台湾のカフェ

長春路で時計を直す

腕時計が止まってしまったので、電池を変えてもらいに時計屋さんへ行った。
何度かお世話になっている、古いお店。いついっても叔父さんがひとり。ラジオもテレビもなくて、時計の針が動く音しか聞こえない。

ガラスケースの上に、裸のまま無造作に置かれているアンティークの掛け時計がある。
ドイツのブランド、多分60年代初期のもの。
3年前初めてこの店に来た時に見つけて、目をむいた。
まさにこんなの欲しかった、居てもたってもいられずに、これは誰かのものですか、と尋ねると、叔父さんは謎めいた微笑みで首を横に振ったので
「では売り物ですか?私に売ってくれませんか?」
と勢い込んで言ったけど、やっぱり微笑みながら首を横に振り
「時々見に来ればいいよ」
それから何度か時計の調子を直してもらいに行っても、その時計はガラスケースの上にむき出しのままで置いてあって、叔父さんが修理している間だけ、私はその時計を眺めてた。
今日、3年ぶりにもう一度尋ねてみた。
これは売り物ではないんですよね?
叔父さんはやっぱり、謎めいた微笑みで首を横に振るだけだった。
猫と腕時計
手に入らないものがあるって、なかなか切なくていいものね。
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mimi
台北在住のライター/コーディネーター。 長年暮らした香港から、猫を連れて台北へ移住しました。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|