台湾人の友達が困惑。10年以上会っていない日本の知り合いから「台北に行くから泊めてほしい」とメッセージ
海外で暮らしていると、一度や二度は友達や家族を家に招くことはあると思います。でも、「招かれざるひと」「もう二度とこないで」「ていうか、どちら様?」となる方も残念ながらいて、そういう人たちの対応に疲れ果ててしまうケースも多いのではないでしょうか。
私の知る限り、海外在住の日本人の友達のほぼ100%が、そういう体験をしています。勿論「疲れる」パターンはまれで、大部分が楽しく気持ちの良い人たちなのだけれど、ほんの一握りの人だからこそ「物凄さ」が際立ち、ダメージも結構大きい。
今回台湾人の友達が「日本人がこんなことを言うとは思わなかった」と困惑したポイントと、今後の楽しいお付き合い継続のための対応方法を考えてみたいと思います。
※友人の体験談は、彼女の承諾、内容確認を経て掲載しています。
Contents
「泊めて」と言われて困る相手と、その言い分を検証する
台湾人の友達にコンタクトをしてきた日本のお知り合いの情況と要望、私のツッコミは下記の通りです。
①友達が日本留学時代にアルバイトをしていた時の同僚。当時も親しかったわけではなく、むしろ冷たい対応をされていたし、プライベートで遊びに行ったことは一度もない。
→「友達」ではないですねえ。一体何年前の話?知り合いですらないと思うんだけど…
②帰国時に連絡先も交換していなかったが、相手はSNSでこちらを探し当ててきた。
→SNSでの再会、嬉しいことも多いけれど、遊んだこともないのに「探してきた」ところに目的が透けて見えて、警戒しちゃうわね。
③「いつ台北に遊びに行けば良いか」と聞かれた。一般的なベストシーズンとして、秋や冬を勧めた。
→上手なお答えです。
本当に親しい友達や会いたい人から同じことを聞かれたら、もっと詳しく答えます。でもこの相手の場合「あんたの暇な時期を教えろ」という要求が感じられるので、警戒が必要です!
ここまでは、良くあることです。問題は、さらに踏み込んだ質問と要望でした。
ちなみに私が「うちに泊まって!」と友達に懇願したケースはこちら。彼女は自力でホテルを調べて、私にアドバイスを求めて来ました。
恐ろしい要求をふんわり交わして丸く収めるには?
④「休みはいつ?それに合わせて行く」と聞かれた。私はお休みの日に、ずっと彼女を案内しなければならないの?
→怖いですねえ~その通りですねえ~!
どうして「知り合い」程度の人に限って、貴重なお休みを狙ってくるんでしょう。
本当に親しい人や、これから親しくなれそうな人は
「いついつ台北へ行きます。もし都合が良かったら、一度お茶か食事でも一緒に行かない?」
と、爽やかに丁寧に、最小限の都合をたずねてくれます。相手には限られた旅行のスケジュールがあり、こちらにはいつもの生活がある。お互いの予定をすり合わせて、会えたら嬉しいね!という流れは美しく、楽しいもの。とっておきのお店を紹介したり、行きたいという場所の予約くらい喜んで引き受けます。
反対に、全くこちらの生活のペースやリズムにお構いなしなのは、クラスが一緒だったとか、在籍していたところがたまたま一緒だったという程度のひとたち。
親しさも、尊重する気持ちも持たれていない相手に、貴重な休みの日や仕事帰りの夜の時間を割こうと、どうして思えるでしょうか。
⑤「友達とふたりで行くから泊めてほしい」とメッセージが来た。怖くなって返事をしばらく考えた。
→まず、10年以上も会っていない相手に「泊めて」、しかも「誰かを連れて来るから一緒に」とは、どういう神経構造でしょうか。
周辺になにもない土地ならまだしも、台北は便利な都市。人の家に泊まらなければならない理由は「宿泊費を浮かせて、その分は買い物や食事に回したい」「海外で、チョイ住み体験をしてみたい」でしょう。
この友達も私も、知らない人の家に遠慮しながらお世話になるくらいなら、ホテルに泊まりたいと考えるほう。それに、宿泊費を浮かしたいほど困っているなら、そもそも旅行に行きません。
百歩譲って連絡してきたのが友達だとしても、そのお連れさんはこちらには真っ赤な他人。見ず知らずの人をプライベートな空間に招き入れて宿泊のスペースを作り、休みの日をつぶして「無料の親切なサービス」を求められるなんて怖すぎます。
「日本人でもこんなことを言ってくる人がいるんだね」
それでも友達は、無視するのも良くないしと返事をしました。
⑥「私の家は郊外で、台北市内まで遠い。仕事も不定期だから、急に入ってくる場合もあるので週末が休みとは限らない」と返事をしたら、それっきり連絡はない。
→そうですね、事実だし、嘘はひとつも言ってない。せっかく旅行で来ても市内へ出るには時間がかかる。まして、急に仕事が入ってアテンドできなかったら、「お友達」は郊外におきざりで、なすすべもないかもしれない。せめて旅行は楽しんでほしいという、友達の誠意だと思います。
やんわりとしたお断りに対して「それっきり返事は来ない」のも、いきなり踏み込んでくる人にありがちな態度です。ちょっと不愉快だけれど、肩の荷が下りたと思って忘れましょう。
「日本人でもこんなこと言ってくる人がいるんだね。びっくりした」
「台湾人が親切だからって、それに甘えて図々しく頼んでくるのかもしれない」
私がちょっと怒って言うと、友達は笑って
「親切にしますよ!するけど、ちょっとこれは違うかなあ」
「台湾は親日でしょう」台湾の人たちのやさしさにつけこまないで
それでも断ったことに罪悪感があるのか、考え込む様子の友達に、私はアドバイスしました。
「私は、台湾に来ますって丁寧に連絡をくれるひとたちの言い方を参考にしているよ。時間があったらお茶か食事をしましょうと答えるの。本当に会いたくてもお互いの予定が合わない時もあるし、旅行中ずっとアテンドして欲しそうな人に対しては、牽制になる」
「そうか!今度からそうしてみる」
無理をして疲れてしまうと、知り合いどころか、友達だったはずの相手にもやもやした気持ちを抱いてしまうかもしれません。でも、自分の生活や時間、体力の範疇を越えてしまったのは「いい顔をし過ぎた」自業自得だと、私も何度か反省をしました。
折角の旅行だから楽しんでほしいし、台湾を好きになってほしい。
海外にいて、訪ねてきてくれる人がいるのは嬉しい。台北や香港で会えたことで、それまでのちょっと遠慮がちな知り合い程度の間柄から、友達へと親しさを増した人も何人もいます。だから、こちらに来ると連絡をくれた人にはできるだけ会いたいと思っています。
でも、台湾人の親切さにつけこんで、親日でしょう、親切なんでしょう?と安価に楽して旅行をしようともくろむのは、間違っている。日頃連絡を取り合うわけでも、プライベートで遊んだこともない相手に「泊めて」「友達連れて行くから」「休みの日に案内して」と求めて来るような人は敬して遠ざけ、丁重にお断りをしていいんだよと、悩める台湾人や海外在住者に伝えたいです。
旅先で誰かに親切にされたり楽しい出来事があるのは、こちらが求めて得られるものではありません。自力でその街を楽しみ、人の生活や文化を尊重する、少なくとも礼儀正しくしている旅人への、偶然の贈り物だと私は思っています。
黒猫に出会うと、その日は幸せ。白でも茶トラでも鯖でも幸せ。
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