30年ぶりの東京生活

「香港語はなんか魅力があって、僕は好き。」と中国から来た留学生

中国出身の20代男性ふたり、タイ人の女の子とチームを組んで仕事をした。どの人も、当たり前に3~4か国語を丁寧に使いこなし、感心する。
一部香港人に私が広東語で対応すると、中国人の男の子ふたりが文字通りひれ伏して
「すごいです」
「信じられない」
心底驚いた様子を見せるから、私も驚いてしまった。
中国の本土から日本に来たかれらは日本語や英語、ヨーロッパの言語まで学んで上手に話すけれど、みな広東語は話せず、聞いてもわからないといい、「香港語」と日本語で呼んだ。広東語ではなく香港語。なんだか可愛い。そして、「香港の言葉」と若い人たちが認識してくれているのが嬉しい。まだ広東語は存在している。

「香港語ってなんか魅力があるんですよね、活気があって。僕は好きです」

中国から来た留学生に心から感心したように言われて、「ほんとに?」と私の方がびっくりすると、お世辞ではなく本当らしい真面目な顔でうなずいてくれて、とてもとても嬉しかった。でも、広州で働く彼の妹さんの話しでは、若い世代では香港語を話せる人が少なくなっているのだとか。
地域やコミュニティ、場面によって使い分ける可能性もあるし、一概に言えないと思いながら「そうなんですね」と答えておいた。
仕事の合間に深い話はもちろんできないけれど、中国大陸の人と会うことも話す機会もコロナ以前よりもさらに減っていて、この先相まみえることもなかろう…と関心を持たずにいたから、いろんなことが私の思い込みや経験値、体験の土台では思い及ばなくなっていて、それが面白い。
 

タイの女の子は離れたところで見ると特に印象はないけれど、間近で見るととても美しい顔立ちをしていた。でも彼女は自分の美貌にまるで頓着しない様子で、とても良く気が利き、くるくると忙しく働いても品があり、無理難題ふっかけられても厭な顔ひとつせず、優しい。
中国から来た男の子たちとタイから来た女の子、台北から東京に帰ってきた私は、手がすくとそれぞれが出かけたタイ旅行の話しをした。全員がドリアンが好きとわかってひそかにもりあがり、タイではトゥリアン、大陸ではリウリェン、香港ではラウリンと、それぞれの発音での呼びかたを教え合った。

外国から日本へやってくる若者は多いと聞くけれど、どういう人たちなのか、うさん臭いんじゃないかと知らぬ間に思い込んでいたかもしれない。でもどうやら、高い可能性や情熱を持つ人材が大勢、日本に来て夢を見ているみたいだ。色んな国のいろんな場所から来た異なる世代の人たちと、旅や果物の話しをする。次の旅行の希望を持てるのは、嬉しいことだった。

 

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|