台湾あるある

「お前に一生、魯肉飯が食べられない呪いをかけてやる」と言われても、はいどうぞと受け入れると思う

台湾から日本へ本帰国、あるいは長期帰国している友人たちと会うと話題になるテーマ、
「台湾の物で何か食べたいもの、恋しいものある?」

 

台湾で居留証を持ちしばらく生活していた友人たちは
「日本に帰って来て、台湾の物で食べたいもの」
と聞かれるとたいてい首を浅くかしげたりゆるく振ったりしながら
「そういえば、ないねえ……」
と思い出したように言いました。
意見がはっきりしている友達は
「ない。全くない。台湾の物を食べなくても全然平気」
と言い切ります。
私は、尋ねられて
「日本の物が美味しくて安く手に入るから、それを楽しむのが精一杯。季節の物も次から次へと出てくるし、台湾のものまで手が回らないよ」
と答え、相手は笑って「それもそうだね」と納得していました。

 

 

もうちょっと本音よりに言ってしまうと、私はもう一生「魯肉飯(ルーローファン)」を食べなくてもかまわないです。

台湾グルメとして日本でも知られるようになった、豚肉の煮込みを白米にトッピングしたもの。もともと嫌いではなかったはず。でも、台湾で食べるお弁当や外食で有無を言わさず白米のうえに乗っているのを黙って食べているうちに、だんだんうんざりしていったのかな。トッピングはいらないと断れたらいいけれど、すでに出来上がっているお弁当を配給されることもあって、いやでも食べなければならない場面が繰り返されたせいかもしれません。美味しい店もあるし、高雄のあの店はロケで南部へ行く時に立ちよるのが楽しみだったなあ…と思い出すこともあります。でも、もし誰かに
「おまえに一生ルーローファンを食べられない呪いをかけてやる」
と言われたら、「はいどうぞ」と両手を広げて受けいれるでしょう。

 

小籠包も、別に食べられなくても悔いはない。
でも台湾の果物は、季節がきたら食べる機会があることを願います。それから、台湾で飲むコーヒーも。このふたつに関して「おまえに呪いを」と言われたら、くわっ、しゃー!と全力で戦います。

 

台湾を離れて思い出すのは、食べ物ではないのです。
街並。友達。猫たち。コーヒー。
あれほど好きで暮らしていた香港だけど、最後に住んだ場所の住所を、私は覚えていません。多分、最寄り駅からの道のりも、もうわからない。街中に好きな場所は沢山あるけれど、最後に住んだ、生活していたエリアに思い入れはありませんでした。でも、台北で最後に暮らした松山區の南京東路の裏側、あの街並の朝や昼、夕暮れや夜の風景は、今でもありありと思い出します。東京が夜になっても、一時間遅れの台北はまだ夕暮れかもしれないと考えます。あの路地のどこにどの猫がいるのかも、忘れない。


人間なら生きていればどうにか連絡はつくから、離れても大丈夫。でもあの子たちは?猫たちは、元気に暮らしているだろうか。またいつか、会えるだろうか。私がこっちで泣いたところで、きっとあの子たちは拍子抜けするほど元気に、これまで通りにのんびり暮らしているでしょう。もしかしたら、また会えるかもしれない。街並み、人、猫たち、コーヒー。それが次に台湾へ行く時の楽しみなこと、私の願いです。

 

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|