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ふくみみコラム

清志郎はいつも、誰かの向こう側にいる人だった

昨日が清志郎の命日だった。自分が清志郎より年上になっていたことに驚いている。

清志郎はいつも、誰かの向こうにいる人だった。好きだった男の子、仲良しだった友達、憧れていた人が清志郎を好きで、その人たちが私のために曲を選んだカセットテープをくれたり、ギターを弾いて歌ってくれたりした。ライブにも連れて行ってもらった。でも私は、清志郎を特に好きにならなかった。清志郎はいつも、誰かの好きな、遠くにいる人だった。

宮城君が亡くなって日比谷野音での追悼ライブ、清志郎も来て、馬鹿野郎と怒りながら、舞台に飾られた花をなぎ倒しながら、清志郎自身が宮城君たちのために作った「バカンス」を歌ってくれた。

みんな泣いて泣いて、泣いて、私はひそかに、清志郎ありがとうって思った。自死した宮城君を怒ってくれて。私たちは高校生の頃から知り合いで同じ町で遊んでいて、年が近くてみんなまだ若すぎて、混乱していて、悲しすぎて、怒ることができなかったから。

もう清志郎より年上になったと気づいたからには、悲しみをきれいごとで済まさない、馬鹿野郎と怒れる大人でいたい。

 

 

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。