今年の、まだ青い愛文マンゴーで作った「情人果」を、農家のお友達の知合いの農家から分けてもらいました。無添加。農家独自のレシピだそうです。
「情人果」を初めて知ったのは、作家の森瑶子さんが書いたエッセイでした。
ラヴァーズ・フルーツ。森瑤子がみた台湾
海外を舞台にした物語やエッセイが多かった森さんのエッセイを読むと、台湾にも一度来られたことがあるようです。食通の作家たちが台湾は美味しかった楽しかったと絶賛していたから、と動機が書かれていた記憶があります。大雨の中、圓山大飯店へ向かうタクシーが猛スピードで恐ろしかったこと。食後に出た「まだ青いマンゴーを塩漬けにして凍らせたもの」が「情人果」、ラヴァースフルーツと呼ばれていること。そのネーミングが「森先生にぴったり」と誰かに言われたこと。
初めて台北に来た時、当時石牌にあった茶芸店「耕讀園」へ連れて行ってもらいました。お茶請けを選ぶ時「なんでもいいよ、お任せします」と台湾人の友達にお願いしてから、見せてもらったメニューの中に「情人果」があることに気づいて、「これを食べてみたい」と興奮しながら主張したことを覚えています。
「情人」と日本語で書くと、テレサ・テンの世界というか、秘密の恋愛のような感覚がありますが、中国語だと恋人。情人果は特に青くて酸っぱい果実で作るので、若い恋人同士とか初恋の味のようなイメージで商品説明をしているようです。
有名な海鮮料理店でも食後に出すそうで、海のものの匂いを洗うのにも、合うかもしれませんね。
クール便で届いた愛文芒果青冰。クラッシュアイスはほのかに塩気があります。歯ごたえのあるマンゴーの実は爽やかな酸味とすっきりした微かな甘さ。
こんなに美味しい情人果は初めて食べたかもしれない。
凍らせたソルティな青マンゴーは、そのまま食べても、アレンジしても
情人果を凍らせていたクラッシュアイスとミント、無糖の炭酸水で、ノンアルコールのモヒートを作ってみました。少しの塩分と酸っぱさ、ミントの爽やかさが、台湾の夏に合います。
フレッシュマンゴーと、水一滴加えずにスムージーにも。台湾マンゴーの季節ならではの、贅沢な目覚めの一杯。
凍らせた塩漬けマンゴーが塩分とクラッシュアイスの役目もはたして、朝にぴったりです。
情人果を食べるたびに思う森瑤子が見た景色
森さんの本は、お酒も重要なアクセントでした。ウイスキーの水割り、ジントニックやグレープフルーツにウオッカを混ぜたもの、トマトジュースをビールで割ったレッド・アイ。彼女が描く女性たちは、決して甘ったるいカクテルを飲まなかった。モヒートは比較的最近見るようになったせいか、描かれていた記憶がありません。もし書いていたら、私は絶対に「あ、これは森さんの」と思うはず。彼女は知っていて書かなかったのだろうか。今となってはわからない。
森瑶子は、台北のどの店で、どんな人と、何を話しながら情人果を食べたのだろう。今年のこの愛文芒果青冰を彼女が食べたなら、どんな風に書くだろう。今のこの台北は、彼女の描く世界の舞台に、なり得るだろうか。
台湾で情人果を食べるたびに、そんなことを思います。
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