あなたと知り合えて良かった。中元節、あの世から戻ってきたゴーストとのガールズトークが素敵。台湾のスーパー全聯のCMストーリーをご紹介
旧暦の7月14日は、台湾の中元節。
西暦で言うと、2020年8月19日~9月16日の約一カ月は「鬼門」ゴーストゲートが開く「鬼月」といわれ、「あの世から戻ってくるお友達」のために、この世を生きる人々がお菓子や果物などを沢山お供えします。この時期のコンビニやスーパーマーケットは、おススメのお供え物商戦でとてもにぎやか。「夜まで洗濯物を干しっぱなしにしない」「壁を触らない」など、「戻ってきたお友達を連れ帰らないため」のタブーも多いけれど、ゴーストをモチーフにした可愛いデザインの中元節限定パッケージのお菓子や飲み物も、ハロウィン商戦のごとし。この期間にはたくさん登場します。
台湾の大手スーパーマーケットチェーン「全聯福利中心 PX Mart」で8月に公開された中元節のCMでは、あの世から戻ってきた「お友達=ゴースト」と若い台湾の女の子や男の子が語り合う場面を描いていました。
全聯福利中心 《Sandy與紅衣女子的世紀對談》CM動画はYoutubeのPX Channelにアップされています。
現在3パターン公開されているCM、特に「女の子とお姐さん」バージョンでは、現代の女の子Sandyちゃんと、あの世から戻って来た赤いドレスのお姐さんが恋や美容、SNSについて語り合います。台湾の街中、時々鳥の鳴き声も聴こえる古いビルの屋上、お供え物と女の子たち。設定もセリフも音楽もとてもシンプルだけれど、ファンタジーと現実を包む夏の空気が心にしみました。
「全聯福利中心 」の中元節CM《Sandy與紅衣女子的世紀對談》、あの世とこの世の女子ふたりが友達になる「ガールズトーク」の意訳と、出演している方たちの情報を紹介します。
「青春」編
あの世から戻ってきた赤いドレスのゴースト「お姐さん」と、現代の女の子SANDYが出会ったところから。初対面の女子ふたり、話題のキーワードは時代を超えても変わらない?
SANDY:お姐さんって呼んだら、失礼ですか?
お姐さん:どう呼ばれても同じよ、私はもう何百歳なんだし。
SANDY:全然そんな風には見えないですね!
お姐さん:あの日から、私は年を取らなくなったの
SANDY:……あの日って……?
お姐さん:お肌の手入れを始めた日よ。
「年を取らなくなったあの日」と聞いて、少し悲しく、不安そうな表情になるSANDYちゃんに、お姐さんはいたずらっぽい笑顔で、フェイシャルパックを差し出します。確かにお姐さん、美白効果きいてる。
広告のキャッチは「#很高興認識你」、知り合えて良かった。
ふたりは「お友達」になったみたいです。
フィイシャルパックも、お供えにすると喜んでもらえるのかな。
「喜歡」編
SANDY:彼の気持ちが知りたいの。私のことを好きなのか。
お姐さん:それって重要かしら。
SANDY:どういう意味?
お姐さん:大切なのは、あなた自身が自分を好きなのかでしょう。
SANDY:じゃあ、お姐さんは自分のことが好き?
お姐さん:…………。
SANDY:大丈夫、わたしはお姐さんのこと好きよ。
「年長者」として若者に道理を言ってみても、自分が好きかと問われたら答えられず、目をそらして寂し気に微笑んだお姐さん。SANDYちゃんに好き、「喜歡」と言われて正面から笑顔になるのが、とても良いです。
それにしても、屋上から遠くを見ながら片思いに震えるSANDYちゃん。昭和ガーリーな夏のワンピース、内巻きの黒髪ボブ、メイクも素顔風。夏休みの夢のような女の子です。彼女を選んでこの造形を作ったスタッフさん素晴らしい。見知らぬ女の子を見て久しぶりに、「うわ、可愛い……」と痺れました。
「幸福」編
SANDY:夏のアイスって、ほんと幸せー。
でも、真実の幸せは…何があっても、大切な人がそばにいてくれることでしょう?お姐さん、どう思う?
お姐さん:生きている。それだけで幸せよ。
夏に食べるアイスも、大切な人(CMでは對的人=Mr.Right)と一緒にいられるのも、生きているからこその幸せ。無邪気に首を傾けつややかな髪を揺らして問いかける若いSANDYちゃんと、年を取らなくなった長い髪のお姐さんの究極の答え。どちらの言うことも、とても良くわかります。
「インスタグラム」編
お姐さん:…これでいいの?
SANDY:お姐さんのインスタグラム完成。これでみんなお姐さんをフォローできるのよ
お姐さん:…フォローって?
SANDY:お姐さんが何をしているか、見ることができるの。
お姐さん:女の子はミステリアスな方がいいんじゃないかしら。
SANDY:それなら、非公開設定にすればいいし。
お姐さん:……。
SANDY:お喋りしている時にスマホを触るのは失礼なのよー。
お姐さん:……。
お姐さんにインスタグラムのアカウントを作ってあげる、SANDYちゃん今どきの女の子。興味津々、スマホのスクロールがとまらないお姐さんに、現代のこの世のマナーも教えてあげています。長い長い経験から得た真理を短い言葉で伝えるお姐さんも、新しいことを教えてもらって、照れくさそうでもあり、嬉しそうでもあり。
出会ったばかりの「青春篇」でも出て来た「失礼」のキーワードを、ここでもSANDYちゃんは口にしました。台湾で生活していると、「没禮貌」、それは失礼ですと指摘され、はっとして素直に態度を改める方が多いと感じます。中元節に出会うかもしれない「お友達」にも失礼のないように、というメッセージがこめられているのかもしれません。
出演者プロフィール
台湾の夏の屋上で、淡々と脈打つガールズトーク。テレビでこのCMが流れると、つい見入ってしまいます。チャーミングなふたりを演じた方たちのプロフィールをチェックしてみました。
「赤いドレスのお姐さん」:王渝屏 Wang YuPing
白塗りに太いアイラインの強烈な造形。恨みのこもったような悲しげな様子から笑顔になる細やかな表情の変化を、静かにユーモラスに表現していました。30代くらいの実力派俳優かと思ったら、まだ20代なかばで、モデルや俳優をしている方でした。
インスタグラムを見て、驚いてしまった。80年代も未来にも行けそうな、華奢なのに骨のあるチャーミングな存在感。注目したいです。
「SANDY」」陳萱 Catherine Van de Velde
彼女はフレッシュなモデルで、このCMが初仕事なのだそう。
学校や近所にいそうでいない、でもいたような気がする、Girl next doorな雰囲気。今どきの清純派とも違う波、溢れるような生命力を感じる女の子でした。
CMは男子バージョンも
ガールズトーク編のほかに、男子編も2本公開されています。サーファーと語り合う水の妖怪、おっとり大人しそうな男の子にアドバイスを送る魔神。どちらの「先輩方」の言葉も深く、戸惑いながらも素直に受け止める男の子たちの様子も自然。台湾のどこかで、こんな場面が繰り広げられているんじゃないかと思わせる気配を感じました。こんなふうにおしゃべりできるなら、あの世から戻ってきた「お友達」も怖くない。
サーファーボーイと水の妖怪
「泳ぎは得意なんですか」と水の妖怪に尋ねるセリフから始まります。素朴な疑問、素直な問いかけが可愛い。
大人しめ穏やか男子と魔神
魔神の造詣がすさまじい。親戚のおじさんと話しているような、温かみがあります。「さみしい」と、日本語も出てきて、台湾でも長い間、この感覚が浸透しているのかと思うと、気持ちがしんとなりました。
台湾の夏、風景や習慣、不思議な場面を覗き見たような、楽しいCMに、出会えてよかった。
全聯福利中心 PX Mart インフォメーション
公式サイト:http://www.pxmart.com.tw/
Youtubeチャンネル:PX Channel
※動画からのキャプチャーは全聯福利中心の担当カ所に確認し、掲載許可をいただきました。
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