台湾のカフェ

「トキオから来ました」 外国語学習の原点に立ち返る。

台北でドイツ語検定を受験

台湾に住んでいるのに、私はドイツ語を勉強しています。細々と続けているため、去年やっとドイツ語検定のA2に合格しました。

ゲーテ・インスティトゥートのドイツ語検定(台湾)の概要

https://www.goethe.de/ins/tw/cn/spr/prf.html

読み書き作文は試験前にみっしり詰め込み、今はほぼ忘れている。
覚えたはずのことを解答用紙に吐き出して、試験会場にそのまま置いてきたんだと思う。結果、「紙に書いた部分」は高得点をたたき出したけれど、肝心の「口頭試験」は合格ラインぎりぎりだった。
口頭試験は受験者と2人一組のペアを組まされて、教官が用意したお題について話し合うものだった。相手の女の子は多分大学でドイツ語を学んでいる学生で、とても真面目そう。
化粧っ気もパーマっ気も無く、口ひげがうっすら生えていた。彼女は「必死で覚えた」であろう典型的な口頭試験用の会話を畳みかけるように私にぶつけてくる。
会話ではなく、自分の知っていることだけを「台湾訛り」プラスドイツのどこかの地方の訛りで、何かに追い立てられるように早口にまくし立てるので
「何ですって?」
と何度か聞き返した覚えがある。
私は考え考え、彼女の口ひげも気になるし、つっかえつっかえ、極力少ない語彙で簡単に話したので自己主張をした彼女との比較においても、教官の評価は低かったと思う。

典型的な日本人のアクセントですね

台湾にいてドイツ語を話す機会はほぼ無い。
仕事でお会いする相手がドイツ人だったとしても、彼らは私より中国語が上手か、英語でビジネスをする。
私も、つたない言葉をビジネスの相手に披露するつもりはないし練習相手にするのは失礼だと思うので、お見送りの時にちょっとドイツ語で挨拶する程度。
今より上のレベルの試験を受けるには、会話の練習が必須だからプライベートレッスンの先生を探してみたところ、運よく日本人の先生を見つけることが出来た。
一番最初のレッスンで、まずは自己紹介をということで学校で散々習ったことを一通り喋ると、先生はにっこり笑って
「典型的な日本人の話し方ですね」
と評価された。
台湾人の先生に
「日本人訛りだなあ・・・可愛い話し方だなあ」と言われたのをポジティブに捉えていたし、ドイツ人の友達に「あなたの発音は〇〇君より上手」と感心されたこともあって、ドイツに長年いる〇〇君と比較して褒められるなんて自分いけてると勘違いをしていたことを、思い知らされた。
口先だけで喋る、平坦で典型的な日本人の発音を嫌った広東語の先生に、腹から声を出せ!とみぞおちに軽くパンチを食らったことを思い出す。
ある程度話せるようになると自信もついて堂々と腹から声を出せるけれど、自信のない初心者は、カタカナで読み上げる平べったい話し方だったんだと思う。

餃子も東京も、相手に合わせてギヨザ、トキオに

また、「相手に伝えることが大事」だとも改めて教えてもらった。
私は東京から来ました。という部分を、トキオから来たというのは抵抗があり日本人によるトウキョウと発音していたけれど、それでは一般的なドイツ人には聞き取ることが出来ない、自分の名前もそう、日本人の名前に馴染がなければ聞き取れないから、特に固有名詞はゆっくり発音すること。
訛りがあって早口では、一体何を喋っているのか相手は聞き取れない。
ドイツ人が「ギヨザ」と呼ぶものが「餃子」であるように、「相手に伝える」こと、「相手が何を言っているのか理解する姿勢」を意識して会話をすること。

早口ではったりをかましても、聴く耳を持てば誤魔化されない

外国語を早口で喋っているのを、知らない人が聞けば「おお、すごい!上手!」と感心するかもしれない。

香港に行ったばかりの頃、日本人で広東語を話している人を見て、なんて上手なんだろう、どうすればあんな風に話せるようになるんだろうと、ショックを受け、焦ったことが、何度もあった。
でも、数年たつと、「そうでもない」ことがわかってくる。
語彙の豊富さ、発音、良い言葉で丁寧に話しているかどうかが聴こえてくるので、本当の意味で上手な、美しい広東語を話し、聞き取り、会話ができる人と、
下品でぶっきらぼうな広東語を少ない語彙で相手に吐きすてているだけの人の区別がつくようになった。
でも、汚い話し方をしていても、友達や仲間が沢山いて楽しくしている人だって沢山いる。
結局、どういう人と付き合って、何について話をする生活をするかが外国語でコミュニケーションや仕事をし、友達と話し合い、アクシデントを乗り切ることができるようになるかの鍵かなと思う。

目的は「伝えること、相手の言わんとすることを聴くこと」

ドイツ語の試験を受けるというと、何を目指しているの、どこへ行くのと聞かれることがたまにある。
何も目指していないし、どこへも行くつもりはない。
ただ勉強したい、ちょっとくらいは話せるようになりたい、それだけなんだけど、文法の難しさや発音、敬語なのかタメ口なのかに引っかかってしまい、随分長い間マゴマゴしてた。
でも、新しいドイツ語の先生に出会って、ちょっと肩の力が抜けるというか、どこを目指していくのかがわかったようだ。
「ドイツ人結構適当ですからそんなに気にしなくて大丈夫」
と先生がおっしゃるのでびっくりした。
それを真に受けすぎて適当に勉強するのではなく、「伝えること、相手の言わんとすることを聴くこと」を優先して、他のことを気にしすぎないようにしよう。
今年も台湾でのオクトバーフェストは楽しかったです。
ABOUT ME
mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|