9年前の今日、ドイツから通販の小包が台北の自宅に届いた時のこと。
喜び勇んで小さな箱を撫でつさすりつしたけれど、貼りつけられた配達票の住所表記に違和感を覚えました。
宛先に記されていたのは、私の名前と「Room 7, 7/F Taipei104」という不完全な住所だけ。その時床の上にしゃがみ込んで箱を抱えていたので、軽く尻もちをつくほど驚きました。
部屋番号だけで、どうやって私に届いたんだろう。
104の郵便番号で台北市の「中山區」までは絞り込めても、通りの名前や番地もビル名もないのです。「7階7号室」だけで、どうやって私を割り出したのだろう。
事前に電話などでの確認もなかったし、台湾郵政は「これはここのこの人宛て」と確信をもって届けたに違いない。
どうやって?
最初に私が疑ったのは、台湾の居留届。この身分証明には、現住所も記載されています。台湾郵政は、移民署の情報にもアクセスできるのだろうか…。私と同姓同名で台北市のこのエリアに住む人は、他にいなかったのか…。
次に、過去の記録。
ドイツの同じショップから、私はその数ヶ月前にも取り寄せをしていました。その記録から照合したのだろうか?
それにしても、この住所で受付をしたドイツポストも大概じゃねえか?複雑な思いで箱を開けると、品物と共に収められているINVOICEには、完全な住所が記載されていました。私がオーダー時に入力ミスをしたのかなとも思ったけれど、INVOICEを見る限り、そうではなかった。
郵政はこのINVOICEにアクセスしたのかな。もしくは、ドイツポストに問い合わせを?そんな面倒くさいことする?もし問い合わせをかけたのなら、宛先の部分に追記して、完全な住所に修正するはず。英文で住所が記されている香港からの郵便物には、台湾郵政が手書きで中国語の住所を指示していたものがあったし……。
いずれにしても、「台北市7階7号室」で私を見つけ出した台湾郵政には、ちょっと震えあがりました。個人情報管理はどうなっているん…と怖いような気もするけれど、他に「悪用」された形跡は今まで見当たりません。
居留証は完璧なのかというと、そうでもないケースもあります。私は、台湾への入境記録が抜け落ちていたことがありました。
台北松山空港から出境する時に出した居留証をチェックして、
「あなたは香港へ行った後、台湾への入境記録がありません」
と別のレーンに連れて行かれたので
「なんと。入境したからここにいるのに?」
私はびっくりしながら半笑い。よりによって香港から戻った形跡がないなんて、まるで映画みたいじゃない。そうよ私は台北キャッツアイ☆レオタードに着替えてVサインを目じりの横に出してみせたろか。
自分にやましいことがないから、この状況を
「来たわ!面白シリーズ!」
と受け止めてしまったのです。
そうは言ってもフライト時間もあるし、香港から戻った時のパスポートの出入国記録スタンプを提示すると
「こちらの手違いです。申し訳ありません」
と日本語でお詫びされてしまいました。
「日本にはIDカードが無い」
と知った香港の友達に
「日本人はどうやって自分を証明するの?!」
驚いて問い詰められたことがあります。
「免許証とか、保険証じゃない?」
「免許も保険も持ってなかったら?」
彼女はあれこれ、食い下がって質問しました。
私も、改めて不思議だと思ったな。
日本にいた頃は、自分が何者なのかを証明しなくても、当たり前に暮らしていたんだなあと。
ちなみに、うちの猫の福ちゃんには、香港から台湾へ来る検疫に必要だったので、マイクロチップが入っています。チップをスキャンすれば「福ちゃん(小福)」と証明できる。間違いなく検疫を済ませ台湾で暮らすことを許された猫、私の猫だという証明が、そこから読み取れるのだと思います。
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