台湾のカフェ

捨てナマハゲ、手放すもの、絶対に手放さないものを再確認

なでしこのリオ五輪出場権をかけた試合をNHKで放送している間、NHKワールドプレミアムでは
というドラマを放送していた。
海外でもリアルタイムで視聴できるNHKワールドプレミアムだけど、放送権の関係でスポーツニュースは動画も「©ゲッティイメージ」の静止画に差し替えられることが多い。

そのドラマは、モノにあふれる家で育った女の子が失恋を機に捨て変態となり、震災を経て、恐ろしいほどすっきりした家でモノや人と向き合い、大事にして暮らすお話だった。

私は捨て変態とまではいかないけれど、時々捨てナマハゲになる

夜中に蚊が出て起きだし、電気をつけたら煌々とした灯りにモノがあふれている部屋が照らされ、びっくりした。寝る前と全く同じ状態である。ここで平気でいたんだなとゲンナリした。

香港から台北への引っ越しがダンボール5箱とスーツケース2個、仕上げに猫のゲージ1個だった男らしい私としたことが、どうしてこうなった。
それから、週末になると大きめのビニール袋をいくつか用意して、要らないものを仕分けする時間を作るようになった。今日は毛玉だらけのセーターや、香港時代に深圳で作ったチャイナドレス(!)等の衣類、珈琲器具関係を仕分けした。

風水をアレンジした捨て方・片づけ方のカレン・キングストン、ドイツの習慣をアジアの暮らしにも取り入れられる門倉タニアの二大巨匠がわたしのバイブル

世にお片付け本やメソッドは多くあるけれど、私はカレン・キングストンの本に随分触発された。
読んでいるといてもたってもいられなくなってなんか捨てるものないか!とゴミ袋を手にしたナマハゲ状態になる。
モノと向き合い、考え、決断して捨てるという行為がほとんど快感だったのだと思う。
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今思えば、ナマハゲになったのは、香港での生活環境に悩んでいて、諸々変えたかったからだと思う。
台北に来たら生活に特に問題もなくなり、薄くなってピンクの地肌が丸見えだった猫の腹毛もふさふさになった。ここでの生活に安心して気が緩み、モノが増えて行ったのではなかろうか。

私が「捨てナマハゲ・ダイナミックス」になったのは、母が倒れた時だった。

入院している間に一時帰国し、妹と力を合わせて、高齢者特有の溜め込み気質がいかんなく発揮された台所や押入れやベランダを
「なにこれ!」
「どんだけ!」
「ウケる!」
等と笑いながら、激怒しながら片づけ、何度も何度もゴミ置き場へ出向き、最終的に業者を呼んで大小様々な不用品を引き取ってもらい、甥も「俺もやる!」とクイックルワイパーを手にして3人で力いっぱい掃除した。
母が転んだり、モノが上から落ちてこないように動線を考えすっきりと見晴らしの良い部屋になった。
「旅館みたいだね」
と、妹や甥と、広くなった畳の上をごろごろ転がって笑った。
母の箪笥から、5歳の私宛に書いた手紙が出てきた。
掃除中だったのでゆっくり読む余裕もなく台北に持って帰り、荷解きをしてから開いて、
読み終わってから猫にすがりついて号泣した。
これから毎月私に手紙を書くと、そこには書いてあった。
でも、私は一通たりとも受け取っていない。
母もきっと、そんなことは覚えていないだろう。
片づけをしたから、発掘することが出来た。
親の家の片付けは、最近同世代の友達との間で度々話題になる。
業者の見積もりや予算、どんなふうに気持ちの整理もしたか等アドバイスを貰えたのも心強かったし、私もこれから同じ道を通る友達には、経験を余すことなく話したいと思っている。
最近は捨てることよりも、基本を押さえて自分の定番でうまく回していくことに興味がある。
門倉タニアさんの本はドイツ的な考え方を日本の暮らしに当てはめられてすっきりしていて何度か読み返している。
もうだいぶ長生きしたので自分の好みや合うものはわかっているし、免税店で高い化粧品を買っては試す時期も過ぎて、基礎化粧品はへちま水とニベアでいいんじゃないのと思う。
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ドイツと言えば、心が整ったキャプテンのお宅訪問を見たら、本の背やリモコンもきっちり揃って並べられていて、震えあがった。
でも時々、キャプテンを見習って、本棚を眺めて並べ替えたりしてる。
あんなにきっちりは出来ないけれど、自分が何を持っているのか、時々確認することで、もう必要なくなったものをいつまでも手放さない理由を考えたりしている。日本の雑誌はこちらで買うととても割高だけれど、読み終わって時期が過ぎれば割とさっさと片付ける。
でも、このNumberは表紙を見るだけで涙がでるので、手放せない。絶対に手放さない、手放したのに戻ってきたもの、もう離れることはないものがあることを、幸せだとも思う。
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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|