台北生活の日記

台湾の振興三倍券、購入権利をふるいにかけられて我に返る。

新型コロナウイルス感染防止のためにとられていた規制も緩和され、停滞した台湾の消費を盛り立てようと、政府は「振興三倍券」という名の振興政策を打ち出しました。第一報では「外国人も購入できる」とのことだったので「旅行や観光業を盛り上げよう!」と私も楽しみにしていたら、

「外国人で購入できるのは、台湾国籍者の配偶者のみ」

とお触れが。
なんで?
私は台湾の永久居留証を持ち税金も払っているのに?
マスクを買う権利は平等にあったけれど、それは感染防止のためだから。もし、万が一のことがあったら、外国人は後回し。たとえば避難所なども「国民優先」と、いざとなったら私なんか入れてもらえなかったりするのかなあ…。

 

まず、最初に紹介しておきたいのはこの「振興三倍券」システム。
単に給付金を受け取るのではなく、その名の通り「1000元で3000元分のクーポンを購入し、消費して振興に役立てる」ものです。
これは台湾内で落ち込んだ消費や観光、夜市や旅行業を盛り立てるのが目的。
でも、本日6月12日現在、台湾国民の配偶者ではない外国人居住者には、そのクーポンを買う権利はありません。
そして今日、台湾の欧州商工会理事長がこの「振興三倍券」購入対象者を台湾人の配偶者以外の在留外国人にもひろげるべきと訴えました。

 

この日本語のニュースに関して、ネット上には日本語で「外国人は黙ってろ、文句があるなら日本へ帰れ」などの批判がいくつもあがっていました。それを見た私の反射的な感想は「三倍券のシステムも現地事情も確かめず台湾称賛したいだけの外野は黙ってな」ですが、それではいかにも素材のままで荒削り。単なる燃料投下でしかありません。
システムの詳細や現地事情をお話しして、そのうえで「対象から外れた人の思うこと」にも耳を傾けていただければと思います。

 

なぜ外国人は、台湾人の配偶者のみが対象なのか。内政部大臣の発言を報道で読みました。

 

内政部の徐国勇部長(=大臣)によると、「新住民(婚姻により台湾にやってきた外国籍配偶者)」もすでに台湾の構成員の一部であると考え、居留証を持つ外国籍配偶者(中国籍配偶者を含む)を「振興三倍券」の対象にした。中華民国の旅券を持つが、海外に在住するため台湾に戸籍の登録がない「無戸籍」の国民も対象となる。一方、外国人労働者を含む在留資格を持つ外国人は対象外となる。

行政院、「振興三倍券」でコロナ後の消費拡大目指す
より抜粋

 

結婚をしていれば台湾を構成する一員?ずいぶん情緒的だなと私は思いました。もっと論理的な、外国人の駐在員は給与水準が高いから、購入の必要はないと判断したとか、台湾国民とは異なる体系の外国人の身分証を認識する購入システムを構築する予定はないなどの理由なら、まだ納得がいきます。

新型コロナウイルスのまん延から感染予防、台湾の中にいて、台湾政府に守られて、本当に感謝しています。マスク購入の権利を返上して、海外寄贈に流したこともある。私もここで暮らしながら、「チーム台湾」の一員として出来ることを頑張ってきたつもりです。それは私と同じ立場の、台湾人と結婚していない外国人の友人たちも同じでした。

 

努力が功を奏し、規制も緩和されて、さあ、落ち込んでいた台湾の観光業を盛り上げよう!祭りだわっしょい!と張り切っていたら
「あ、この祭りは身内だけなんで遠慮してください」
と参加を断られたような気持ち。
政府が「結婚しているから身内」と仲間意識的な情緒の理由でそれ以外の人を弾く。観光客など外様には親切に開けているけれど、内側に入った「よそ者」はきっぱり別のテーブルに行かせる場面を、これまで台湾で何度も見てきました。「やっぱり身内根性が根強いんですね。残念です」。今回のことでは、情緒に対して情緒的に、そう感じます。

 

WHOのテドロス事務局長が「台湾から攻撃される、差別発言を受けた」と物言いをつけた時、蔡英文総統は「長きにわたり国際機関から排除されている台湾は、誰よりも差別と孤立の辛さを知っている」と反論しました。毅然として、立派だと思います。

 

だから余計に、今回の政府の措置には「あれ?」と思う。正当な手続きを踏んで永住権を持ち、この国で合法的に生活していても、現地の人と結婚していないから同じ権利を得ることができない。差別とは言わないけれど、小さな孤立を感じます。同じようにショックを受けた当事者同士でやさぐれて飲もうって話しにはなったけど、該当しない人には、なんのこっちゃですよね。ぴんとこないかもしれないですよね。

 

2000元分を得したいのではありません。
一緒に頑張ってきたつもりだったから、一緒に復興を盛り上げる役に立ちたかった。
お金をくださいとは言っていません。
購入権利をふるいにかける理由が「身内か、否か」って。私達もここにいるのに、それはあんまりだわ。

 

でも、「私もチーム台湾」だなんて、ちょっとのぼせ上がってたわな。我に返った。冷静にはなったかな。
たかがこれくらいのことと思い直す。私を最終的に保護するのは日本国政府だし、台湾政府に命や財産をとられるわけじゃない。たかが2000元よ、前を向きましょう。2000元以上、自腹で遊んでやるからな。まってろよ台南、高雄、墾丁。

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mimi
台北在住のライター/コーディネーター。 長年暮らした香港から、猫を連れて台北へ移住しました。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|