ライブや映画・聖地巡り

千と千尋の神隠しが台湾の九份じゃなくても、物語の世界に触れたと感じる幸福はきっと一生もの

「台湾の九份は『千と千尋の神隠し』のモデルではない」とジブリのプロデューサー鈴木敏夫氏が断言。台湾でも報道されました。

 

 

私は台湾で旅行会社に勤務していた頃、九份とジブリをからめて宣伝はしないよう注意していました。著作権に触らないように気を付けたのはもちろん、ずいぶん前に宮崎駿監督が「九份はモデルではない」とインタビューに答えていたからです。

作った人が「違うよ」と言っているのに、他人が「ここだよ」と言いはるのは怖いじゃない。

それでも、「有名なあの映画の…」とほのめかす文言を出す旅行会社やメディアは消えることはありませんでした。
九份の土産物店がそのデマにのっかり、映画のキャラクターを使ったグッズを自作して売っていたね。九份での撮影中、急遽白いTシャツが必要になり土産物やに駆け込んだらどのシャツも胸元にカオナシ。「これしかないですね、どうしましょう」「着ましょう、でもイラストは絶対映らないように隠して」なんてこともありました。

 

台湾散歩プライベート九份、自由に歩くと楽しかった。九份は、自由に過ごすととても楽しい。新型コロナウイルスがなければ、こんなふうに九份を歩き、お茶を飲んで過ごす時間は持てなかったかもしれません。...

 

九份は千と千尋の神隠しの舞台ではない。
私はあの映画を観たはずなのに、ストーリーを問われても答えられない。
「そうかい、さっぱりして良かったじゃないか」
という程度の感想でした。
ジブリで唯一好きだと認識しているのは「となりのトトロ」です。会津で暮らす菅野彰さんのおうちに遊びに行った時、「トトロは姉の目線で観てしまうね」と話したことがありました。彼女も私も下にきょうだいがいる、姉の立場なのです。
姿の見えなくなったメイを探す不安、しっかりしてみえてもまだ子供なんだから、トトロに出会ってうわーっとなる五月の気持ちに逐一乗り移ってしまう。いくつになってもあの頃の「お姉ちゃん」だった自分に戻って、五月とともに道を走りメイを探し、トトロに甘えたり空を飛んだりしているような気持ちになって、わあわあ泣きながら見てしまうのです。

日本に戻って来て、空や風景を見ると「トトロがいる」と感じました。香港や台湾からの一時帰国の時にはそんなふうには思わなかったのに、旅行者ではなく生活者としてこの国の街、空や木々を見ると、「いるわ」と信じられるのです。
トトロの舞台は埼玉県所沢と、スタジオ・ジブリが公式に発表しているそう。うちからそこまで距離はあるけれど、近所の大きな木が不思議な形をしていると(ああ、トトロがこの街に来たらこの木に止って昼寝をするんだな)と妄想どころか確信します。日本の空の下なら、「トトロはいるもん」と信じていいのだと思います。

会津の夏の朝、菅野さんが世話をしているひまわりの下に、小さなカエルがいました。まるで童話の世界のようではあるまいか。いつか読んだお話の世界は存在するのね。

 

西会津の廃校になった木造校舎で台湾イベント。「西会津国際芸術村」、会津の水と台湾のお茶はとても相性が良かった廃校になった中学校の木造校舎を再利用した「西会津国際芸術村」で「土川博物館×米果南国展」、台湾の水と果物のイベント。 東北新幹線と磐西線を乗り継ぎ、作家・エッセイストの菅野彰さんが猫たちと暮らす福島へ遊びに行きました。...

九份が千と千尋のモデルじゃなくても、もし「ここだ」と感じて気持ちを揺さぶられたり、想像が広がるなら、それはもうそれで良いではないか。
アニメや絵本、いつか見た、繰り返し読んだ物語の世界が不意に目の前に広がる幸福感は一生にそう何度もあることじゃないもの。

アニメと言えば、香港にはシティハンターの主題歌、TM Network 「Get wild」の聖地がピンポイントであります。
あの街で暮らしていた頃も、仕事で訪れるようになってからも、通るたびに必ず立ち止まる。ここにいたんだあって、頭の中でGet wildが流れています。街と音楽と物語が結びつく幸せよ。

 

 

劇場版シティハンター:https://cityhunter-movie.com/

スタジオジブリ:https://www.ghibli.jp/

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ABOUT ME
mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。