グループラインで、今日見た空や花の写真を時々送りあう。東京にいる友達から鮮やかなツツジの花の画像がシェアされると
「きれい」
「ツツジって一生、漢字で書くことはないね」
「躑躅。ドクロかとおもった」
「髑髏と、確かに似てる」
「画数多すぎて、書初めしたら真っ黒になっちゃう」
気の置けない友達と一枚の写真から思うままに喋り笑うと、楽しい。気が休まる。
台湾で新型コロナウイルスの感染者が急増して、警戒レベル3発令。室内での飲食利用に制限が出ると、私の好きなお店は軒並み「テイクアウトだけ」「自主的に臨時休業」などの対応に変った。
飲食店営業の完全や禁止や時短命令ではないから、行政から手当ても出ない。
八德路の住宅街でやっているカフェ「Sidewalk Espresso Bar」は、営業時間を午後4時までに短縮するとSNSで公布した。
午後の空いているバスで、久しぶりに出かけてみる。店内利用は取りやめて、外のテーブルを一つだけ、開放していた。
「今は仕方ないね。お互い、健康に気をつけよう」
オーナーバリスタの小黑さんは、おだやかな笑顔で言った。うん、気をつけようねと私も答え、作ってもらったコーヒーをテイクアウト。
頑張ろうとか、加油という言葉は、今回あまり耳にしない。私もなかなか、口に出せない。応援のつもりで好きな店には立ち寄っているけれど、「加油」
はすんなり出てこない。急にこんなふうに切羽詰まった状況になって、「頑張ろう」とか「頑張って」は、いくらなんでも無邪気すぎるようで。
台北は人が少ない。誰も外を歩いていない。台湾の団結力は素晴らしい。
と宣伝する向きもある。でも、「人がいない」とまつりあげられているのは、感染者が立ち寄った場所の近くばかり。団結というより「怖いから近寄らない」だけではないの?
リモートワークが増え、コンビニや郵便局、どこに入るにもQRコードで自分の名前と電話番号を残す必要があるから、気ままにフラフラするひとは減った。
中山の新光三越も入口の関所で登録をする。地下におりると、すでに鼎泰豊では食事をしている人たちがいた。デパ地下には商品がいつも通り並び、スーパーマーケットコーナーには「サッポロ一番みそ」「しお」「しょうゆ」と在庫がたっぷり並んでいるのを見て無言でガッツポーズ。三越でおかめ納豆を買うなんて、どんなセレブ生活かと思う。でも、おかめさんはローカルスーパー「全聯」より、デパート内のスーパーマーケットのほうが安いの。台北在住日本人の間でシェアされた、これは有益な情報。もちろん「サッポロ一番みそ入荷情報」も、「みそ味が好き」と熱弁していた友達に知らせる。感染拡大でパニック状態になった市民がローカルスーパーでインスタント麺を根こそぎかっさらっても、私達にはサッポロ一番みそがある。
通りを歩く人が減った減らないは、それほど気にならない。それよりも、店の中にお客がほぼいないのが寂しい。
頑張ろうとか頑張れと、言葉に出していうのが難しい。そんな簡単に、口から出まかせみたいに言えない。ただ、出来るなら顔をみにいき、少しだけれど何か買って、長居はせず、でも短く話せたらいい。ツツジって漢字で書けない。加油ともいえない。健康に気をつけよう。顔を見て、それだけ言い合うのが、今の私に出来ること。
南京東路からも、國父紀念館からも近いSide walk Espressobarのお店情報はこちらから。みんな大好き「小龍飲食」の並びよ。
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