2021年のミシュラン・ビブグルマン(米其林必比登)台北、台中で選ばれた店が発表になりました。
仕事と趣味両方の興味から、一応リストをチェックします。
「ああ、ここがまた入った」
「へー、ふーん」
「ここが絶賛される意味がわからない、この値段であの味なら普通じゃん、サービス悪いしさあ」
など、思うところはいくらかある。でも、どんなガイドブックも全ての人が納得する完全版などあるわけがない。どんなものでも、真面目に作られたガイドブックなら、指南書として見るのは楽しいと思います。
ミシュランのアジア版が出始めの頃、私はまだ香港にいました。「おすすめの店」を何度も尋ねられた、香港旅行が華やかなりし時代です。ところが、おすすめの店に「ミシュランで星を取った店」と枕詞をつけても、興味を示したり、喜ぶ人はひとりもいませんでした。「ふうん」とつまらなそうに受け流すのは、ステイタスやお金のある旅慣れた人も、初めての旅行に興奮気味な人も同じ。意外なほど、心を動かされる様子は誰からも見られなかった。
「それよりも、あなたが美味しいと思うお店に連れてって」
「地元の人が気にいって、通う店の料理を食べてみたいの」
とせがまれました。
そらそうだよな。どこの誰が食べて選んだのか知らん、本に書かれたことよりも、目の前にいる生身の人間が美味しいと言う店を聴きたいわな。
美味しかった店、誰を行っても喜ばれる店、友達と大笑いした店、疲れ切った取材クルーがうま!と叫んで生き返った店、1日中風や水にさらされ続けた俳優やモデルの青ざめた頬に血の気が蘇った店、屋台のおじさんとおしゃべりが楽しかったところ……
ビブグルマンに選ばれた店にも、思い出がいくつもあります。
たとえば、台北の「人和園」のこと。「ミシュランで、ビブグルマンに選ばれる店です」と勧めるよりも
「ここはさー、料理も美味しいんだけど、マダムが強烈なんだよね。紹興酒頼んだら細切りの生姜を詰め込んだコップに注がれちゃって、みんなそんなの頼んでないって引いたけど、マダムが美味しいからこれを飲めって有無を言わせないわけ。それで飲んでみたらこれがめっちゃ美味しくってみんな病みつきになっちゃったんだよねー」
なんて話しをしたほうが、
「そこへ行きたい」
と人は身を乗り出してきます。
寧夏夜市の劉芋仔はいつも大行列だけど、そんなに美味しいの?集団心理じゃないの?と半信半疑の人にはごちゃごちゃ言わずに
「いいから食べてみ、火傷すんなよ!」
と揚げたてのを渡しちゃったほうがいい。
またみんなで、美味しいものを囲んで目をまんまるにして、大笑いしたいな。ミシュランに選ばれるのはすごいことだと、漠然とは知っているけど、私はレストラン関係者ではなく、ただの食べる人。もしパリへ行く日が来たら、ミシュランガイドに目を通しても、多分現地で出会った誰かに「あなたの好きなお店を、もしよかったら教えて」と尋ねたいと思います。そうは言っても、このレストランガイドを見て、いつか旅行が解禁になる日を夢見る会話があちこちで生まれると楽しいだろうな。
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