「しあわせを分けなさい」が街角に流れるとき:ウエディングMVの裏側で変わる音楽業界の新ルール

AKB48の新曲「しあわせを分けなさい」(8月31日発売)のミュージックビデオが4日、ついに公開された。今回のテーマはずばり「結婚式」である。第8回選抜総選挙を勝ち抜いた16人のメンバーが、なんとも多幸感にあふれる挙式の様子を演じきっている。話題の的はなんといっても、新婦役を務めるHKT48の指原莉乃(23)と新郎役の平成ノブシコブシ・吉村崇(36)が見せた誓いのキスシーンだろう。「撮影とはいえ、みんなからお祝いされるのは、正直ちょっと恥ずかしかった」と指原はこぼすが、そのはにかんだような表情すら、この楽曲のハッピーな世界観をさらに引き立てている。

こうしたウェディングソングやキャッチーなポップスは、やがて全国のカフェや商業施設でBGMとして日常空間に溶け込んでいく。ふと立ち寄った店先で、彼女たちの明るい歌声が耳に飛び込んでくる機会もこれから増えるはずだ。しかし、ここで少し視点を変えてみたい。実は今、街中で何気なく流れているその音楽をめぐって、日本の音楽ビジネスの根幹が大きく変わろうとしているのだ。

去る6月17日、参議院本会議において改正著作権法が可決、成立した。これまで、カフェやレストランといった国内外の商業スペースでレコード音源がBGMとして流された際、実演家である歌手やミュージシャン、そしてレコード会社には十分な対価が支払われないという実情があった。今回の新制度の導入により、彼らはBGMの利用料から分配金を受け取る「報酬請求権」を新たに獲得することになる。つまり、店舗のスピーカーから楽曲が流れるたびに、クリエイター側の懐に正当なロイヤリティが還元される仕組みがようやく整ったわけだ。

政府はこの法改正を通じて、音楽制作者や実演家の権利保護を底上げし、さらには日本の音楽産業のグローバルな展開を後押ししたい構えを見せている。国内の店舗にとどまらず、海外のカフェやショッピングモールで日本の楽曲がプレイされた際にも、アーティストたちが経済的な恩恵をしっかりと受け取れる道が開かれたのは極めて意義深い。

指原たちがMVのなかで表現した「しあわせのおすそ分け」は、これからはBGMという形で世界中の空間を彩っていく。そしてそれは同時に、正当な対価というクリエイターにとっての「しあわせ」となって、彼ら自身のもとへ還ってくることになる。エンターテインメントの華やかな映像の裏側で、音楽の聴かれ方と稼ぎ方のエコシステムは今、確かな成熟の季節を迎えようとしている。

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