香港時間の午後5時に始まった、サム・ホイ(許冠傑)のオンライン・コンサート。九龍サイド、スターフェリー乗り場に近い海港城のデッキ「海運觀點」に、ヴィクトリア湾と香港島を背景に、ギター一本で歌うサム・ホイがいました。MCの阿旦(鄭丹瑞)はマスクで顔の半分は覆っているけれど、相変わらずすらりとして口跡もはっきりと、わかりやすい話し方、懐かしい声。
一時間のライブの前半では、いつもならスターフェリーやボートが行き交うヴィクトリア湾は池のように静か。向こう岸の観覧車も止まったまま。フェリーにも観覧車にも、乗る人はいないんだろうか。今は止めているんだろうか。
歌に夢中になっているうちに、中環側からフェリーが尖沙咀に向けてゆっくり進んでいました。西側に降りていく太陽は明るいみかん色。ヴィクトリア湾とサム・ホイの横顔を照らしてる。Sam Hui 許冠傑 Facebookから
今回の無料オンライン・コンサートは、全世界に向けて公開されていました。開催のきっかけは、楽器の販売や音楽事業の老舗「TOM LEE MUSIC」のコンサート部門が解散したこと。昨年から相次ぐコンサートのキャンセルが影響して、音響や照明スタッフ21人が失業したのです。本来なら7月にコンサートを予定していたサム・ホイは、彼らのためにまず25万香港ドルを寄付、さらに今回の無料オンライン・コンサートを開催しました。
ライブ開催に尽力した「阿旦」はMCの中で、「このオンライン・コンサートの目的は、第一にTOM LEE MUSICコンサート部門のスタッフを支えるため。第二に、感染症と戦う香港人を元気づけるため。第三に、サムのファンにもそうではない人にも、全世界にサムの歌を届け、一緒に歌うため」ときっぱり言いました。「悪いけど、誰が何を言おうと僕を抑え込むことは出来ない。僕はただ、僕たちのコンサートを良いものにするだけ」。
ずいぶん強い口調だなと思ったら、香港特別行政區の行政長官が「今日はサムの歌を聴きましょう」とかなんとかこの件に「乗っかってきた」せいで、政治的な憶測や批判が飛び交っていたみたい。
みんなでサムの歌を一緒に聴こう。一緒に歌おう。必ずまたコンサートで会おうと、サムも力強く言いました。去年から今年にかけての様々な話しはなし。そんなことは、みんな分かっているから。ただひたすら、広東語の、街の中やテレビやライブ会場で聴いたなつかしい曲を聴いて楽しむ1時間でした。
香港で出会った友達、台湾で知り合った友達、日本にいる友達。たくさんの友達が、同じ時間に同じ香港の景色を観て、同じ広東語の歌を聴いていました。
「香港係我家。多謝SAM」
いつもSNSには英語で投稿する香港人の友達が、広東語の話し言葉でつぶやいた。香港はわたしの家、ありがとうサム。
ヴィクトリア湾の水は今日も緑。また必ず香港で会いましょう。
2020許冠傑同舟共濟Online Concert
https://www.facebook.com/samhuimusic/videos/543218969677403/
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