30年ぶりの東京生活

もし10代でOne Directionを知ったなら、私はどこへ行っただろう

昭和に生まれて今まで生きて来て、この時代に生きることができて楽しかったし幸運だったと思っている。

でも、「もしあの時代に、10代だったら」と時々考えることがある。
もしグループサウンズ全盛期に10代だったら、私は日劇周辺をうろついていただろうなあ。ジュリーに「君だけにー」と指をさされた!私を指さした!とヒステリー起こして気絶してたかもしれない。

最近思うのは、One Directionである。
もし10代で彼らを知ったら、イギリスと一括りにせずアイルランドやイングランドの区別を知り、彼らの英語もアメリカ人にはキュートななまりに聴こえると知って、彼らが話す方の英語の勉強を始めたんじゃないかな。イングランドへ留学しようと夢見たかもしれないな。そしてハリーとルイの間で揺れて悩むのだ。

まだ小学生の頃、ベイシティローラーズに夢中なクラスメイトがいて、来日コンサートを観に行こうと誘われた。親にきいたら止められて、私もそこまで彼らに興味はなかったから、観には行かなかった。出かけた彼女はそれから数年後、英語を話す人と結婚して別の国へ行った。
もし本当に興味があったら、私の性格だと泣いて騒いで親を説得するか、考えを巡らせ作戦をたてて、観に行っていたと思う。でも、行かなかった。

私は私の生きた時代で散々飛び回り、あらかた気が済んだ。
私の知らない時代のことは、今でも「良いなあ」と思う。当時をリアルに飛び回った人たちが羨ましい。でも、本人たちは、別の世代からみたら凄いことだと思っていない。私はわりと、自覚している。私もすんごいところにいたんだと。あの日比谷野音、あの時の中野サンプラザ、あの後楽園球場や西武球場、新宿ルイード、渋谷のクロコダイル、よみうりランドEAST、武道館に香港の紅館……でもやっぱり、その渦の中にいた時は、それが「すごいこと」だとは知らなかった。生きているアーティストのライブを観て踊り、泣いて一緒に歌ったこと。後からそれは、「すごいことだったのだ」と、思い知る。

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2020年6月に書いて、公開しなかったブログ。

1Dを知ったのは、いつだったか日本に一時帰国した時だったと思います。光り輝いている子たちがいるなあと、眩しく眺めたっけ。

現生の私はライブに行くほど彼らに熱心にはならなかったけれど、もし10代で彼らに出会ったら、真っ逆さまに夢中になっていたと思います。そして人生が変わってた。それで違う言語を話してた、たぶん。

2024年10月17日の朝、リアム君の訃報に接して、下書きのままにしていたこのコラムを掘り起こして出しました。

強い光は濃い影を作る。見ている側の私たちは、光を浴びるばかりだった。アーティストも私たちと同じ生身の人間だと、みんな知っているはずでした。

 

 

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|