。
香港式のこのタイプの麺が苦手で、どんな有名店も私は注文しません。でも、信頼している熱い人に連れていかれたので食べました。面白かったです。
旅を安全に、心から楽しむためには、自分の五感を全開にしてみてください。危険なもの、うそやハッタリを遠ざけ、静かに眠る美しいもの、穏やかな優しいもの、正しい活気に近寄り選ぶ自分のカンを、大切にしてください。
台湾と香港の旅行をもっと楽しむコラム集
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