台北生活の日記

台湾で声帯ポリープ切除の日帰り手術。症状や保険、術後回復のまとめ。

クリニック選びもレストランと同じ。ネットの星の数はあてにならない

以前、レストランやカフェの評価はあてにしないと、個人的な経験に基づいて書いたことがある。
クリニック選びについても、今は経験に基づいて言える。

「星の数なんてアテになりませんよ!」

評価5.0のクリニックで「胃酸の逆流で、声帯に影響が出ている」と言われ、色々薬を出された。飲み続けても、特に変化なし。再度診察を受けに行くと「薬を変えてみましょう」。変えてもやっぱり、変化なし。
そもそも、マイクロスコープで喉の様子を診るのにも、この先生は結構手間取った。
声帯の状態をモニタに映し
「あーと言って」「いーと言って」
と指示されても私は咳込み、えづいてしまう。でも声帯の診察を受けるのは初めてだから(こんなものかな)と思ってしまった。
今思うとこの先生、マイクロスコープの扱いが下手だった。
友達に「薬をもらったけど、症状はかわらない」と話すと
「医者を変えるのも手だわね」
「セカンドオピニオン大事」
とアドバイスされ、それもそうだなと考える。評価が少しさがるけれど、評価4.5の別のクリニックへ行ってみた。

全民健康保険カードで、過去の受診や投薬歴をチェック

2021年3月1日
セカンドオピニオンの先生はまず私の声を聴き、せき込みやえずきも起こさせずにマイクロスコープで声帯を見ると薄ら笑いになった。
「ポリープですね。これはもう、切らないとだめ。薬では治りませんよ」
私の「全民健康保険カード」に記録されている、処方された薬の履歴も確認しながら
「こんな薬出されてたか……飲んでも意味なかったでしょ?大きな病院へ行って、切ってもらいなさい」
ちょうど日本では「患者の同意があればマイナンバーで過去の投薬歴を確認できる」とニュースで言っていた。
台湾では、私の治療歴を医師が見るために、同意もへったくれもなかった。どんな症状だったのか、何が起きていたのか、どうして私がセカンドオピニオンを求めたのか。一連の流れが保険証である程度わかるだろう。そして、これからどうするべきなのか、それを素早く判断してもらう。そのための保険証、病院の治療に必要なら、プライバシー云々は気にならない。
台湾では外国人居住者も加入できる全民健康保険。
台湾での外国人の身分証となる「居留証」ともリンクしている。マスク不足の頃はこのカードで実名制マスクを購入、1000元で3000元分使えるクーポン「三倍券」の購入も管理されていた。ここに移民署のデータも乗っているから、保険証で出入国記録もわかるらしい。

外国生活で、自分が何者なのかを証明する番号をもらえる有難さ
去年、税務署で確定申告をしたときも、私達が「台湾の身分証」として持っている居留証ではなく、この「健康保険証」をデータ読み込みに使い、あっという間に納税額が算出された。このカードを通じて、個人情報は政府に把握されている。今のところ「これのお陰であちこち行ったり、あれこれ探す手間も時間も不要。とても便利でありがたい」という感想以外ない。「個人情報」や番号付けへの抵抗感が健康や時間を守り管理する妨げになるのは勿体ない。外国生活で「自分が何者なのかを証明する番号をもらえる有難さ」が全身に染みた人間としては、祖国にもどかしさを感じる。

もっと意外だったのは、クリニックの医師に「大きな病院へ行け」と言われたこと。
私は過去に香港で二度、開腹手術を受けている。
二度とも、まずは個人のクリニックで診察を受け、先生がブッキングできるいくつかの医院を提示され、価格やロケーションなどから選んだ医院で手術のスケジュールを組んでもらった。入院中は、先生が医院の看護師とともにチェックに来てくれる。退院後の再診は、医院ではなく先生のクリニックへ私が出向いた。
だから台北で「大きな病院へ行け」と言われて、ちょっと面喰った。クリニックの先生が、手術をするわけではないのね。それは日本も同じなのかな。日本で手術を受けたことがないのでわからない。
いずれにしろ、台湾では最初から手術になるとわかっているなら、大きな総合病院へ行くのが早い。それは教訓になった。

ポリープ手術日は当日入院、日帰りで

4.5のクリニックから昼前には帰宅し、台北の大きな病院のひとつ「台安醫院」の耳鼻咽喉科にオンラインでその日の夜の診察予約を入れた。
待合室には、指定時間より早めに出向く。そうすれば予約番号よりも繰り上げて診てもらえると、過去の経験で知っていたから。それでも広い待合室は大人や子供でいっぱいだった。本来の私の呼び出し番号まで20人もいる。1時間くらい本を読みながら待っていると、繰り上げで名前を呼ばれた。

 

診察室に入り「こんばんはドクター」と挨拶しただけで、医師は「ああ、はいはい」とちょっと笑った。私がどういう状態なのか、わかってくれたと安心する。先生はてきぱきと部分麻酔を使い、マイクロスコープで私の状態を確認。昼間のクリニックと同様に、声帯の右にポリープがあると説明を受ける。
「どうしてこんなになるまで放っておいたの」
と咎められ
「前に診てもらったクリニックで薬を出されたので」
と答えると、先生は憮然と「これは薬で治るものではないよ」と言ってからさっと表情を切り替え
「で、手術はどうする?僕は水、木、金曜日にできるけど。朝入院手続して昼に手術、当日に帰宅、泊まらなくていい。術後は最低3日間、長くて7日間、喋るのも咳ばらいも禁止」

 

その日は3月1日。最低3日、長くて一週間声が出せないのなら、仕事との兼ね合いも考えて4月頭の清明節連休に休息をとるしかない。手術自体を3月末まで待たなければならなかった。
こんなことなら、一時帰国も海外旅行もできなかった春節休みの前、2月の頭に手術をすればよかった。最初に診てもらい、手術のことは口にせず薬で治そうとした先生が恨めしい。
でも、受診そのものを先延ばしにしていたのは、私自身だった。あの時こうしていればと、今さら考えても仕方がない。
もし次に何か不調があったら、様子見などと先延ばしにせず、とっとと治しにいこう。

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|