タイワンムラでしか通じない言い回しをしたことに気づく。「これがいわゆるひとつの、島国根性…?」
「大同電鍋」でマスクを加熱消毒できると書いたブログを読んでくれた、友人で作家の菅野彰さんから「電鍋って何?」とたずねられ、はっとしました。台湾では一家に一台ある国民的電化製品、台湾が好きな人達にも良く知られている「電鍋」を、世界中の人がどういうものか承知している前提で書いていたのです。
「電鍋は、電気炊飯器のことなの」と菅野さんに説明して、ブログもちょっと修正しました。
マスク不足は台湾や日本、台湾を好きな人達だけの問題ではありません。多くの人に参考にしてもらえればと思いながら書いたのに、タイワンムラの中以外では通じにくい表現になってしまった。
日ごろ「台湾の表示ってわかりにくいわ。わかっているのを前提で作ってない?初めて来る人には、こんなのわかりにくいわ」とぶつくさ言いながら台北駅の地下でさまよっていたのに。最近では「オーバーシュートもロックダウンもクラスターも日本語でお願い。伝わるように伝えてほしいわ」とぶつくさ言っていたのに、私も同じことしてた。反省しながら、中学の時の担任の先生が「そんな島国根性ではだめだ」と時々喝をいれてきたことを思い出しました。
その時私たちはまだ小学校から上がってきたばかり、制服のスカート丈も分厚い革カバンも改造前の、まっさらな一年生。「しまぐにこんじょう」という単語を聞いたことがなくて、みんな顔を見合わせたりうつむいたり。先生が教室を離れると「シマグニコンジョー」とふざける男子もいました。どういう状況で喝を入れられたのかは全然覚えていないけれど、「島国根性はだめ」と大人が子供を導こうとしていたことだけ、強く記憶に残っています。
「島国根性」は、視野の狭さを揶揄するらしい。島国が関係しているのかわからないけれど、私は台湾のひとたちの視野が広いと思ったことは、これまでありませんでした。どちらかといえば狭い。良くも悪くも、目の前に困っている人がいるとみんなその人を助けることに夢中になってしまって、他がおざなりになりがち。でも、台湾の人たちはおおむね、おおらかでとても親切だ。それは地元の人たち自身も、旅行者も認めることだと思います。
「どうしてあなたたち外国人、特に日本人や欧米人に親切にするかわかりますか?台湾は国際的に認められていないから。認めてほしいからなの」
台湾の人に言われて、なるほど思い当たると感じながら
「そうかもしれないですね。でも、台湾の人たちが親切な理由って、誰かに認めてもらいたい、それだけではないですよね」
と伝えたことがあります。
今日、日曜日に出かけたカフェですれ違った台湾人やアメリカ英語を話す人、南アジア系の人、その場に居合わせた見知らぬひとたちは、目が合えば自然に微笑みあっていました。私に微笑んでくれた人たちは、認めてほしいからではなく、微笑みたいからそうしてるだけ。日曜日のカフェで過ごす幸せをお互いに祝福しあい、これからもずっと続くようにと願う一瞬の微笑み。
台湾の新型コロナウイルス対策が他国と比較しても抜きんでているのは、島国で人の流れをコントロールしやすい地の利だけではないと私は考えています。国内や海外で学んだ優秀なリーダーたちと、この島を守ろうとする人たちの努力。WHOに招かれないことも、この対応策を築き上げる原動力なのかもしれない。それから、台湾で時々感じる「身内で固めたがる」傾向も、良い方に転がったのかな。この島を絶対に守り抜く。ユーモアを交えたメッセージを発信しながら、デマや間違った情報には毅然と対応する。私はこの島国に10年暮らしてやっと、そのすごみと底力を知りました。それこそ、私の視野が狭かった。知らないことが、まだまだ沢山あるみたいっす。島国根性には、良いところもあるみたいっす。
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