バイクに3ケツ ステップに犬
午後、コーヒーを買いにLibo Cafeへ行くと、店の前に停めたスクーターに犬が乗っていました。
台湾ではバイク利用者が多いのは有名ですね。ほとんどが一人で運転しているけれど、いわゆる二ケツもいるし、親子で三ケツプラス、犬がステップに乗っていることもあります。
一家総出でいいなあ、でも大丈夫かなあとちょっとひやひやするような、微笑ましいような。
今日のワンコは飼い主がコーヒーを飲んでいるのを待っていたのか、そういうことに慣れているのか、とてもおとなしく座っていて、いじらしかった。
コーヒーを買いに来る人はひっきりなしで、店の周りで待つ人も多かったけれど、ワンコがいるからか、喫煙所でも煙草を吸う人はいませんでした。
迪化街で随分前に見かけたワンコ。この子も、飼い主を待っている様子。
待っている犬を見ると、ちょっと苦しくなる。
以前、民生西路あたりで朝によく見かけた自転車のおじさんは、自分の前に柴犬を乗せていました。柴犬も慣れたもので、落ち着いた様子で坐り、前足をハンドルの中央に揃えて乗せてきりっと前を見据え、飼い主と一緒に並木道をスイスイと進んでいく。すれ違う人たちがほぼ全員振り返るのは、言うまでもありません。
台湾の同伴出勤事情
散歩している小型犬はよく見かけます。街中で、こげ茶色のトイプードルの出現率の高さは異常でしょう。レストランや美容院、マッサージ店に連れてこられる子も多い。仕事に同伴している子も。
えっ、ここに連れてくるの?と思うこともあるけれど、台湾の人たちは概ね「あら可愛い」と歓迎しているようです。
先日は、日曜日のオフィスビルに入ると、平日は見たことがない大きなゴールデンレトリバーが管理人席の横にスタンバイしていました。
えっ。と思いつつ、じっと見つめていると、
「おっ。遊ぶ?遊ぶ?」
と近づいてきてわさーっと来られ、しゃがんで待ち受けた私はあっさり床に倒されました。
ゴールデンリトリバーと遊ぶのは夢だったので、思いがけず楽しかった。日曜日だけ来る管理人さんに同伴出勤していたらしいので、狙って行ってみようかと思います。
台湾では休日出勤に友達や家族、恋人を同伴出勤して、書類の整理を手伝わせたりすることもあると聴きます。いやそれはまずいでしょう、と思うし、口に出して言うけれど、「そう?」という感じであんまり気にしないみたい。
性善説なのか、ゆるやかなのか・・・疑うことをしないお国柄なのかなあ。ヒトを同伴させるよりは、大きな犬が一緒の方が、私は好きです。少なくとも、犬は書類を読んだり、個人情報を見たりすることはないよね。
管理所にぬいぐるみ、と思ったら仔犬
猫の餌やトイレの砂を買う店にも、お客さんの犬や猫が預けられていることがあります。そこでは生体販売はしていないので、私は安心して買い物ができる。
餌の棚の前にしゃがみ込んで籠に入れていると大きなおとなしいハスキーが背後から鼻を押し付けてきて、振り向くと私のつま先を枕にどてんと寝てしまったり。
そのハスキーはいつもお腹を見せて寝転がり、撫でを要求するので、私はいつも思うさまモフモフしていました。随分怠惰な子だねと思っていたけれど、一度だけ、飼い主が迎えに来た時の勢いよく立ち上がり、嬉しそうに飼い主の周辺を周る様子を見てしまってから、モフモフしている時も、寂しいのかな、心ここにあらずなのかなと思います。なんとなく。
私が住んでいるアパートでも、小さなチワワが管理人室に預けられていたことがありました。
いつものように朝、「おはよう」と通り過ぎようとしたら、床の上に厚い布が敷かれ、ぬいぐるみが三つ並んでいたので「新しい趣向だな」と立ち止まって目を凝らすと、ぬいぐるみは二つで、ひとつは小さな小さな子犬だったからびっくりした。
「どうしたの。飼い始めたの」
と寝た子を起こさぬように小声で管理人さんに尋ねると、
「住人が飼い始めたけれど、まだ小さくて留守番させるのは心配だからって預けて出かけたの」
と、管理人さんはいつもと同じボリュームで。起きちゃわないかひやひやしたけど、私がカメラを向けてもこの通りすやすや。
優しい人の方が、多いはず。
飼っていた犬を、「もういらない」と放り出した人がいたらしい。家の近くから離れないその犬を、近所の人たちが見るに見かねて、持ち回りでなんとなく、世話をしているのだとか。
台湾は困っている人や動物を放っておけず、なんとなく、出来る範囲で助けてしまうことはあるから、なんとなくでも、世話してもらえるといいんだけど、でもそういうところに乗っかって、放り出す人には怒りもわいてくるわ。なんとなく飼ってなんとなく飽きたから放棄するなんて、ごく一部の特殊な事情だと思いたいけど、取りあえず飼い犬を放り出した奴は、橋から逆さに吊るしてしまえばいいんじゃないかな。これはなんとなくじゃない。
おまけ:私の台湾ワンコフォルダを放出するぜ