30年ぶりの東京生活

「亀の子束子西尾商店」で新生活を始める用意。東京買い物・歴史散歩

久しぶりの日本での暮らし、東京新生活の準備開始。せっかくだから日本のブランドを使いたくて、板橋の「亀の子束子 西尾商店」へ。海外の友達へのお土産にも、東京へ来てくれるなら散歩と買い物、歴史ある建築を見せに連れてきてあげたい、素敵なお店でした。

 

「亀の子たわし」は子供のころから目にしていたはずなのに、手軽なのか、手を出していいのか、よくわからない存在でした。やわらかいスポンジならどんなものにも使いやすくて、手軽。適当に選んで使い、古くなったら処分する。でも固いたわしとは、どう付き合ったらいいんだろう。昔からあるものなのに、もうわからなくなっていました。

日本に帰ってきたら、メイドインジャパンのものを意識して使おうと思っていました。日本に住んでいた頃には、外国製のものにむやみに憧れ、価値を見出し、所持することに喜びを得ていました。良い物なら良い。以前暮らした香港や台湾でも日本のものは手に入りやすかったものの、値段は割高、それに種類も限られる。

板橋の、静かな商店街をつらつらと歩いて行くと急に現れる「西尾商店」。大正11年、1922年の建築だそうです。関東大震災、戦火も時代の変化も逃れて、よくぞこのまま残ってくれたと、ため息が出ます。しびれてしまって通りを挟んでしばらく店を眺めて立ち尽くし、近づくと、叶うことならあちこち撫でまわしたくなるような気持ち。

台湾では歴史建築や古い建物をリノベーションして再活用、再生を大々的に謳うし、古いものを大切にできる、扱い方が上手だなと思うことが度々ありました。古い工場や廃墟を立て直した場所、好きなところ、良いなあと思うところがいくつかあります。でも、建物の存在に対して撫でまわしたい、しゃがんだり体を屈伸して斜めになって細部を眺めたいと思うのは、「亀の子束子西尾商店」が初めての経験でした。

ボディ用のたわし。使い方の説明もありました。美は鍛錬。

 

親切なお店の方とあれこれお話をして、買い物をしてから、許可をいただいて店内の写真も撮らせてもらいました。シトラスの洗剤、キッチンがいい香りになって楽しかった。ボディ用のスポンジ、いつだったか中野の銭湯で肌のきれいな人が身体をタワシで磨いているのを横目で見て、(美とは鍛錬なのか…)と感心したことを思い出します。いろんな形や色のスポンジも可愛い。外国にいる友達にもお土産にしたら喜ばれるかな。持ち運ぶのも軽くて壊れる心配なし、好き嫌いとも無縁。誰のところへ行っても、必ず役にたつだろうな。

東京23区とはいえ、私の住まいから板橋までは小一時間かかります。日本に住んでいた頃も、中野・杉並・練馬のいわゆる「第三学区」がベースだったから、板橋へ行く機会はほとんどありませんでした。なんなら目黒も知らない。山手線で渋谷より先に行くことはなかったから、台湾や香港の人に「中目黒のあのお店いいよね知ってるでしょ」なんて言われても「知らないよ中目黒なんてこわいよ」といまでもオロオロします。

西尾商店で建物や商品のディスプレイも素晴らしいと感動を伝えると、「谷中の店舗にも、良かったら行ってみてください」とお店の方がすすめてくれました。この頃は上野や御徒町、神田に浅草方面も楽しかった。北千住の昼呑みも楽しかったな。谷中もいずれ、行ってみましょう。

東京散歩のコラム

東京・中野ブロードウェイは世界中のオタクの聖地と実感した、コロナ明け。日本へ帰って来て、渋谷や新宿の駅の複雑さと人混みに何度もすくみ上りました。原宿ではちょっと座ってコーヒーを飲むのも至難の業で、遭難しかけるありさま。中学から高校時代にかけて学校にいるより長い時間を過ごした街は、もう私の知っている原宿とは違っていました。でも、中野に帰るとほっとする。次に行くのは、沼袋の氷川神社とブロードウェイ。...

 

海外から4年ぶりに東京へ来る友達と、どこで何を食べればいいの?友達がバンコクから東京へ来るというので「何食べたい、どこ行きたい」とたずねると 「日本人が一緒に行かないと注文できない店」。それっていったい、どこの何。頭を抱えて悩んだ挙句、日本橋へ行くことにしました。新宿や六本木には詳しい友人も、日本橋は初めて。...

 

「なんでも日本みたいに便利だと思うなよ」と言ってCDのフィルムをコインではがしてくれた香港人香港の尖沙咀・北京道にあったHMVでCDを買い、ラップをはがすきっかけを探していると、香港人の友達が私の手からCDを取り上げました。彼はポケットから1ドルコインを出してフィルムに切れ目を入れてはがしながら 「日本みたいになんでも便利だと思うなよ」 と言ったものです。 その時点ですでに5年は香港に住んでいたのに、まだ私は日本の便利さを覚えていて、どこかにきっかけがあるはずだと思い込み、つるつるのラッピングをまさぐっていたのね。 恥ずかしいような情けないような、友達かっこいいなとか、いろんな思いが北京道の曇り空の下で渦巻いて、いまだに私の中には残っています。 榮太樓飴の缶を10円玉で開きながら、あの日のことを思い出しました。...

 

 

 

当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用、まとめサイトへの転載も固くお断りします。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited.

本站內所有图文请勿转载.未经许可不得转载使用,违者必究.

ABOUT ME
mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|