久しぶりの台湾旅行の写真を見て思い出す、日本の雑誌の台湾特集表紙に「こんなイメージなのか」と台湾の人たちががっかりしたこと。
どこもかしこも水際対策が緩和されて、海外旅行の報告を見聞きする機会が増えました。航空券は運賃よりも燃油サーチャージが高くて目をむいたり、ホテル代が過去よりさらに高額でひっくり返ったりはするけれど、それでも出かけずにはいられないでしょう。
台湾で、懐かしい場所や好きなお店を再び訪れるのもきっと嬉しいこと。
でも、台湾でアップされる食べ物や風景の写真を眺めていると
(コロナ前と変わらんな)
(変わらないことが嬉しい)
ことに共感する一方で、数年前のあの騒動を思い出します。
ある雑誌の台湾特集の表紙が、通りにずらりと並ぶ看板やバイクの風景で、現地の人々は
「日本人にとって台湾はまだこんなイメージなのか」
と驚き、がっかりしたということ。
当時私はまだ台北で暮らしていて
(そうだね。これが作り手にも受け手にも喜ばれる、日本人にはキャッチーな台湾だし、実際この風景はまだあちこちにみられるじゃないか。何を悲しむことがあるのだろう)
と思いました。
でも台北を離れて東京で暮らすようになり、雑誌ではなく一般の旅行者が相変わらずの台湾を喜んでいるのを見て、あの時の彼らの気持ち
「台湾はまだこんなイメージなのか」
と呆然とする気持ちが、なんとなく私のなかにも芽生えたのです。
変わらない台湾。懐かしい台湾。
好きな場所がまだ残っていて、そこをまた訪れることができる幸運は、心から祝福するべきだと思う。
香港では、次に行ったらあの店はもうなくなっている。あの景色はもう見ることができない、あの人はもういない。そんなことが続いているから、まだそこにある、そこにいてくれる幸運をかみしめてほしいと思います。
でも、できれば、プラスアルファで新しい場所も知ってもらえるといいな。それは台湾でも香港でも、どの場所でも。
じゃあどこへ行きゃいいんだよ?何をすりゃあいいんだよ。
そうね誰かが盛り付けた素敵情報をなぞるのも、それでいいならいいんじゃない。私は自分がSNSを持っているから、SNS情報はあんまりあてにしないです。
じゃあどうすりゃいいんだよ?何を信じりゃいいんだよってなりますけれど、やっぱりちゃんと足を運んで取材している、限られた誌面に情報のエッセンスをまとめた紙の媒体かな。ネットならすぐ削除も修正もできるけれど、紙は一回出したら回収が大変だから、しっかりチェックしている(はずだ)から。
そこにいたはずの人が別の場所に移っているのも、SNSでは知らされない、見えてこないことがよくあります。本当の身内、連絡先を知っていて、SNS上ではなくプライベートで話す人達だけが知っている居場所。
SNSに再びの旅を記している方たちも、懐かしさとまだそこにある幸せ以外に、アップデートは実感されているかもしれませんね。そういうお話が聞けたらいいな。SNSには書けないこと、書かないことのほうがきっと多い。思うことや真実、事実を全て人目に触れるように記すわけではないのだから。旅のことも、多分。
そうは言っても、次に台北へ行ったらやっぱり、あの子やこの子に会いに行きたい。あの店やこの店で、この間の続きみたいに座って食べたり飲んだりしたいです。
SNSとのお付き合い、振り回されないように気を付けています。
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