台湾の春節期間、街のいたるところからマスクが消えた。
一年に一度、台湾の人たちがとても大切にしている長い春節休暇を返上して稼働を始めたマスク製造工場は
「仏か」
と市民から称賛されたらしい。
薬局に入った途端、店員さんが電話で「売り切れなんです。問屋もまだ開いてないからいつ入荷するかは…」問い合わせに対応している声が聞こえた。ここだけじゃない、どの店へ行っても「マスクは」「売り切れです」の会話が繰り返されている。
私もマスクをする以外に、手洗い、うがいもこれまで以上に念入りにしている。温かいもの、水分を多くとり、滋養のあるものを食べて、身体を内側からも健康に保つ。毎日のストレッチや運動も欠かさない。
そんな中、辻仁成さんが「鼻うがい」のやり方を紹介しているブログを読んだ。聴いたことはあるものの、「塩水を使うなんて、痛いんじゃないか」「うまくできずに、ダァーとこぼしてしまわないか」など考えてしまって、これまで二の足を踏んでいた鼻うがい。
滞仏日記「歌手が風邪菌を身体に入れないためにやる方法」
詳細は辻さんのブログを読んでいただきたいけれど、私が「鼻うがいをしよう」と決心したのは「ロックボーカリストたちがよくやる予防策でもある」という一言。絶対に風邪やインフルエンザにかかるわけにはいかない。舞台に穴をあけることはできない。その責任感、舞台裏での努力に心を打たれたから。
私が日本で一番好きなボーカリストの方は、数年前に大病をしたにもかかわらず、短いスパンでステージに復帰した。その方が陰でどんなにつらいリハビリをされていたか、復活までどんな努力をしていたか。彼と共に長くグループ活動をしている(と、あえて現在進行形で書く)方の著書を読んで、初めて知った。ご本人は、リハビリに関して何もおっしゃらなかったから。
それから私は、ジムでのきついトレーニングや、常軌を逸したヨガのポーズの持続をするとき、「このくらい、あの方が堪えた辛さに比べたら、どうってことない」と自分に言い聞かせ、励みにしている。
ミーハー魂もここに極まれり。音楽や映像に感銘を受け、勇気づけられることが時々ある。それを創る人たちの軽やかさや華やかさの裏での努力を少しだけ垣間見ると、その落差に驚き、強く励まされる。頑張ろう。乗り越えよう。アーティストだけではない。今辛い状況の中にいるひとたちのことを思えば、鼻うがいくらい、どうってことはない。
辻さんがブログに書いていらっしゃる通り、私の初鼻うがいチャレンジも、最初はうまくできなかった。それでもすっきりしたと感じる。塩で清めるからか、なんだか気分もさっぱりする。塩をまいて「一昨日来やがれ」と悪い菌を追い払う気合も入る。鼻うがいが新型コロナウイルス予防に効果があるのかはわからないけれど、風邪やインフルエンザを防ぐ効果があるのなら続けたい。自分を守れなければ、他の人を助けることもできないじゃないか。
友達に勧めると「気が向いたらやってみる」と気のない返事だったのに、数時間後にはドラッグストアで生理食塩水を買ってきたとLINEが来て、嬉しくなった。
みんなに元気で、無事でいてほしい。春は新しい口紅を使ってラララと街を歩きたい。SARSの頃も毎日マスクをして、口紅は使わずリップクリームだけ塗っていたから、やたら唇が潤うと笑ったことがあった。なんでもない日常のありがたみへ向かう日、マスクを外して安堵する日が一日も早く来るように、まずは身を守る対策をしっかりしよう。
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