ドイツ

House of 4711、ケルン大聖堂を横目に目指すはオーデコロンの源「4711」本店

4711と再び巡り合ったドイツ旅

 

4711(フォーセブン・イレブン)のオー・デ・コロンは、18歳から20代の前半まで、良く使っていました。

オレンジ系シトラスの香りは甘すぎず男女ともに使えて、あのころは結構人気があったと思う。化粧品専門店や、当時あったソニープラザで私は買っていました。

使うのをやめたのは、あるアーティストも愛用していると知ったから。その方と接する機会のある仕事を短い期間することになり、「同じコロンを使ったら、真似してるとか変なアピールしていると誤解されるかもしれない」と恐れをなしたためです。

それから私はその仕事を離れ、大手を振って4711に戻ることができたのに、香港に移り住んでSASAやDFSで見つける別のものに眼がくらみ乗り換えたりして、しばらく4711から離れていました。

4711と再会したのは、台湾に移り住み、ドイツへサッカーの試合を観るために行った2011年です。

 

 

ドイツに到着したのは早朝。フランクフルトで飛行機を降り、私はドイツ高速鉄道DBに乗り換えてデュッセルドルフへ向かいました。

初めてのドイツ旅、ドイツ語も右も左もわからずに乗った列車は、急に行先を手前のケルンに変更。有無を言わさず予定外の場所でおろされ、どこで目的地行きに乗り換えられるんだろうとホームを見渡した時、巨大な駅の窓ガラスの飾りに気づきました。

「オー・デ・コロン」の由来は4711番地のケルンの水

ドイツのケルンと言えば、世界遺産の「ケルン大聖堂」が有名です。海外旅行ではなんとなく教会を見ることはあっても、私は世界遺産や観光名所に全く興味がありません。ドイツへの旅はサッカーの試合と練習を見ることが目的だったので、ライン川下りやノイシュバンシュタイン城など、ドイツで見るべき場所といわれる場所は完全に予定外。それでも、ケルン大聖堂だけは旅の拠点デュッセルドルフに近いので、暇を持て余したら行ってみるか…という程度に考えていました。

ゲルゼンキルヒェンにあるシャルケのサッカースタジアムとその周辺、デュッセルドルフのレストランやカフェ、ケーキとチョコレートショップ以外は下調べもしなかった。

大聖堂のあるケルンが4711発祥の地だということ、ナポレオンの時代、フランスに統治されていた「ケルン」で香る水を作る場所に振り当てられた番地が「4711」だったこと、「ケルンの水」はフランスに持ち帰られ、「オー・デ・コロン」(コロン水)の語源になったということも、何も知らずにたまたまケルンの駅に降り、ここがその地だということを目の当たりにしてしまったのです。

そもそも、4711がドイツのブランドだということにも気づいていなかった。私が使っていたのは「ポーチュガル」というラインだったので、「ポルトガルかな?」という程度の認識でした。

ドイツ国内ならたくさんあるドラッグストアや販売店、空港の免税店でも4711は気軽に購入できました。でも本店=House of 4711がすぐ近くにあるのなら、行かずにはいられません。

House of 4711

クラシカルな建物は、ブランドカラーのブルーがアクセント。

4711の現在販売するすべての商品のほか、過去の広告やパッケージなども展示されていました。

これは改装前、2011年に初めて訪れた時の写真。四七一一番オーデコロン香水、日本でのポスターも展示されていました。
かつて使われていたパッケージ。レトロ好きにもたまらないです。
クリスマス前には、ブルーのツリーがモチーフになっていました。

私は観光名所や歴史建築物を前に何を見聞きしても「ふーん」「すごいですね」とうわっつらな感想しか思い浮かびません。

ケルン大聖堂。見上げるとひっくり返りそうなほど大きな建築物は、好きな方には見ごたえがあるのです。

自分に関りがある、知っている誰かに関りがある、物語の糸口が身近に落ちているなどのきっかけがなければ、興味の対象になりえない。歴史や文化を一方的に熱く語られるのも好きじゃない。知的好奇心が薄弱なのか、自分で糸口を拾ったり、ドアを見つけたり、においをかぎつけなければ、脳や心、体も動かないことを、このドイツの旅で改めて自覚しました。

ドイツでくまなく見て回り、立ち止まって深呼吸をしたりぼーっとなったのは、このケルンの4711本店と、ゲルゼンキルヒェンのシャルケのスタジアムと練習場の芝生の匂い。暖かいクラブハウス、ローカルラジオ局の前で鈴なりに咲いていたアーモンドの花の木の下。

もう二度とここに来られないかもしれないと妙な恐怖に襲われて、離れたくないと鉄の柵を握りしめていた。それが私のドイツの旅でした。

 

軽やかに時代と世代、場所を流れる真実の水

アスリートを目指して練習に励む友達の息子が汗のにおいを気にしていると聞き、15歳になったお祝いに4711の本店で軽めのアフターシャワースプレーを選びプレゼントしたところ、シャワールームで大人気になったそうです。

その友達のパパも4711のポーチュガルを愛用していたらしく、「上野のアメ横で買って来てた」と懐かしそうに話していました。日本では柳屋さんが代理店だから、ポマードや整髪料など、紳士にはなじみの香りだったのかも。自分の愛用していたブランドの別の香りをお孫さんが使っていたら、おじいさんも喜ばれるかな。

4711は軽く瑞々しいタッチのものから少し思わせぶりなものまで、男性にも女性にも嫌われないシトラスの香りが中心。「あれ?」「どこにつけたっけ…」と探す程度で、高温多湿なアジアでも、使いやすい香りです。

ヨーロッパの香水やオーデコロンは、乾いた空気の中だとうっとりするような、ついていきたくなっちゃうのーと歌いたくなるような香りになるのに、アジアでは蒸しあがった香り方がしつこく、「逃げ場なし」な匂いテロになる危険があります。

JRのドアが開いた瞬間、「真夏の東京の満員電車にNo5浴びて乗ってるバカはだあれ?!」と絶叫したくなることがあったし、台湾でも、空調の薄いエレベーターに充満するマダムの濃厚なニナリッチに窒息気味になったこともありました。

私が知る限り、日本人でフランスの香水を魅力的に使いこなしていたのは、香港の空港ですれ違ったあるセレブレリティの女性だけ。早朝にもかかわらず完璧なメイクとリラックスした優雅な服、旅慣れた人の美しさがまとまっていた香りは、彼女と至近距離で目が合った瞬間にそこが異空間になったように感じました。彼女のおかげで、大嫌いだったニナリッチの香りでさえ「使い方次第、使う人次第なのね…」と認識を改めたものです。

使う場所や自分の普段の生活をふまえ、House of 4711ではAQUA COLONIAシリーズのLEMON & GINGERを選びました。フローラルや甘いフルーツ系もあったけど、私には似合わないと判断してそれは眺めるだけに。

http://www.4711.jp/acqua_colonia/

そして2018限定版のRemix。ベルガモットレモン、ビターオレンジにラベンダーやネロリ、ベースにシダーやムスクも潜んで、今までの4711より少し謎めいた感じ。18歳のころに使ったポーチュガルの名残を感じながらも、ちょっと大人むけな香りでした。

http://www.4711.com/remix_cologne/en/

これは定番商品にならないのかな。使い切ったらもう終わりなのは怖い。またエバーに乗ったら買っておこうか、いっそまたドイツへ行って、ケルンの本店を訪れようか。

オーデコロンは好きで、嬉しいことがあったり、気分転換や仕事達成の記念に奮発することもあります。私これ使ってます!と並べてみせるのはちょっとはしたないと思うけども、台北から香港経由でドイツまで、旅をしたくなる香りが手元に残ったので、旅の記録として。

4711データ

日本語公式サイト http://www.4711.jp/

グローバルサイト http://www.4711.com/index.php/de/

House of 4711

Glockengasse 4 in 50667 Köln, Germany

月 – 金: 9:30 – 18:30
土 : 9:30 – 18:00

 

Hause of 4711の帰りに立ち寄ったカフェ。外テーブルで気持ちよくエスプレッソを飲んでいたら、両サイドをドイツイケメンに挟み撃ちされてものすごく緊張した。

 

機内販売で4711Remixを手に入れた時のこと。

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|