「チョイ住み」史上最悪といわれる香港回。世界のどの街よりも濃いファンを持つ香港を背景に、女子旅の失敗例を見せつけられたようです。フォトジェニックの光と闇、どうすればよかったの?
台湾のNHKワールドで「チョイ住み in 香港」を視聴しました。日本では2017年7月に放送済ですね。
「チョイ住み史上最悪だった」
と言い切る友達がいたので、ある意味楽しみにしていた香港回。
うん、友達の一刀両断に同意。
「香港を背景に、女子旅の失敗例を見せつけられた」というのが私の感想でした。
制作の方たちは「チョイ住みファン」だけでなく、世界のどの街よりも濃いファンを持つ「香港」の情報を作るにあたり、「香港好き」が機関銃もってテレビの前で待ち構えているとは、ご存じなかったのでしょうか。
「途中で見るのをやめた」
という友達もいて「最後まで見たの?」と呆れられる始末。はい、全部見たのは半分仕事、半ば意地からくる根性のためでした。
香港に19年暮らし、台北へ移住した今も香港には年に7~10回、ロケーションコーディネートや取材、プライベートでも訪れている者として、「チョイ住みin香港に思うこと」をまとめました。
Contents
チョイ住みならではの面白さと醍醐味を奪う闇
私は「チョイ住み」の全ての放送を見たわけではありません。でも、記憶にある限り、外国で初めて会うふたりが年齢や職業、ものの考え方のギャップにお互い戸惑い、歩み寄ろうとする様子がとても見ごたえあるものでした。生意気な子や人見知りな男子と、紆余曲折経てきたおじさまの組み合わせは、面白かった。お料理の土井先生のキューバの回、最高でした。台北編のフミヤ君も良かったな。
香港で撮影された今回は、ふたりの女性の年齢が近すぎたのかもしれません。かみ合わないまま「キラキラしたもの」、光を求める女子旅の闇が怖くてソワソワする。「女子旅の失敗例」を、わざわざ香港を背景に見せつけられて、痛々しさすら感じました。はあちゅうさんと南明奈ちゃん、目線を合わせることのないふたりの組み合わせ。どうしたら良かったのかな?香港を、楽しい旅行にするには。
香港を背景に見せつけられた「女子旅の失敗例」
今回の旅のテーマは「フォトジェニック香港」。確かに香港は、どこを切り取っても絵になります。日本では見つからない色彩や様式、混乱と格式が混在していて、あちこちでカメラを構えたくなる気持ちはとてもよくわかる。
「フォトジェニックっぽい♥」
「インスタ映えしそう♥」
と甘い期待でなんとなく香港へ行っても、きっと楽しいことでしょう。
でも、今回の番組で一番つまらなかったのは、スマホとカメラに必死で会話らしい会話がなかいことでした。
相手の目をみず、歩み寄らず、ただSNSで他のだれかに「発信」することだけに心を砕いている。でも、発信するのが今回の「フォトジェニック香港」のテーマには沿っているので、出演者のミスではないかもしれません。
それでも残念ながら、写真目当てで行くとこ行くとこ外れ(と敢えて言いますね)で、映した写真はたいして面白くなかった。
何買っても食べても、高いだけで見栄えはともかくあんまり美味しそうでもない。
その原因は、つきつめれば「こいつと一緒でも超つまんねー」という空気感ではなかろうか。
それゆえに、もしかしたら誰もが経験する「女子旅の失敗」をまざまざと見せられたような気持ちになってしまった。
これには、歯がゆい思いをしながら観ていた人が多いでしょう。
選んだものを、もっと楽しそうに見せてくれたらよかったのに。香港にはもっと面白いもの、びっくりするもの、美味しいものがたくさんあるのにと。
はあちゅう、南明奈の組み合わせに思うこと
この番組は、外国でいきなり引き合わされたふたりが現地でちょっとオタオタしつつ、どちらかのリードで馴染んだり、押したり引いたりしていくのが面白さの要です。
出演者のひとり、はあちゅうさんは香港大学に留学経験があるとのことだけれど、口にしたのは日本人なら誰でも知っている程度の「普通話」、いわゆる北京語。香港の街に根差した公用語である「広東語」は一切出てきませんでした。
彼女が香港に住んでいた期間がどの程度かはわからないし、香港大学では英語で講義を受け、広東語は習っていない可能性は高いです。
それ以前に、はあちゅうさんは香港のこと、あまり知らないんじゃないかなと感じました。
住んだことはあるけど、実際はこの街のことも言葉も知らない。そんな自信の無さが目を合わせない、歩み寄らない態度の原因の一つだったとしたら「香港は初めて!右も左もわかりませんよーアハハ!」と笑う、おおらかな明るい女性をキャスティングしたほうが良かったように思いました。
朝起きられない南明奈ちゃんを「起きなさあい!」とたたき起こして朝市に引きずり出し、言葉が通じなくても買い物をしちゃうような人。キレイにまとめるなら、せめて花市場で花探して部屋に飾っても、暮らしてる感は出たかもしれません。
明奈ちゃんにとって年齢が近く、自分のことでいっぱいな人、なんとなくだけれど、目を合わせない様子から、引け目のようなものと気の強さがにじみ出ている女性が相手では
「すごい」「なにこれ」「へえー」
と差しさわりの無い誰でも発せる言葉でながすしかないでしょう。同じことを言ったとしても、違う相手とだったらもっと言葉に熱がこもっていたかもしれないですね。
あるいは、はあちゅうさんをリラックスさせて笑わせる、香港に住んでいる時どんなことを思ったの?と聞き出せるような「おばちゃん」や「お姐さん」がパートナーでも良かったんじゃないかと、私は思いました。フォトジェニック香港をPRするため、SNSを活用する女性有名人をキャスティングするために、はあちゅうさんが必要ならなおのこと、彼女を立てながら、素の状態で香港を楽しめる人材が必要だった。
誰かのいいねより、自分の「良いこと」を見つける香港
香港は、相手を見て喋って、周りを見渡して、匂いを嗅いで、音を聞けば、同じ場所でも必ず、物凄く楽しいところ。
霧で景色が見えなくても、思っていたのと違っても、それはそのまま、ひとりで受け止めたり誰かと笑ったりすればいいんだと思います。そんな体験が結果として、匂い立つような濃い写真に残ります。
この回ではせっかくの香港だったのに、知らない同士の二人旅だったのに、お互いには向き合わず、バーチャルの殻に閉じこもったままだったのが本当に残念でした。
もし誰かと旅行に行くなら、景色や食べ物、見るもの聞くものはもちろんだけれど、相手のことも見てほしい。楽しいことを共有して、困ったことがあれば荷を軽くしあう。
「あたしが」「最新」「映え」「みんな見て」「いいねして」
が目的なら、誰かを巻き込むグループ旅はやめましょう。全員がそれを目的にしていて、ツインルームならホテル代が安くなると利害関係が成立しているならいいですけど。
でもやっぱり、一緒にいる相手にも周りを行きかう人にも目もくれず、うつむいてスマホばっかり見てたらもったいない。
夜景を見ていると、今までしたことない話もこぼれてしまって、相手のことも、自分の闇や光も、もう少し知ることができる。
香港の熱や匂い、音や空気を聞いて感じていると、写真や思い出はもっと彩やかに残るんじゃないかな。
誰かのいいねより、自分の中の「これが良い」「好き」を、香港でたくさん見つけてほしいです。
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