香港と台湾で違うこと、似てること

香港発祥の「菠蘿油」を台湾メロンパンと呼ばれて流すパイナップル型の涙

先月くらいに日本の友達から「台湾メロンパン食べた」と聞き嫌な予感がしたら案の定、菠蘿油のことでした。
菠蘿油は香港のB級カフェ食堂「茶餐廳」や街のパン屋さんでおなじみの人気メニュー。パイナップルのような外観のサクサクしたビスケット状のトップに覆われた菓子パン「菠蘿飽」にスライスしたバターかマーガリンを挟んだものです。

菠蘿飽の形状や歯ごたえは、日本のメロンパンに似ていないこともないけれど別のもの。
「菠蘿」は広東語でパイナップルのこと。
台湾ではパイナップルを「鳳梨」と呼びますが、そもそも「菠蘿」とは種類の違うパイナップルなのだそうです。

発祥地を冠にして無理やり説明的に直訳するなら「菠蘿油」は「香港パイナップル・バターサンド・パン」かな!

 

香港の茶餐廳で、厨房から店のお兄さんが菠蘿飽の並んだプレートを抱えてテーブルの間を練り歩き
「どいたどいたー、出来立ての熱々だよー!」
と声をあげると、いつもそわそわしてしまいました。
もう食事がすんでお腹がいっぱいでも、出来立ての菠蘿飽は別腹です。
良く通っていた茶餐廳では、頼まなくても
「はい、出来立て。あんた食べるでしょ?」
と菠蘿飽を乗せたお皿をテーブルに置かれて
「はい」
と黙って受け入れたことも度々。
菠蘿飽にバターを挟んだ菠蘿油は、カロリー的にちょっと迷う悪魔的な魅力です。そうしょっちゅうではないけれど
「今日は疲れたし」
「今日は頑張ったし」
「明日頑張るし」
「良いではないか、良いではないか」
と、ご褒美的に注文していました。もちろんお供は、「香港式ミルクティー」。台湾でも「港式奶茶」と呼ばれる、香港の茶餐廳ならではの滑らかで濃厚なミルクティーと菠蘿油は、相性最高です。

 

広東語のざわめきや香港の街の匂いとともにある菠蘿飽や菠蘿油がなぜか最近日本あたりで、「台湾メロンパン」と呼ばれている。
冗談じゃないぜ…と拳を握りしめながら、違和感の理由を考えてみました。

 

台湾には台湾の、香港には香港の。

 

まず、台湾には台湾の良いものが沢山あって、メイドイン台湾ならではのものに台湾の人たちは高いプライドを持っていること。
いくら最近台湾でもあちこちで見かけるとはいえ、明らかに香港発祥の菠蘿飽=パイナップルパンに「台湾」「メロンパン」と名付けるかなあ…
それは本当に、台湾の人のやりかた?

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もし東京で流行ったラスクを「大阪揚げパン」なんて名前で大阪の人が売り始めたら、大阪人どうした?あなたたちのオリジナリティとプライドはどこいった?と不安になります。
台湾人だって、美味しいものを沢山抱えているからこそ、ご当地物にプライドがあると思うんだけれど…。

そもそも台湾には有名すぎるパイナップルケーキ「鳳梨酥」があるのに、「菠蘿」まで台湾ものにしてしまうのはなぜ?

 

これをリアルにいちいち訂正して歩くのは、「Be together」を聴いて「鈴木あみの曲!懐かしい~」と無邪気に言う90後の年代の子たちに向かって「オリジナルはTM Networkだよぉ」と口を挟み「えっそうなんですか?」と敬語で返された時のような気持ちになるのかな。

 

このご時世では、香港どころか海外へ旅行には行けない。
解禁になっても、香港への旅行者が急に回復するかは、わからない。
台湾には行きやすいだろうと思います。
でも、もし日本から来た人が台湾で菠蘿油を見て
「台湾メロンパンだー」
と無邪気に言うのを聞いたら、私は心が千切れると思います。
そう覚えてしまった人に対してではなく、
この名称を浸透させた誰かに向かって
それだけは勘弁してくれと、
香港のものは香港のものだと、
心の中でパイナップル型の涙を流すと思います。

 

台湾で香港ムードにひたるお店を紹介しておきますね

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mimi
台北在住のライター/コーディネーター。 長年暮らした香港から、猫を連れて台北へ移住しました。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|