香港と台湾で違うこと、似てること

香港から台湾へ移住して、占いには行かなくなった。

移民は痛くて苦しいこと?
香港の俳優、黄秋生(アンソニー・ウォン)氏が台湾で14日間の隔離検疫生活に入ったとニュースに。私自身が香港から台湾へ移住した時のこと、憑き物が落ちたように占いをしなくなった理由

 

 

彼のFBを見ると、「人在臺灣。隔離十四天。自得其樂。」の文字と、卓に置かれた毛筆の写真。香港からの入境は隔離が必要。それを覚悟のうえで来て、台湾での暮らしを静かに楽しみ始めている様子を伝えています。

黃秋生認了「準備要入籍台灣」! 抵台自主隔離14天…嗨喊:感受到自由的空氣

 

台湾では2020年3月19日午前0時から、全ての非台湾国籍者、非居留者の入境を制限しています。
ただし、外国人も事前に台湾外交部(外務省)に申請をして、認められた場合は入境が可能。黄秋生氏はすでに台湾の居留権を取得しているか、外交部になんらかの申請をして、認められたパターンでしょう。

中央流行疫情指揮中心宣布,自臺灣時間3月19日零時起,限制所有非本國籍人士入境,事前申請核准者才予放行,且入境後需進行14天居家檢疫。

 

ドラマ撮影のため、という話もあるみたい。台湾最大の掲示板PTTでは「いつ叉焼包の店を開くの?」「屋上にはあがらないで」など、彼の主演作「八仙飯店之人肉叉焼包」や、屋上からの落下シーンに観る者を飛び上がらせた「無間道」など、出演映画にかけてもりあがったようです。

香港影帝黃秋生將入籍台灣!網問:開叉燒包店?

 

香港から台湾への移民者数が増加しているのは事実です。
私が香港から台湾へ移住した2010年以降顕著に増えて、How to台湾移民本もいくつか出ていました。

香港で本を出す夢をかなえてくれた「大衆」が書店をクローズ。「日本人の目線で香港のことを書いたら?」私のエッセイ本を香港で出版してくれた大衆グループの書店「大衆書局」が香港内16店舗をすべてクローズ。...

 

 

「私、ブームの先駆けじゃん」
とびっくりしつつ、深く納得できる香港から台湾への移民熱。でも、私は日本の国籍を持ったまま台湾の居留権を取得した移住者。もし黄秋生氏が台湾籍に変える「移民」をするなら、香港の著名人のケースでは珍しいかもしれません。

 

 

2010年代から高まった、香港から台湾へ移りたいと考える気持ちは、とてもよくわかります。

街を、誰にもぶつからずに歩きたかった。
ぶつかったら「ごめんなさい」と謝ってくれるおだやかな人達の中で暮らしたかった。
ぶつかられ横入りされた挙句に舌打ちされて、少しずつ心の平穏が削られいく。いつのまにか、どこへ行っても傍若無人な態度の人達がゲートを超えて押し寄せて、家に帰っても上階に越してきた新移民のドタバタ騒ぎで気が休まらない。香港の暮らしでささくれまみれになった気持ちをなだらかにしてくれるのは、息抜きに逃げ出してきていた、台湾の街の空気でした。

 

香港での暮らしは本当に楽しかった。あんなに魅力的な、魂をつかんで離さない街はほかに、どこにもない。
台北に初めて遊びに来た時は、「もっさりしていて退屈だなあ」と思いました。それから、「カフェが沢山あっていいなあ」とも。まさか数年後に、望んで「退屈」と感じた街へ移住してくるとは思わなかった。その時はまだ、香港での暮らしに満足していました。

 

でも、疲れてしまったのね。
私は香港で、占い漬けの日々だった。
迷って迷って、どうしたらいいかわからないことばかりで、贔屓の占い師に頼ってばかりいました。
でも、台湾への移住は占いに頼らず決めた。
本当なら日程や、台北で借りる部屋の方角なんかも聞いても良かったのに、一切占いに行かず、全てなすがままに決めました。

そして台湾で暮らし始めたら、つきものが落ちたように占いに行かなくなりました。こちらでは、贔屓の占い師もいません。仕事や取材で訪ねたことはあるけれど、何を言われても
「当たってるかな?まあそうですね」
と受け流しています。
当たる当たらないの前に、台湾に来てからは、私自身が占い師のサジェスチョンを必要としなくなった。心のささくれが落ち着いていくと、無料の星占いさえ必要としなくなっていました。

香港で生まれ育った人が、パスポートを変え、自分の根がある場所を離れる決意は、私の想像を超えるかもしれない。離れたくないけれど外的な理由で致し方ないのであれば、痛くて辛い。好き好んで来るのであれば、幸せかもしれません。香港では移民が珍しくない、身近なことだから、どれほど大きくて痛いか、案外そうでもないのか。人によるし、場面によっても変わるでしょう。

私が日本を離れた時はどうだったかな。ようやく生きる場所を見つけた嬉しさで、香港へ行く喜びが強すぎて、故郷を離れる痛みはなかった気がする。国籍を変えるほどの大ごとでもないし、その時、まだ日本に対する思い入れもなかったかもしれません。

ただ、幼稚園の年少組時代に先生が弾くオルガンの音にあわせ「大きな栗の木の下で」を泣きながら歌い踊ったのを、強烈に覚えています。
幼な過ぎて明確には言語化できないから、「自分の生きる場所はここではない」と気づいても、ただ泣くしかなかった。「ここ」が幼稚園の教室なのか、東京なのか、日本なのかは、香港に出会うまで、わかりませんでした。

台湾で、香港から来たオーナーが開いたお店はとても増えています。
好きなカフェもいくつか見つけました。

台湾の冰室・茶餐廳

 

黄秋生氏が14日間の検疫を終えて、台湾のどこへ行き何をするのか。彼自身が発信するのを静かに見守りたいと思います。もしささくれがあるのなら、台湾で過ごす時間のなかで、なだらかになりますように。

追記:このドラマの撮影だったようです。「四樓的天堂」

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mimi
ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|