台北生活の日記

経歴と、断言する物言いには騙されない。

まず最初に過去や現在の所属、学歴や点数を披露してから語り始めるひとの話は、ちょっと聞けば不細工なパッチワークが見えて来る。肩書をがっちり積み上げている人ほど、そうしたほころびのみすぼらしさが際立つ。完璧な人などいない。でも、得意げな様子を見るのは辛い。いたたまれなくなって、私はそっと目を伏せ耳を閉じ、そうした人から離れていく。

一見「ご立派」で世間的には「すごーい」といわれるような「肩書」を持つ人が「それはこうだから」「欧米ではこうだから」「アジアでは」「台湾では」「香港では」「日本では」と「断言」すると、信じたくなってしまう弱い気持ち。

誰かの言うことを「知らなかった」「世界はそうなんだ」「あの人が言ってた」と信じたくなる気持ち。肩書を持って断言する誰かを信じることで、自分も知恵を得たような、得意に階段を上って行けるような錯覚。

目に見える数、目に見える愚か者よりも、浮かび上がろうとはしない賢者のほうが、世の中には多いと思う。深く考え、浅く浮かれ、人目につかない行動を続けている、良い心持ちの人たち。断言するとしてもそれは静かで、他人の頭にたたきつけるものではなく、その人にとっての善悪や矜持がはっきりしている時。そういう人と、だらだらと、実の無い話をするのが好き。明日になったら何喋ってたか忘れてしまうほど、笑って過ごすのが好きだ。
翌日には忘れてしまった話ほど、私にはそれからしばらくして、響いてくることがある。でも、話した相手は、私に種をまいてくれたことなど少しも知らずにいる。

 

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|