台湾で香港ムードにひたる場所

「細記港式麵包專賣店」香港人パン職人の香港ローカルパンと奶茶で、台北の路地裏から香港へワープ。

「香港人の友達のおじさんが台北でパン屋さんを開いたよ」
台湾人の友達に教えられて、早速出かけた「細記港式麵包專賣店」。
店先には菠蘿油、雞尾包、叉焼包、墨西哥、雞腿派、蛋塔など香港ローカルパン屋さんのレギュラーメンバーがずらり。香港のあちこちで食べた懐かしい味のパンとミルクティが、広東語と一緒に台北の路地裏にワープしてきていました。

 

南京三民の駅から南京東路を東側へ3分ほど、午前中は「南京公寓市場」が立ち、午後から夜には屋台が並ぶ通り。以前紹介した、フルーツジューススタンド(この記事の一番最後にリンクしています)が目印。

市場になる通りのセブンイレブンのわきの路地を入れば、すぐに「細記」の看板が見つかります。

みんな大好き「港式菠蘿油」(45元)。注文すると、菠蘿包にバターを挟んで作ってくれます

7時半オープンの「細記」に9時過ぎに行ってみると、菠蘿包は残り2個でした。やっぱり台湾でも「香港のパンといえば菠蘿油(パイナップルパン)」と浸透して、人気があるみたい。
どのパンも紙の袋に個別包装してくれます。テープを外せばそのまま食べられる。菠蘿包特有の、トップのボーロ部分がはがれても三角の角にたまるから周りにこぼれず、綺麗に食べられるのがいい。

しょっぱいものも食べたい時にチキンパイ「雞腿派」(50元)。つやつやでふっくらパイ生地の中には甘みのある玉ねぎにからんだ鶏肉がたっぷり。香港スタイルのチキンパイはクリーム多めのものが多いけれど、ここのはバターの風味と玉ねぎと鶏肉でシンプル。手のひらにのる小さなパイなのに、ボリュームいっぱいの満足感があります。私は冷たくなっても美味しいと思うほうですが、香港人と台湾人は「オーブンで温めろ!温めなさい!」と口を揃えて迫り来るから温めて!

 

港式凍奶茶(中45元、大55元)
こちらのミルクティはアイスのみ。香港の茶餐廳やパン専門店で長く働いた時に覚えたレシピだそう。濃くてほろ苦く、淡奶の香り。台湾で売られる「港式」、香港風の甘いなにかではなく、これは香港人が作った味だ。

朝食代わりにこのふたつとミルクティを買うことにしました。
お店に出ていたのはふたりとも香港人の方。「あなたってもしかしたら日本人?〇〇ちゃんのお友達の?」と広東語で尋ねられ「そうそう、〇〇ちゃんに教えてもらって来たの」と私も広東語に切り替えて答え、そのままおしゃべりが弾みました。

「合計で140元ね。150元だとスタンプ一個あげられるよ」

勧められたので、スタンプシートも欲しいからもう一個。「墨西哥包」と迷って、「雞尾包」(35元)にしました。

「雞尾酒」はカクテルのこと。香港で食べることにも苦労した時代、残り物を混ぜ合わせて作ったパン…など名前の由来は諸説あるようです。
このココナツと砂糖のざらざらした甘いペーストが入った摩訶不思議な菓子パンを手にするのは、何年振りだろう。香港でもあまり食べなかったけど、たまに差し入れでもらったり「あげる。サービスだよ」と茶餐廳のお兄さんがウインクして渡してくれたり、香港の街と、もう名前も顔も思い出せない人たちの気配につながる味です。

 

 

「細記」を訪ねたのは、中秋節4連休、二日目の朝でした。
「連休の後半、明日と明後日はお休みですよね」
確認すると
「そうだけど、明後日は開けるかも」
と職人さん。
「どうして?」
「退屈だから」

久しぶりに聴く香港人が広東語で言う「好悶呀」に嬉しくなって笑ってしまったら、
「だって香港はそうだったじゃない?三日以上も連休なんて、なんだか慣れなくて。わかるでしょう?」

香港人のふたりに言われて私も「そうだった。そうね」とうなずきました。
台北の小さな路地裏にいながら、味も気分も、このパン屋さんに来れば香港にワープしたみたいです。

「香港」を首を右45度に傾けて見れば「加油」。

 

クッキー生地のエッグタルトも綺麗に並んでいました。

 

 

 

「細記港式麵包專賣店」 店舗情報

住所:台北市松山區南京東路五段291巷6弄2號
営業時間:月ー土 7:30~20:00 日 7:30~13:00
公式サイト:
https://www.saikeebakery.com.tw/products/
Instagram:https://www.instagram.com/saikee.bakery.tw/

アクセス方法とMAP:MRT「南京三民」駅 4號出口から徒歩3分

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リンクまとめ:台湾で香港ムードにひたる店

 

市場の様子を動画でも紹介

https://mimicafe.net/diary_22may2021/

 

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ライター/コーディネーター。 香港から猫を連れて台北へ移住後、30年ぶりに東京暮らし。満喫中。 台湾と香港に関する現地情報の執筆や、撮影手配などの仕事をしています。 |Instagram| |Tweitter| |Profile| |Contact|