台湾発・新型コロナ関連

WHOテドロス事務局長「台湾が攻撃してくる」冷静に切り返した「陳時中厚生大臣」が素敵だから紹介したい

WHO事務局長テドロス氏「台湾から攻撃をうけている」発言に、冷静さとすごみをにじませ切り返した台湾の厚生大臣「陳部長」の人気を語るエピソードをご紹介する時が来たようです

 

「3ヶ月前から台湾からひどい攻撃が始まった」定例会見で切々と語ったWHOテドロス事務局長。

 

「何を言っているんだねチミは」
「あんだって?」
耳に手を当て問いかけても、聞こえるのは春のそよ風の音だけでした。
WHOテドロス事務局長、台湾を名指しで非難 外交部「断固として抗議」

 

もし本当に心身ともに攻撃を受けたのであればお気の毒です。WHO世界保健機構のトップともあろうドクター・テドロスが公けに「台湾から攻撃を受けている。外交部(外務省)もグル」と言い切るのだから、きっとしっかりした証拠をつかんでいるのでしょう。台湾だけを名指しにしているのなら、台湾以外の他の国からは批判や罵倒はあがっていないのでしょう。ならばぜひとも、テドロス事務局長は何を求めているのか、証拠も訴えも何もかも耳を揃えて、台湾政府に申し入れをしてほしいです。きっと台湾政府は真摯に対応するはず。台湾にはマスク実名制販売システムをあっというまに構築した天才IT大臣唐鳳氏もいますし、検疫中に出歩いた人もどういうわけだか捕まっています。ネットで愚かなことを仕掛けた輩がいれば、必ずや御用となることでしょう。

 

台湾在住者は怒るというか失笑したこの件、外交部から抗議をしたのは勿論ですが、蔡英文総統と陳時中衛生福利部長も、すぐに毅然とした対応を取りました。

「WHOが正しいかどうかは、時間が証明するだろう」

蔡総統はツイッターで「ぜひ台湾へいらして、その目でご覧ください」とドクター・テドロスを名指しでご招待。また、Facebookでは強い抗議を表しました。
「長きにわたり国際機関から排除されている台湾は、誰よりも差別と孤立の辛さを知っている」と。

https://www.facebook.com/tsaiingwen/posts/10156607610406065

 

そして、衛生福利部部長、感染症指揮センターの陳時中指揮官は記者会見でこう語りました。

 

今年の1月30日にテドロス氏が言った「中国との貿易や旅行を制限するな」のひとことが、世界をこのような困難に陥れた。台湾はこの進言を聞き入れず、湖北、広東、温州、湖南に対し制限をはじめ、2月4日からは入境者に在宅検疫を義務付けている。

テドロス氏にはぜひ台湾に来て、人々の素養と防疫の取り組みを見ていただきたい。

WHOのやり方が正しいのかどうかは、時間が証明するだろう。

難癖つける時間があるなら、台湾から学ぶために使ったらどうか。

陳時中:譚德塞1月這句話 讓全世界陷入困境 勸譚德塞︰有時間罵台灣 不如向台灣學習

冷静かつすごみのある発言。「陳部長好き!」のメーターがまた上がりました。

ウイルスと戦う団結心、固めてくれた陳部長。

「ところで、陳部長ってどなた」
と首をかしげる方も多いでしょう。
台湾では陳部長出演の防疫キャンペーンCMがテレビで流れれば
「見た?」
とテレビ画面をスマホで撮った画像でLINEグループが賑わい、二次創作も次々と登場。マスコミには「ここ数ヶ月で台湾で一番人気のあるおじさん」と書き立てられる、台湾の厚生大臣です。

NHKのインタビューで、陳部長は「ウイルスとの戦いのカギは、全国民が心をひとつに団結すること」と語りました。私自身、台湾にいて心をひとつに「戦おう」と士気が高まったのは、2月の初めに陳部長が記者会見で見せた涙がきっかけだと思っています。台湾政府の新型コロナウイルス対策、「時の中のひと」となった陳部長が台湾で支持される理由、エピソードを紹介します。

陳部長プロフィール

陳時中 Chen Shih-chung
衛生福利部長(厚生大臣)
中央感染症指揮センター 指揮官
台北市出身の歯科医師。台北市歯科医師会理事長、台北医学大学董事、総統府国策顧問などを経て、2017年から衛生福利部部長。

台湾で感染者が増加。会見で声をつまらせた陳部長

2020年2月4日、武漢からの帰国者に新型コロナウイルスの感染を確認。記者会見で、冷静に状況を報告していた陳部長の声がからまるような変化があり、やがて沈黙。眼を伏せ、書類の上に指をトントンと落とし呼吸を整えて話を再開しようとしたものの、陳部長はマイクを隣の方に。話が引き継がれている間に涙をぬぐう陳部長をカメラがとらえ、台湾で大きく報道されました。

為何哭了?陳時中一句話解密男兒淚

なぜ泣いたのか?後日問われて、陳部長は「ただみんなに、健康でいてほしかった」と答えています。

これ見よがしに泣いて見せるパフォーマンスではなく、大の大人が、必死に嗚咽をこらえようとしている様を見てしまった。

これをきっかけに陳部長の人気が急上昇。彼が率いる「感染症指揮センター」、衛生福利部のSNSはフォロワーが増加しました。

ホワイトデーに記者に「一息ついて」とチョコレートをプレゼント。「歯磨きも忘れないように」

記者好幸福!白色情人節指揮中心開記者會 暖男阿中部長送巧克力


ホワイトデーの日にも行われた定例の会見、最後に記者から「どうしてチョコレートを配ったのですか?」と質問されると、テーブルの上のチョコレートを触りながら「記者の皆さんも毎日忙しいだろうから、チョコレートでも食べて一息ついてもらえれば…」ちょっとどぎまぎした風に言いつつ「
歯磨きは忘れないように」と歯科医師として注意も忘れない。でもやっぱり挙動不審、照れくさそうに退室する陳部長。金莎(フェレロ・ロシェ)、コンビニでも買えるけど、ちょっとお高めだから貰うと嬉しいチョコレート。美味しいです。

それにしても部長。経歴を見ても、この上がり方は普通の歯医者さんではない、中々の将軍ではないかと思う。それでもあのチョコレートを指摘されてからの挙動不審っぷりからの「歯磨けよ」。
これはもう、ざっくばらんに言わせてもらえば
「やーだーぶちょぉー、かーわーいーいー」

無礼な記者にはクールに喝。でも紳士な態度は忘れない

ある日の会見で、延々と2分以上質問を続けた記者がいました。陳部長が答えた後に他の話題にうつろうとすると、彼女は大声で「まだ答え終わっていない」と指摘。すると陳部長、あえてマイクを外してから記者に対し「そんなに大声を出さなくても聴こえている」と静かに一喝。それから「年寄りだから忘れてしまうんだよね、すまないね」とやんわりとりなしました。
無礼な態度はきちんと指摘する、けれども大勢の前で恥をかかせるように怒鳴りつけない冷静さ。「怒りっぽいのは双子の弟だよ」とユーモアまで見せてくれる陳部長に「ジェントルメーン」「理想の上司」と、また萌え萌え。

炊飯器でマスク消毒を実演「ぽかぽかするね。匂いも良いよ」

電気炊飯器でマスクを加熱消毒して再利用する方法は、台湾当局から正式に紹介されています。IT大臣の唐鳳氏も実演動画を公開しましたが、陳部長は会見場で実際に挑戦しました。

しかし陳部長、セッティングで手間取り「炊飯器の使いかたをご存じないみたいですね」と笑いが漏れる一幕も。実際に消毒したマスクをつけて
「ぽかぽかするね。匂いも良いよ」と感想を述べていました。

陳時中戴電鍋口罩:很舒服!香香熱熱

部長!私も電鍋でマスク消毒しています!

マスク再利用、電気炊飯器で3分無水加熱消毒が有効【大同電鍋チャレンジ番外編】「医療用マスク再生利用、電気炊飯器で3分の空蒸し消毒が有効」を台灣食藥署が証明したので「大同電鍋」でチャレンジしてみた。方法と使用感のまとめ。...

 

「守ってあげたい」小学生からマスクを送りつけられる

https://www.facebook.com/mohw.gov.tw/posts/1530026980497048

定例記者会見で、台湾南部に住む小学生から陳部長宛てに送られてきたマスクとお手紙が紹介されました。

「感染症指揮センターのみなさんへ
第一線にいるみなさんのおかげで、ぼくたちはとても健康に、安心していることができます。ありがとうございます。みなさんも僕たちと同じように健康でいてほしいです。僕たちはどんな時もみなさんの背中を応援しています。僕たちは必ずみなさんを最後まで守ります。最後まで応援します。僕たちはきっときっと、新型コロナウイルスに勝ちます」

連日の記者会見、毎日陳部長のお顔を見ることができるのは嬉しいけれど、いつ休むのか心配でもあります。マスクは政府に管理されて行きわたってはいるけれど、有り余っているわけでもない。それなのにわざわざ送ってくるなんて。陳部長を守ってあげたいって、この小学生はいったいどういう了見なのか。全台湾を泣かす気か。陳部長、「どうもありがとう。マスクはもう送らないでね」と笑っていました。

海洋委員会の優しいイラストもわざとだろう?泣かせに来るのは。

https://www.facebook.com/oactw/posts/3183342358397192

 

陳部長二次創作コレクション

人気者が二次創作のアイコンになるのは台湾もご多分にもれず。いくつかの作品を紹介します。

https://www.facebook.com/mohw.gov.tw/posts/1529829690516777

市民から送られた手作りスタンプ。ナンシー関の消しゴムハンコを思い出します。「これは非売品」とことわりをいれ、創作物が得意な衛生福利部はさっそく陳部長キャラで「ソーシャルディスタンス」。

大學生贈「阿中部長蛋糕」 陳時中本人卻不敢吃?!

飲食を学ぶ学生は、部長を模ったケーキをプレゼント。カップケーキも添えられて、会見場でお披露目とおすそ分けされていました。部長自身は「自分の顔を食べるのはちょっと」と遠慮。でも、暖かい気持ちは届いていました。

 

https://www.facebook.com/oactw/posts/3150924994972262

これは台北101がメッセージを点灯した時、海洋委員会が作成したもの。ちょうどこの頃ちょっと疲れていたので、このイラストは沁みた。

 

陳部長エピソードは毎日更新するけれど、それは新型コロナウイルスとの戦いがまだ終わっていない証拠でもある。一日も早く収束させて、前線にいるひとたちの肩の荷を下ろしてほしいので、防疫に気を緩めはしません。陳部長率いる感染症指揮センターのみなさんの背中を追っていく。だけど、くれぐれも体を壊さないように願っています。マスクを外す日を元気にみんなで迎えるぞ。

 

それにしても、台湾政府には個性的な方が多いですね。部長や総統、オードリー・タン様はもちろんですが、私は蘇貞昌院長(首相)のキャラも嫌いじゃない。大変フォトジェニックでユーモラス、SNSでの告知も際立っていて好きです。これはマスクのオンライン予約第三弾を「なんか忘れてない?」とリマインドしたもの。カラフルでチャーミングでしょう。

 

https://www.facebook.com/gogogoeball/posts/10157301018631270

 

笑いとインパクトで国民に告知を行き届かせるのも、台湾の優れた防疫対策のひとつです。ぜひ現地に見に来てくださいね、事務局長!本当に来てくれたら、多分みんな普通に歓迎すると思うよ。あれ食べろー、これ美味しいよーって台湾の良いもの山積みにすすめられるんじゃない?いつか本当に来てほしいです。

 

ABOUT ME
mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|