はっとする台北の路地、ぞっとする香港の路地。

台湾や香港の住宅、商店の隙間にある路地は、フォトグラファーの方たちにとって、たまらない魅力があるようだ。
写真集やグラビアの撮影中、彼らは独特の嗅覚で「いい感じの路地」を見つけ、被写体を引き立たせるのがとてもうまい。

 

台北で、台南で、あるいは香港で。

「いい感じの路地」にはっと気づくと、私もつい見惚れてしまう。
台湾では、すっきりしていて入っていくことに躊躇しない雰囲気の場所が多い。
対照的に、香港では見た瞬間にぞっとする路地が少なくない。
ぞっとするけど、とてつもなく妖しい魅力がある。
台湾の路地、香港の路地。どちらも目が離せなくて、足を踏み入れたくなる。

 

 

台北でぶらぶら歩いていた午前中、素敵な色に塗った壁の路地の奥に、一匹のサビネコがいた。

もし私がこの路地に一歩でも足を踏み入れたら、ねこは身構え、この路地裏での静かな場所、安全な場所と時間から、逃げ出してしまうだろう。
だから中には入らない。遠くから眺めて、いつか近くでおめもじかなう日を待つだけ。