パスポートの残存期間が1年足らずになったので、切り替え申請。当面海外旅行に出る予定のないうちに、マイナポータルアプリで申請をしてみました。無効化されたパスポートには、スタンプと思い出がいくつも。
日本でのパスポート申請は大昔すぎて、どこで手続きをしたか思い出せません。有楽町だったかな?あの頃はまだ、新宿に都庁もなかったし。
「コロナ明けの旅行復活で、都庁のパスポート申請窓口は4時間待ちだって」
先日久しぶりに会った、旅行業の友達は言いました。
色んな事が便利になったこのご時世に、4時間待ちも哀しい話だな。それだけ出かける人が増え、対応する人数は減ったままなのかもしれない。
一方で、わざわざ出かける必要のない、アプリ申請も可能になったそう。
マイナンバーカードがあれば「マイナポータル」のアプリからパスポート更新が出来ると聞き、物は試しに申請をしてみました。
マイナポータルのアプリはログインまでが面倒だけれど、入ってしまえばわりと楽。指示に従って項目を埋め、写真と署名を出せばそれで終わりでした。一週間で受け取れるとのこと。そうは言っても新宿へ出て、オフィス街の都庁の方へ回るのは案外遠いしおっくうです。台北で言うなら西門から國税局へ行くのがだるい、あの感じ。香港なら中環へ行っても郵便局のメインオフィスが微妙に遠い、でもあの建物自体へ行くのはそんなに嫌ではない、むしろときめきがある。だけど色気も何もない高層ビルの都庁へは、わくわくと浮かれた気分にはなりません。
パスポートの申請や受理は都庁の何階なのか。どのビルなのさ。とりあえず行ってみたら、わかりやすい標識がありました。これだけ念を押されたら、方向音痴でうっかり者なあ私でも大人しく地下に潜ります。
申請のコーナーは、平日の昼間でもなかなかの人出。何人待ち、何時間待ちまではわからないけれど、目測でも4時間待ちは大げさかなと感じました。とはいっても、ひとりひとり
「ここ記入漏れですね」
「署名ってなにさ」
「戸籍はどうしたの」
「名前のスペルはなんだっけ、長音はHいれるの、Oなの、”ん”はMなの?」
と受付でひとりひとり面倒を見ていたら、途方もないことかもしれないな。
私は広い申請窓口コーナーとは別の、こじんまりした受け取りコーナーへ。係の方は慣れたもので、アプリ申請者専用の窓口へ案内され受付用のQRコードを提示して読み込んでもらい、隣の会計窓口で精算。済んだら番号札を受け取って、ソファに座ること数分。あっという間に番号を呼ばれて、窓口で氏名と生年月日確認、古いパスポートを無効化してもらって、完了でした。
過去のパスポートは無効化のしるしで表示に穴を開けられたけれど、今回は表紙は無傷です。中を開くと、内側の顔写真や個人情報のページにVOIDのスタンプ、ICチップのページに押し印がつけられています。
過去のパスポート、初代は見当たらずきっとどこかへしまい込んでる。二代目からは、手元にまだ残っています。二代目と三代目の発行官庁は香港の日本国総領事館、CONSULATE-GENERAL OF JAPAN AT HONG KONG。四代目は台北の日台交流協会で申請をしたものの、発行官庁はEMBASSY OF JAPAN IN THAILAND。日本と台湾の正式な国交がないため、台北や高雄にあるのは大使館でも領事館でもなく「交流協会」。私が持っていたパスポートは、近隣国のタイで発行をしたことになっています。そうは言っても、実際は台湾内で処理をしていると噂で聞きました。もし大真面目にタイ国内で手続きをしているのなら、本人が海を渡るより先にパスポートが国境を越えてきていて、面白いけれども。
出入国のスタンプ、取得したビザのシール、当時の顔つき。日記やSNSとは異なる、卒業アルバムとも違う自分の記録でした。
二代目のパスポートは香港で取った各種ビザのシール、日本や大陸への出入国のスタンプが多く、増刷もしたので分厚い。三代目は増刷なし、台湾への入境スタンプが急激に増えています。合間にインドネシアやアメリカ、後半にはドイツ。四代目になると香港、台湾、日本にも自動ゲートで出入国をしているから、ほとんどスタンプがありません。押してあるのはドイツ、タイの入国・出国スタンプ。パスポートの表面上では日本にも香港にも行っていないかのようですが、データには残っています。
新しいパスポートは、スタンプのページが浮世絵仕様。しかも全ページ絵柄が異なります。私が外国の入国審査官だったら、目を見開いて全ページめくって絵柄を見てしまうな。どの浮世絵ページにスタンプを押そうか迷うし、まっさらな絵柄の上に刻印するには深呼吸の勢いと覚悟が必要になりそうです。いちいち感傷的になっていたら、イミグレーションの仕事は務まらないかもしれないけれど。
そういえば、とある国では人のパスポートをポイと投げ、入国者を不快にさせるのが仕事のような人たちも、ずいぶん昔にはいました。その態度がめきめきと改善されていくのを目の当たりにはしたけれど、今はどうなっているだろう。
「何をしに来たのか?」
「どこへ行くのか」
アムステルダムの空港で尋ねられ
「フットボールの試合を見に来ました」
「電車に乗って、ドイツのゲルゼンキルヘンへ行きます」
馬鹿正直に答えると、イミグレーションの職員の方目を光らせて
「フットボール…?チケットは持っているのか」
「はい、あります」
馬鹿正直にパスポートケースからチケットを出して見せると
「見ろ、チャンピオンズリーグのチケットだよお!」
「まじかー!」
他のブースの職員の人たちまで集まってくる騒ぎになりました。
「試合を楽しんでね」
入国スタンプと共に贈られたひとこと、忘れられません。
香港から一週間に二度台湾へ行った時は不審に思われたのか、時計屋さんが使うような眼鏡型のルーペを装着してパスポートを調べられ(台湾、面白いな)と思ったり。去年行ったバンコクでは「旅の目的は?」とたずねられ、こういうシチュエーションが久しぶり過ぎて動揺してしまい「あー、目的?サイトシーイングですね」上ずった感じで答えたら「本当にそれだけ?」「えっ?」びっくりしていると、それ以上は追及せずパスポートを返してくれました。
旅の目的、聞かれて答える異国への入境が楽しみ。次に行く街で、係の人が浮世絵パスポートに反応しくれるといいなあ。
旅のコラム
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