台北生活の日記

「2gether」を観て地図を広げ、台北でタイ式ミルクティを飲む。

#MilkTeaAlliance ミルクティ同盟の騒動が、タイのドラマ2getherを見るきっかけに。

 

タイのBL(ボーイズ・ラブ)ドラマなるものを、初めて観ました。
グイグイきたり戸惑ったりすれ違ったり嫉妬したりキャーっとなったり、まあベタといえばベタな展開だけれども、前提として登場するカップルがすべて男性同士なのも別に違和感なく、ほとんど笑ったまま観終えてしまった。あー面白かった。
と、タイトルを挙げずに話したところ
「あの、ルー大柴が言いそうなタイトルのドラマ?」
と聞かれました。正解です。

2getherを知ったきっかけは「#MilkTeaAlliance」ミルクティ連盟で気づいた「タイの人たち、面白すぎ」

香港式のミルクティ。甘くて濃厚、癖になる。

 

「2gether」というタイのドラマの存在は、今年の初夏頃に発足したMilk tea Alliance、「ミルクティ同盟」騒動で知りました。俳優のプライベートや政治的なことをここでは深堀りしませんが、ドラマ出演者と親しいお友達のSNS投稿内容に対し、ある国の方々が「間違っている」と主張を繰り広げたのが、そもそもの発端。
そこへ応戦したのは常連の台湾や香港、そして新たに、タイのみなさんが参戦したのです。そして
「うちらみんな、美味しいミルクティがあるじゃんね!」
共通点を見出してさらに結束を固めた結果、タイ、香港、台湾で「ミルクティ同盟」が結成されました。

 

その「#MilkTeaAllianceミルクティ同盟」騒動が盛り上がった大きな要因は、本国・タイの方たちの優雅な対応にありました。
ある国の方々に
「お前の母ちゃんでべそ」
「やーい貧乏人(Poor)」
のような小学生レベルの罵倒や悪口を書かれても、
「うちにはお母ちゃんが沢山いますが、どのお母ちゃんのことでしょう?」
「おたくのプーさんは可愛いですね」
と、タイの人々は機転の利いた穏やかで懐の深い切り返しをしたのです。
自分達は口に出来ない政府や王室の批判をされれば
「代弁してくれてありがとう。なんならもっと言っていいのよ」
などと、素直さゆえの優雅さなのか、うっすらと黒い羽でふわりと煽り返し。
これには百戦錬磨の香港や台湾のみなさんも「タイ人すげぇ」とびっくり。
中国語の「泰國(タイランド)」と「太幽黙(タイヨウモウ/面白すぎる)」をかけて「泰幽黙(タイ面白すぎ)」と造語を生み出すほどでした。私の好きな香港出身で台湾で活動するイラストレーターの方も
「タイのみんなスゲェ」「うちらもやっとひと休みできる……」
とユーモラスに騒動を描いています。

 

 

「お母ちゃんが沢山いるってどういうこと?」
「可愛いプーってだれのこと?」
「これの何が面白いの?」
と思われるかもしれませんが、ここで詳細は説明しないでおきます。その背景が何なのか、ピンとこなかったことがいつか腑に落ちる日が来るのも、エンターテイメントを入り口に旅を始める醍醐味だと思うから。

この「ミルクティ連盟」案件は、タイの人たちのユーモアとしなやさかに気づかされる、印象深い出来事でした。汚い言葉や強い口調を使わない。売られた喧嘩は素直に受けて、さらっと交わす。鋭いナイフではなく柔らかい羽根で、相手がこれまで受けたことのないダメージを与える。これはある種の底知れない恐ろしさだった。
「2gether」では、良い意味で「これまで受けたことのない、ダメージとは違う何か」を喰らったような気がします。どちらにしても、タイの人たちには、今まで知らなかった面白さがあるのね。

こんな子たちがいるんだ。台湾版「花より男子」を観た時の気持ちが蘇る

台湾のミルクティ。タピオカとの組み合わせはここから。

 

ミルクティ騒動の印象が深すぎて、私はこのドラマの出演者やストーリーに関して全く知識も興味もなく、話題になっても「あのミルクティー先輩の」と明後日の方向に連想する程度でした。ボーイズ・ラブや容姿の整った若い男性に対するときめきのドアを、正面から開けるチャンスもありません。
なのに「2gether」の動画を見たのは、いったい何故だったんだろう。2020年、同じ場所でぐるぐると泳ぎ疲れたところに、楽し気な南国の島の灯りを見つけて
「あれはどんな島だったかな……。疲れたし、ちょっとひと休みさせてもらいましょうか。ミルクティーも美味しそうだしさ……」
と足を踏み入れるように、ドラマを見始めたような気がします。

 

「2gether」を観ていると、数年前に「花より男子」の台湾版「流星花園」でF4を初めて観た時の気持ちを思い出しました。
「へえー台湾にこういう子たちがいるんだ」
当時香港に住んでいた私はちょっと驚き、「流星花園」を熱心に見ていた友達と、ドラマのセリフで繰り返し出てくる台湾風の言い回しを真似してみたり。当時のF4ファンの熱狂と阿鼻叫喚に巻き込まれ体当たりされた記憶も、ちょっとした恐怖と共に蘇ります。当時のF4ファンのすさまじさには
「火がついたイノシシは手に負えねえ。理性も常識も全部、日本において来やがった」
と困惑することが、多々あったので……。でも、そんなことも今は昔。現代では情報も共有されているから、きっと平和よね。
※このブログを書いた後で、2getherメインロールのふたりがタイ版花男「F4 Thailand」に出演することが発表されました。ますます間口が広がるのは必須ですが、平和が続くことを願っています。

好きなものを見つけたから、広げた地図にピンを挿す

そしてタイ式ミルクティ。

 

そういえば、タイにはもうしばらく行っていません。人生初の海外旅行はタイのプーケットだけど、香港の啓徳空港でトランジットしたので、厳密には空港で過ごした数時間が私の初めての海外体験でした。
空港内の小さなカフェで飲んだ香港式のミルクティに「なにこれ、あっま!」と衝撃を受けたのが、あの旅行のいちばん強い記憶。その数年後に香港で暮らし始め、さらに台北に移り住んで港式ミルクティを恋しく思う人生になるとは、まったく予想もしませんでした。色んな国や街に、それぞれのミルクティが生まれていることも。

 

「2gether」に夢中になった人たちは、新たにタイへの旅を夢見るのかもしれないな。台湾版の「花より男子」を見て聖地巡りをした人を、何人か知っています。いつかあの国へ、あの街へ行きたいと強く思う気持ち。彼らが何を話しているのか知りたいと思う気持ち。ドラマを通じて芽生えているかもしれない「希望」を想像すると、どこの誰ともわからない人のことでも、なんだか私までワクワクしてきます。

 

地図を眺めてピンを挿し、知らない言葉や文化や習慣、その国の成り立ちや、もしかしたら政治のことまで触れていくきっかけ。私もサッカークラブの名前で、ヨーロッパの国や都市の位置を覚えた口でした。好きな選手やクラブ、スタジアムを知ることで、地図が広がっていく。スタジアムで流れるドイツ語のアナウンスにドイツ語のチャント、盛りがっているのに私だけが何を言っているかわからず置いてけぼりで、それがつまらないから、ドイツ語の勉強を始めてしまったり。

だからってわけじゃないけど、「2gether」でサッカーの試合でコーラを飲むのは「ないわー」と思ったわー。でも、タイではこういうスタイルで広告を入れるとわかると面白いわー。一発退場もののタックルにレッドカードを出さない審判、あれは絶対ないわー。試合のベンチにわざわざギターを担いでいくのも、どう考えても無茶だわー。サッカー部と軽音部かけもちってなめてんのかしらー。というのは、傷だらけのサッカー選手とギター弾きは、私の2大弱点だからです。好きだけれど、それはそれ、これはこれ。なのにユニフォーム着たまま、試合後の誰もいない夜のフィールドで好きな人のためにギターを弾きだすって、そんな全部もりを思いつくのは正気の沙汰じゃないでしょう……私も空想癖はあるけれど、サッカー選手がギター弾くだなんて、これを視覚化されるなんて、あたしゃ夢にも思わなかった。

 

 

タイはやべぇ。おっかねえとこだ。
それらも全部ひっくるめて、面白かったです。「ないわー!」と叫んでひざを叩き続けた「2gether」は、見ていて楽しい気持ちがずっと続きました。

台湾でタイなコラム

 

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「2gether The Series 」公式動画(GGMTV)

※2020年8月7日現在、台湾からアクセス視聴可。設定から中国語や日本語の字幕も選択できます。

 

それにしても、2020年のこの状況。本当にどうにかしなくては。個人で出来る限りの対策は続けているけれど……
じっとしていると倦んでしまうから、散歩がてらに台北の可愛いタイ式ドリンクスタンドへ。松山文創園區のすぐ近くにあります。
曇り空の台北に、タイミルクティーのオレンジが明るく映りました。

 

泰讃了 thai like tea

台北市松山區市民大道五段37號
16:00~03:00(金・土は~04:00)
https://thailiketea.business.site/

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mimi
台北在住のライター/コーディネーター。 長年暮らした香港から、猫を連れて台北へ移住しました。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|