小室哲哉PIANO BIOGRAPHY feat.坂本美雨が、台北101近くのATT Show Boxで開催されました。
「どうして坂本さん?と思ったんですけど、聴き終わったら、坂本さんで良かったと思いました。」
ライブの後でばったり出会った台湾人の同僚が日本語で話してくれた言葉は、そっくりそのまま私も同じ感想だった。
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「私はglobe世代」と自然に言える台湾人
台湾の人と話していると、同じ音楽や同じ本に対して近しい感想を持っていることが良くあって、とても嬉しくなる。
彼女は今年に入ってから入社して、別のフロアの別部署で業務も関わることがないけれど内線を丁寧に取り次いでくれたり、会えば笑顔で挨拶をしてくれるから、真面目な、感じのいい人だなと思ってた。
まさか15年前に小室さんが台北でライブをしたときのうちわを今でも大事に持って、前から二列目にいるタイプだとは思いもよらなかったし、彼女も私が「そういうタイプ」(?)とは知らなかったと、酷く取り乱したような、興奮状態になっていた。
ライブの後で話しかけてくれた隣の席の女の子は、小室さんに渡すお手紙を大事に持っていた。
「日本語で書いたの」
と尋ねると、
「英語。日本語わからないから」
見せてくれた封筒の表には To.T.Kと書かれてた。
会場にいた台湾人のほとんどが、globeや安室奈美恵ちゃんを聴いて育った人たち。
TM世代の私には、T.Kとか先生という呼び方はどうも馴染まず
「へー」
と思う。
なので、この文章の中にはTM世代に多分一番しっくりくる「てっちゃん」と、時々表記する。
globe、trf、華原朋美ちゃん、安室奈美恵ちゃんのヒット曲を小室さんのピアノ、葛城哲哉さんのギターで坂本美雨ちゃんがソプラノの声で歌い上げた。
あの濃い両親からよくぞこんなに素直で無垢な女神の様な娘さんが育ったものだと感心してしまったけれど、オリジナルの歌手の方や、ファンの方に失礼のないように・・・と言っていたように、知られた曲を唄うのは相当なプレッシャーもあるだろう。
でも、美雨ちゃんはずっと笑顔で、とても幸せそうに心を込めて唄っていた。
唯一、globeのCan’t stop fallin’ in loveでは、切なげな苦しげな表情になっていた。
それを見て、きっと美雨ちゃんは子供の頃からこれらの曲を何度も聴いて、歌って、彼女が大人になる過程に重なる部分もあったんだろう、だから聴いている私たちも自分たちに重ねて素直に受け入れられて、冒頭に書いたような、同僚や私も持った感想に落ち着いたのかもしれないと思った。
美雨ちゃんの声で曲を聴いて改めて、keikoちゃんやyukiちゃんのようなボーカリストを見つけて選ぶ小室さんの感覚は凄いんだなと感じた。
美雨ちゃんの声には、華原朋美ちゃんの曲が一番あっていたように思う。I’m Proudはとても好きな曲、美雨ちゃんの綺麗な声に情念とか凄みすら感じられ、何よりも、この曲がとても好きなんだと伝わって来て聴いているほうも幸せになる。
まさか台北で、てっちゃんのピアノで聴けるとは思わなかった。
「じゃあ、次は北京語だね。」預言者の何気ない一言が、現実になってしまった
随分前のことだけれど、香港での小室さんライブの裏方の手伝いをして、
「挨拶しないの」
と小室さんの前に引きずって行かれた時の気が動転する感覚は、今思い出しても頭を抱えるほど恥ずかしい。
「広東語が話せるの?じゃあ次は北京語だね。」
小室さんにそう言われて、当時は台湾へ移住するは考えは全く無かったし、広東語だけで十分生きていけると高を括っていたので、(えー何言ってるのてっちゃん)なんて不思議に思った。
数年後に色々あって中国語を勉強し始めて、あれは預言だったのかなと気づいた。
遠くを、先を、広いところを見る力。
電気仕掛けの預言者は、音楽や言葉で、私を生まれて育った場所から別の場所へ、香港や台湾へ導いてくれた気がする。
ライブの翌日、会社で「組織図」を見て会場で出くわした同僚の名前と部署を確認し、彼女のいるフロアに用事が出来たついでに
「おはよう~昨日は・・・」
と話しかけると、とても慌てた様子で立ち上がり
「いや、それは、ここではっ・・・」
と真っ赤になっていた。
彼女の都合の良さそうなときに、どんな切っ掛けでglobeを聴くようになったのか、どの曲が好きなのか、尋ねてみよう。